ｉモード版「北へ。」～桜町由子4回目～
平成12年5月から始まったｉモード対応のメールゲームで「北へ。」のキャラクターから任意のキャラクターを選択し、メールのやりとりによってドラマを楽しむ。各キャラクターが実在するような感覚を味わえるのも面白いところ。設定は本編の数カ月前となっている。キャラクター１人につき３－５ヶ月。１ヶ月３００円。
スタッフ
企画・柴田真人／企画・ゲームでザイン・横山裕一／プログラム・JAVA太JAVA朗、木村信行／キャラクターデザイン・NOCCHI／シナリオ・ぷるるん／シナリオ・嶋崎賢治、酒井祐介／シナリオプロット嶋崎賢治、川崎ヒロユキ、高山カツヒコ／スペシャルサンクス・菅野ウタロウ／協力・(株)リクルート、北海道じゃらん／ディレクター・志村昌弘、横山裕一／プロデューサー・柴田真人
物語(私の場合のみで全ての人が同じではありません)
灰色は由子さんからのメール青色はオレのメール・・必ずしもいい加減ではなく、実際に返信した内容もあります。これは4回目のプレイです。今度はベストエンディング・・・いくかな？
「平さんね」平さん、初めまして！私の名前は桜町由子。北海道千歳市に住んでる、社会人２年目の１９歳。
私の事は、遠慮なく由子って呼んでね。ところで平さんの職業って何？よかったら教えてよ。
オレも社会人（兼ダメオタ）です。よろしく、由子さん。
「同じなんだね」ふぅーん、平さんも社会人なんだ。
同じ社会人同士、甘えられない立場だから不満や悩みとかありそうだね。
私は仕事自体には全然不満とか無いけれど、意見の食い違いで仕方なく周りの人ともめるのが不満なんだ。
平さんは何か不満や悩みって無い？
嫌な上司がいるんですよ、何とかしてください。
「わかるわかる」あはははは。どこの場所にもいるものなんだね。
私の職場にも、嫌われてる人がいるんだ。
何でどこにでもいるんだろう。不思議だね。
それじゃ、またメールするね。
由子さんのメールだけが今の楽しみなんだから、早くしてくださいね・・・。
「北海道は広い」どうも平さん！私が住んでいるのは北海道だって話したよね。北海道ってご想像の通り広いから、好き勝手に移動するためには、車かバイクが必需品なんだ。もちろんバスや電車もあるけれど、本数も時間も、それに行ける場所も限られてるから、私的にはあんまり便利に思わない。そうそう、北海道は飛行機で横断したりするんだよ。さて、ここで唐突に問題です！私が好きな乗り物は何でしょう？
バイクだよね。
「正解！」正解！ピンポンピンポーン！正解です。そう、私が好きな乗り物はバイクなんだ。さすがに冬の間は乗れないけれど、春から秋にかけてはずーっとバイクだらけの生活。北海道は景色がいいから、ツーリングに行くと最高に気持ちがいいんだ。自然に囲まれた広い道を、バイクに乗ってひた走る。もう最高！そうなると、絵になるのはやっぱりアメリカンタイプ！ねね、平さんもそう思わない？
そうだね（淡泊
「だよね」だよね、北海道にぴったりだよね。それになんと言ってもかっこいいよね。アメリカン・タイプって。カッコつけって言われるかもしれないけれど、気持ち良く走る為なら、別にそう言われてもいいじゃんね。そう言えば平さんは、バイクに乗ったりしないの？
取ろうと思ってるんですけど・・
「取ろう取ろう！」そうなんだ。うん、早く免許取った方がいいよ。バイクは本当に気持ちいいから。て言っても、実際に乗ってみないと分からないだろうけれどね。バイクはいいよ！車と違ってさ、なんていうか感覚がね。風を感じれると言うか、うーん、何て説明したらいいかな？
開放感、かな？
「それもあるけど」うーん、バイクだけの気持ちいい感覚って開放感とはちょっと違うかな。ほら、開放感だけならオープンカーの方が感じれそうでしょ。やっぱバイクにおける最大の醍醐味はね一体感かな。体とバイクが一体となって加速していく感覚、あれがもう楽しくて！バイクってすっごく面白みのある乗り物なんだよ！そうそうバイク以外の趣味はカメラなんだ。また機会があったらカメラの話するね。
ふむ。選択肢、間違ったか・・・。
「私の仕事」あーぁ、仕事が面白くないなぁ・・・。ちょっと前に仕事の内容が変わって、苦情とか抗議の電話を受ける担当になったんだけどさ、一日中そういう話し聞いてると気分が滅入っちゃってね。あ～ぁ、配置転換してくれないかなぁ。あ、そう言えば平さんには私の仕事の事詳しくは話してなかったよね？
公務員・・かな？
「正解！！」すごい、当たり！仕事の事には今まで全然触れていなかったのに、よく分かったね。でもよく考えたら、メール友達紹介サービスに登録する時、自己紹介に書いたような気もするなぁ・・ま、別にいっか。じゃあさ、さらに詳しく当ててみよう！クイズ、私の仕事はなんでしょう！
自衛隊とかですか。
「ビンゴ！」正解！すごいすごい！本当にすごい！良く分かったね！まあでも、自衛官といっても毎日訓練とかスクランブルとかしてるわけじゃなくて、私が所属しているのは広報室って言うところでね、仕事は見学者や取材の案内とか、ＰＲ活動をメインでやってるんだ。ねぇねぇ、私が自衛官で驚いた？
そうでもないよ・・。
「そう？」メールフレンドが自衛隊でも、平さんは驚くような人じゃないんだね。なーんだ、じゃあ気にしなくてもよかったのかな？ごめんね、今まで秘密にしてて。いきなり自衛官だって話したら、それっきり返事が来ないような気がしちゃってさ。何て言うか、ちょっと言いにくかったの。この乙女の気持ち、分かってもらえないかな？でも、これで隠してることがなくなってスッキリした！
分かってあげます（笑
「私達モテるんだよ」そうそう、自衛隊ではね、女の子はもてるんだよ。と言うのも、男と女の割合が極端にかたよってるからなんだ。これは想像どおりかな？だから男の自衛官は、女の子に声をかけまくって気を惹こうともう必死！女の子は自動的にお嬢様状態！ま、これは言いすぎか。
由子も声かけられてるの？
「もちろん私も男性隊員からは声かけられるよ。でもさ、声かけられるのは素直に嬉しいとして、ほぼ毎日言われ続けると嫌になってくるんだ。あ、これは私だけかもしれないけれどね。それに、男性隊員の声のかけ方ってなんかポリシー無くて、年頃の女の子だったらとにかくＯＫって感じなんだよね。
そんなことないんじゃない？
「そんな事ない」そんな事無いって。だってあいつら、どこそこに新しい女の子が入ったとか聞いたら目の色変えて飛んでいくんだよ。私も、女だったら誰でもＯＫって感じで声かけられてるんだったら嫌だなぁ。それでも最初の頃は結構嬉しかったりしたけど、最近は適当に相槌打つくらいにしてるよ。
あいつら・・っすか。まぁ、それでいいんじゃない？
「そうでしょ」そう思ってくれる？ 話が分かるね、平さんは。
来る人みんなを相手にしてたら、本当に切りがないんだから。男性隊員諸君も、少しは私達の気持ちを考えてみてもいいのに。て、そんな心の余裕はないのかな？
ないだろうな。
「千歳の飲み屋」私達自衛官が行く飲み屋は、なぜか各部隊毎にテリトリー分けされているんだよ。
どうしてそうなってるのかはわからないんだけどね・・。
だから他の部隊と飲みに行くなんて事、なかなか無いんだよね。
不思議だよね、同じ自衛官で同じ基地にいるのにさ。
緊張感を高めるためかな？
「あるかな？」わざわざ飲みに行くのに、そんな気負うような気持ちでは行ってないんじゃない？
今までのところ、騒ぎになったって話は聞かないからね。
それに隊員同士は至って仲がいいし。何も問題無いよ。
まあ、部隊毎に集まるのは一種の習慣というか行事になってるのかな？
何か不思議な行事だなぁ。
「部隊で飲みに行くのが」行事って言うより、儀式って言った方がいいのかもね。
あ、危ない儀式じゃないよ。
部隊内の親睦を深めて士気を高めるって感じかな。そういう時って、他の部隊の人がいると気が引けるじゃない。
だから部隊毎に集まるんだと私は思ってるんだ。
親睦を深めるためかもしれないね。
「きっとそうだね」まあでも「親睦を深める為」って言うのは、同僚と話し合って苦し紛れに出した結果なんだよね。これ以外の答えが出ないから、みんなで納得してるんだよ。
だからホントのところは誰もわからないって言うわけ。
なるほどねー。
「スルメ貰っちゃった」さっき後輩からスルメの詰め合わせを沢山貰っちゃった。うれしいなぁ、私スルメ好きなんだよねぇ。
実家が漁師をやっててね、こうやって定期的に干し物とか送ってくるんだけど、その度に私にくれるんだ。
この後輩は私と１つ違いなんだけど、バイクが趣味だったりですごく気が合うんだ。
最近では色々と相談に乗ってあげたりしてます。何しろ私にできた初めての後輩だからね、もう可愛くて可愛くて！
それは、目に入れても痛くないほどなのかな？
「それは分からないけれど」うーん、目に入れてみたことは無いからなんとも言えないけれど、きっと痛くないよ。
まあそれは冗談だけど、後輩は妹みたいな感じだしね。
それに彼女を見ていると、一年前の事を思い出すんだ。
入隊したばかりの初々しかった頃の私を。なんてね！
初々しかったの？・・そんなに可愛いんだ～
「可愛いけれど」後輩はすごく可愛いけれど・・。でもさ平さんはなんでそんな事気になるわけ？
平さんには関係ないハズよねぇ。
それなのに、どうして「可愛いの？」なんて聞くわけ？ ねぇ？
由子から言ったんじゃなかったかな？後輩が可愛いって話は。
「そう言えばそうでした」発端は私にあったのね。
でもね、私が言いたかったのは感情での可愛さであって、容姿での可愛さとは違うのよ。なんて言っても聞き苦しい言い訳だよね。
はい、素直に過ちを認めます。ごめんね。
素直だと逆に怖いな・・（汗
「ちょっとね」ちょっと近場だけど、バイクで走ってきたよ。
冬だからバイクでは近場しかいけないのよね・・・。
後輩が走るの付き合ってくれたんだ。いい子だよねぇ。
頭に来る事があって、かなりむしゃくゃしてたけど、お陰で気分リフレッシュ！
なんかあったの？
「仕事でね・・・」頭に来る事っていうか、ちょっと仕事の事で上官の人と揉めちゃってね。
よくある意見の食い違い。
私が自信を持って進めてたイベント計画に、上官から文句つけられたんだ。それで頭にきちゃって。だから、バイクに乗ってストレスの発散をしようとしたワケ。
後輩は何て言ってた？
「楽しかったって」後輩は楽しかったって言ってるよ。
付き合ってもらったお礼として、後輩をカメラで沢山写してあげたんだ。
可愛いのからカッコイイのまで、色々な写真があるよ。
ポーズとかつけた？
「したんだ」最初は恥ずかしがってたけれど、私の巧みな話術で、最近は乗ってポーズをつけてくれるようになったよ。
でも残念ながら、平さんが期待しているようなセクシーショットは撮ってないからね。
なんだ、残念・・・
「気にする事なのかな？」私って、他の人から言わせるとすごく大食いなんだって。
まあ、確かに他の人より多めに食べてるかもって気持ちはあるけれど、それでも少ししか変わらないと思うよ。
でもさ、やっぱり女の子って少食の方が好かれるのかな？
いや、オレは食べる人の方が好きですよ。
「そうなんだ」へぇー、平さんはよく食べる人が好きなんだ。
そうだよね。よく食べるってことは、元気ってことだもんね。
元気って事はイコール健康イコール美人うんうん。
まぁこれは冗談だけど、大体北海道って美味しいものが沢山あるから、ここに住んでいて少食なのは勿体無いと思うな。
ところで、平さんはよく食べる方？
食べ過ぎです。ダイエットしなきゃ・・。
「いいねぇ」うん、いい事だね。
沢山食べる人って気持ちいいよね。私もよく食べる人は好きだな、その前に自分がよく食べるんだけどね。
ところで平さんは、好きな食べ物って何？
ラーメンかな・・。
「ラーメンね」ふーん、平さんが好きな食べ物ってラーメンなんだ。
私が好きなものは・・・、沢山あるな。
強いて言うなら美味しいもの！ あははは。
なんだそりゃ・・。
「後輩がね」前に私のカワイイカワイイ後輩の話したよね？
その後輩がさ、最近なんか元気ないみたいなんだ。
理由を聞こうとしても話してくれないし、励まそうとしても全然反応悪いし・・・。
悩み事があれば、相談してくれれば協力するのにね。
こういう時って、どうしたらいいのかな？
食事で釣ったら？親呼んだりするのもありかもしれないが。
「効き目薄そう」食事で釣るって・・・、うーんなんだか効き目薄そうなんですけど。
なんか別の方法は無いかなと思ってあれから考えてみたんだけど、スポーツに誘って汗をかけば、スッキリして悩みを話してくれるかもしれないよね。
この作戦成功しそうでしょ？ っていうかもう実行決定です。
なんだよ、相談しといて。ま、いいけど。
「いい汗かいたぁー」うーんいい汗かいてきた！
そうそうやっぱり後輩、悩み事があったんだって。
あの子には、片思いの男性がいるらしいんだけど、つい最近別の男から告白されたんだって。
その人は真面目で優しそうな人だったから、いっそ片思いは諦めてその人と付き合おうかどうかって悩んでいるらしいの。
私もその気持ち、分からない訳じゃないのよね。だから諦めるのはまだ早いんじゃないかって、励ましてきたよ。
私って、いい先輩よね
確かにいい先輩だ。
「そう？」私、冗談のつもりで言ったんだけれどな。平さんから見るといい先輩に見れるのかな？
そうそう、後輩は吹っ切れたみたいだよ。まだどうするか聞いてないけれどね。
でも、これ以上は私が立ち入る問題じゃないから、自分で結論を出すしかないよね。
そういうことですね。
「続報」今さっき後輩がお礼を言いに来た！ 「相談に乗ってくれてありがとう先輩」だって。うーん、嬉しい！
でさ、あの子告白を断って片思いの彼一筋で行くんだって。
なんだかちょっぴり涙が出てきちゃった、私もあの子の片思い応援してあげないとね。
・・・人のこと心配してる場合じゃないのでは・・。
「冬の移動」北海道って冬は雪が異様に降るでしょ、だからバイクは厳しくって、移動手段はほとんど車なのよね。
でも北海道の冬って長いから、結構ストレス溜まっちゃうんだ。
なんか効果的なストレス解消法ってないかな、なんて急に考えちゃった・・。
食べて発散するってのはどう？
「いいけど」そうだね、冬は美味しいものが沢山あるからストレス発散にはもってこいかも。
でも、冬は体動かす機会が減るから、あまり食べ過ぎたら太っちゃうよね。
体重はあまり気にしない方だけど、増えすぎはちょっとね。
そうそう話は変わるけど、北海道に限らず雪がよく降る地域では、冬になる前に車の整備を済ました方がいいよ。雪が降り積もる中、いきなり車が止まったらお手上げだからね。
車の中で、氷漬けって事になりかねないしね。
助けを呼べばいいんじゃないのかな。
「そうなんだけれど」そりゃさ、平さんの言う通り助けを呼べばいいんだけれど、雪が積もりすぎて車が動かない地域もあるから、確実じゃないのよね。
本当に大変な時は、自衛隊が出動して救出活動にあたったりするんだよ。
やっぱり車は早めに点検しておいたほうがいいよ。冬に限った事ではないけれどね。
自衛隊も出動するの？本当に？
「本当に大変な時だけね」普通は消防が出動してるけれど、消防の設備や人手が足らない時は、私達自衛隊の出番になるの。と言っても、陸上自衛隊だけなんだけれどね。私の所属する航空自衛隊は出動しないの。
だから私達って地域との密着が薄くて、騒音を出すだけの部隊なんだって思われがちなのよね。
でも、それを改善させようと頑張ってるんだよ。
そうだったのか・・。すごいな、自衛隊は。
「自衛隊の批判」自衛隊って世間で色々と言われてるじゃない。主な言われ方は批判ばかりだけれどさ。て、批判以外で話題に上る事ってほとんど無いか。
でもさ、批判ばかり言う人達って、本当に自衛隊の事よく知った上で言ってるのかな？
多分、思いこみだけで批判しているんだと思うよ。
「そうだよね」そうそう。知らないと思うんだ。
いつも場当たり的なことしか言わない人達だから、信用できないんだよね。
しかも言う人達って、なぜか偉そうじゃない！ それが私は許せないんだ。
そうだ、そのとおり！
「でしょでしょ！」平さんもそう思うでしょ？
そんな人達の言う事で、一斉にバッシングされるんだからたまらないわよ。
そうすると、私の仕事も忙しくなるんだよね。急遽ＰＲ活動を行ったりするようになるしね。
でも、そんな意見に負けないのが本当は望ましいんだよね。それが私の今の仕事なんだし。
よし、頑張るぞ！
がんばれ！応援しているぞ。
「頑張りまーす」ありがとう、平さん。
まさか応援してもらえるなんて、思ってもみなかったよ。
よし、批判家の意見なんて吹き飛ばしてやる！
それじゃあね。
自衛隊も色々と大変なんだなぁ。
「札幌まで出かけてきます」後輩が札幌の店に買いたい物があるって言うから、札幌まで出かけてきます。
何を買いたいのかは、まだ聞いてないけれどね。
聞いても「秘密」って言って、教えてくれないんだよ。
何かありそうじゃない？
ありますね、絶対に。
「そうでしょ」でしょう。絶対何かあるよね。
言った言葉が「秘密」だもん。何かない方がおかしいよね。
気になるなぁ。
今はね、私達はもう札幌市にいるんだよ。で、後輩が目的のお店を探し歩いてて、私は後ろから着いていってるんだけれど、一生懸命探してるのよね。
私がメール打ってるのにも気付かないで。
一体どんなお店を探してるんだろう？
服のお店かな・・・。
「私はねぇ」私は何も買ってないよ。買ったのは結局後輩だけ、しかも男物のサングラス！
気になったから、何で男物を買ったのかって聞いたら、「プレゼント用に」って、恥ずかしそうに言うんだよ！ クゥ～可愛いよねぇ。
きっと、この前言ってた気になる人にプレゼントするんだろうな。
後輩、告白されてから積極的になったみたい。
私もプレゼントしてみようかな。
そう、それがいいよ。例えばオレに（笑
「ツーリング旅行にＧＯ！」これから後輩と共に、有給休暇を使ってのツーリング旅行に行ってくるよ。
目的地は、北海道の東側に位置する川上郡標茶町の温泉宿！
結構な距離を走るんだけれど、少し寄り道をして行く予定。
それでは！
気を付けてよ。結構な距離って先生！
「大丈夫だって」平さんが心配しなくても大丈夫だって。そう簡単に事故を起こしたりしないから。
そうそう、私達は寄り道して「二十間道路」で桜並木を横に走ってたんだ。もう桜は咲いていないけれどね。
「二十間道路」って言うのは、その名前の通り道路幅が３６メートルあるんだよ。
桜が咲いていなくても、走ってるだけで気持ち良かったよ。
いいなぁ。
「温泉は気持ちいいよぉ～」私達はすでに宿に着いて、温泉を楽しんでまぁ～す。
私達が泊まってるのは「憩の家かや沼」って言って、釧路湿原に湧く温泉を利用して、温度の違う４タイプの湯船があるんだ。それに露天風呂があって、そこから眺める夕暮れは最高なんだって。写真で撮らなくちゃね。
私はこれから、後輩と一緒に湿原を散歩してくるよ。何だか、報告したい事があるって言ってたな。
多分、この前のプレゼントの事だろうね。
どうだったよ。
「いい報告だったよ」やっぱりその報告だったよ。報告するときも照れちゃって、なかなか話し出してくれないし。
後輩からの報告によると、プレゼントは喜んでもらえたみたい。それから頻繁に話すようになったんだって。
上手くいったみたいで良かったよ。ちょっと羨ましかったりするけれどね。
私も真似てみようかな。
それじゃ、帰路の途中からでした。
北海道を満喫している感じが羨ましいです。
「カメラは本当にいいよ」私が写真撮るの好きだって事は何度も言ってると思うけれど、写真だけじゃなくてカメラ自体も好きなんだよね。
ほら、カメラのデザインてかっこいいし、技術の結晶って感じするじゃない？
特にコンタックスのカメラはそうなんだよね。
平さんはコンタックスって知ってる？
勿論、最高ですよ！
「持っているの？」その反応、もしかして平さんはコンタックスのカメラ持ってるの？
コンタックスのカメラはいいよね！
特にカールツァイスのレンズを使っているのが、最大の特徴よね。
私が使ってるコンタックスＧ１のレンズも、高性能で安く手に入るんだ。
そんなカメラとレンズの組み合わせ方が、私がコンタックスを好きになった理由か
友達が持ってます。いいですよ、本当に。
「話が分かるね」うんうん。平さんは話が分かるね。
でもなんかカメラの話してたら、新しいレンズ欲しくなっちゃったな。
もう、迷うな！買っちゃおうよ。
「買っちゃおう！」ウン、買う事にしたよ！
レンズを使い分けて、いい写真をもっと撮りたいからね。
写真の幅が広がると思うし、撮り方も増えると思うんだ。
と言う事で、探してくるね。
よしよし。
「ちょっと聞いてくれる？」送ってたメールを見直したんだけれどさ、私ってちょっと独りよがりだったって思うんだ。
私の意見を押し付けてて、勝手に納得してるって。
ちょっと前に送ったメールでも、平さんに怒りを向かわせてるって感じで、良くないよね。
平さんから見て、どう思った？
まぁ、そういうところもあるな。
「やっぱり」やっぱり平さんもそう思った？
そうだよね。独りよがりだったよね。
でも平さんもそう思ったら、私に遠慮せずに注意してね。
悪い所だから、直さないとダメだと思うんだ。
だからこれから先、ちょっと独りよがりだなって思ったら注意してね。
わかりました。
「お願いね」自分からだと、なかなか気付かなかったりするからね。
客観的に私を見てくれる人がいると、こういう時助かるな。
でも、平さんはいい奴だね。信頼できる奴だし。
平さんってモテるんじゃない？ 男女関係無くさ。
また決めつけてるよ・・・。
「本当だ！」本当だ。またやってたね。
でも、いきなり直すなんてできなさそうだし、時間かけて直すしかなさそうだね。
ご指摘ありがとうね。
これからもこの調子で注意してね。
それじゃ、またね。
気長にな。どんどん注意しますから。
「前にも言ったっけ？」私さ、最近納得がいく写真が撮れないのよね。
撮影テクニックの上手い下手って言うより、出来上がりが頭に描いたイメージ通りじゃないって感じなの・・。
うーん、でもこれって下手って事なのかな？ それともスランプ？
どうやったら自分の納得が行く写真が撮れるんだろうね。
焦っても仕方ないよ、肩の力を抜いて。
「そうだね」そうだね、今のまま焦って写真を何枚も撮っても、納得行く写真が撮れるのは１枚くらいだろうしね。
たまには肩の力を抜いてゆっくり撮影してみようっと、基本に戻って１枚ずつ丁寧にね。
というわけで、ちょっと写真撮って来まーす。
いってらっしゃい。
「大成功！」時間が無かったからあまり撮って来れなかったけれど、結構手応えのある写真が撮れたよ。
やっぱり上手く撮れると嬉しいよ。
うーん、やっぱり基本って大切なんだね！
そうだろう？基本が大事なんだよ。
「仰る通り」うーん確かに平さんの言う通りだよね。
感謝しております。
でも、何か悔しいなぁ。
まあ今度まとめて休みが取れたら、落ち着いてゆっくりカメラをいじってみようかな・・・。
そうだね。
「ファッション」そうそう、そういえば今まで平さんとは、あまりファッションの話とかしてなかったよね。
私が普段どんな服を着ているかというとね、ご想像の通りバイクの運転に邪魔にならないようなモノなんだ。
だからヒラヒラした服は殆んど持ってなくて、動きやすい服が多いんだ。
ジーンズは大好き！ スカートはあまりはかないな。
そっち系ですか。具体的には？
「RE:具体的には？」うーんと具体的には、アメリカンカジュアル系だね。ほら、バイクに合うでしょ。
そうそう、札幌だけど、アメリカンカジュアルのいいお店があるんだよ。「ベーブルース」って言うんだけどね、服の他に、革製の小物やアクセサリーが置いてあるんだ。それもハンドメイドでね、センスいいんだから！
・・・なんて書いてたら行きたくなっちゃったな。
よし、今日でも行ってみよっと。
気が早いですねぇ。
「ビックリ遭遇！」昨日は結局あれから「ベーブルース」に行きました。
急に思いつきで行動して、とか思った？
でも実は行動計画書には札幌に行くって書いてたのよね。
そうそう「ベーブルース」でね、ビックリ！上官とばったり会っちゃった！
その上官、カジュアルって言葉とはまったく縁が無い人なのよね。なのに上官、アクセサリーを買ってたの。一体あのアクセサリーどうするんだろう？
うーん、気になるなぁ。
プレゼント用なんじゃないの？
「そうなんだろうね」プレゼントかぁ・・・。多分そうかな・・・。
あの人彼女とかいるのかな？
うらやましいな、私もプレゼント貰ってみたいよ。
うーん、独り身は寂しいです・・。
よかったら・・（笑
「やっちゃった」仕事の事で同僚とケンカしちゃった・・。
あ、別に殴り合いのケンカじゃないよ。
仕事のやり方についての話してたら、つい白熱しちゃってね、かなり激しい口論になったんだ。
それからは仕事場の雰囲気が悪くなってもう最悪！
ケンカするつもりは無かったのになぁ。
ケンカ？またなんでまた。
「興奮しちゃってさ」意見の対立からつい興奮しちゃってね。
売り言葉に買い言葉で、ケンカって形に発展しちゃったの。
今思い出してみると、大人気無かったな。
我ながら情けなくなっちゃう。
何はともあれ、自分で起こしたケンカなんだから自分で納めないとね。
とりあえず、ケンカ相手と話してくるかな・・・。
今いくと、またケンカになるかもしれないよ。
「そうかもしれないけど」確かに今話せばまたケンカになるかもしれないけど、だからってこのまま放っておくわけにはいかないよ。
だって、仕事場を険悪なままにしておきたくないからね。
結果はどうなるか分からないけれど、とにかく私は話しに行ってくるよ。
気を付けてな。
「さっき」さっきさ、ケンカ相手と話してきたんだけど、お互い落ち着いて話したらすぐに和解できたよ。それからしばらく仕事について語り合ってね、今回の一件でなんだか相手の事より深く理解できたような気がする。
あーぁ、もっと早くに話しに行けばよかったなぁ。
人間、素直が一番なのさ・・・。
「葉書が来た」あのさ、近所のまあそこそこ顔を出すカメラ屋さんから、写真コンテストの参加案内の葉書が来たんだ。
前からあの店長、参加してみろってうるさく言ってたんだけどね。こうやって正式に案内書が来るのは初めてだなぁ。
私は趣味レベルだからって、今まではずっと断わりつづけてきたんだけどね。今回は参加してみようかな・・。
参加するべき！
「そうだね」うん、そうだね。
せっかくこうやって正式にお誘いが来てるんだから、今回は参加してみるよ。
私の実力がどれだけあるのか、試してみるのも悪くないからね。
よし、やるからには賞を取って、平さんを驚かせようっと！
頑張れよ！
「任せてよ！」私が趣味でやっているとはいえ、今までやって来た成果を見せるいいチャンスだしね。
絶対に入賞して、平さんを驚かして見せるよ！
そうと決まれば、コンテスト用の写真を撮って来ないと。
応募作品は人物ってことだから、誰かにモデルを頼まないとね・・。
例の後輩は？
「そうだねぇ」うーん、そうね。後輩に頼むか。
後輩はカメラの前で変なポーズつけたりしないで、いつも自然体だから、面白い被写体なんだ。それになんと言っても頼みやすいしね。
あとは私のカメラの腕前次第ね。よし、頑張るぞ！
うむ。
「準備開始！」あれから写真コンテストに向けて、着々と準備を開始してます！
まあ準備と言っても、写真のイメージを練ったり、撮影場所の下見をするとか、カメラの手入れをするぐらいだけどね。
あとは人物の撮り方を勉強しないとね・・・。正直言って、私人物はあんまり上手じゃないのよね。
やる気あるね。
「あるよ！」もうヤル気満々です！ なんと言っても初めてのコンテスト参加だからね！
目標は最優秀作品賞！ なーんて賞があるかは知らないけれど、とにかく参加する以上は１番を目指します！
でも人を撮るとなると、今持ってるレンズだけじゃ役不足なんだよね。
新しいレンズ買おうかなぁ・・。
必要あるの、それって？
「どうだろう？」うん、被写体や撮りたいイメージに合わせてレンズを換えるって必要なんだよ。
どの場面でどのレンズを使うかっていうのもまた、カメラマンの経験や個性が反映されるんだよね。
今回いい機会だからね、色々試して経験値を増やそうと思ってるんだ。
そういうものか、なるほどね。
「RE:なるほどね」バッチリ分かってくれた？ ＯＫ！ＯＫ！
そうそう平さん聞いて！ 新しいレンズ買っちゃいました。ゾナーの90mmってタイプだよ！
私愛用のコンタックスＧ用の交換レンズだよ。
今まで広角レンズしか持ってなかったからね、これで表現力大幅アップ間違い無し！
コンテストまではまだ日があるから、じっくりモノにしていくつもりだよ。
コンテストいつなんだろう。
「撮るぞぉ！」やっと休みが取れました！ 今回の休みは、カメラの腕をあげる為に修行の旅に出るんだよ！
ま、修行の旅とは言っても、日帰りで行き来するだけなんだけどね。
まずは近くの牧場に行ってみようかな・・。
牧場か、いいね。何を撮るの？
「えーっとね」えっとね、馬を撮る予定だったんだけど・・・、この牧場牛しかいないみたい。
うーん、予想外だったなぁ。
下調べ十分にしてなかったからまあ仕方ないか、今回はあきらめて牛を撮る事にするよ。
風景を取り入れてみたらどうよ。
「グッドアイデア！」平さんいいアイディアありがとう。さっそく牛を入れた風景写真を何枚か撮ってみたんだけど、結構いい感じにシャッター切れたよ。
仕上がりが楽しみだなぁ。
さて、まだ休みはあるし、次はどこ行こうかなぁ・・。
次は繁華街だな。
「なるほど」繁華街に行けば、面白いものが撮れるかもしれないね。うん、せっかくだから行ってみようっと。
それに繁華街だったら写真は撮れなくても、美味しいものが食べられるしね。
美味しい物に目がないね（笑。
「発見！」あれから繁華街に行って来たけれど、美味しい料理屋を発見しました！
これも平さんのおかげ、ありがとね。
後はいい写真が撮れたらよかったんだけど、今回はあんまりでした。なかなか上手くはいかないものねぇ
さてさて、明日からまた仕事か。休んだ分頑張らないとね。
休みすぎなんだよ・・。
「また話だって」また後輩から話があるって言われたよ。
後で時間作って聞きに行くけれどさ、今度は一体どうしたんだろう。
例の片思いの彼に相手にされてないのかな？ それとも、イイ感じだって話なのかな？
関係ない話じゃないの？
「残念でした」平さんの予想はハズレでした。やっぱり相談事は例の片思いの相手の事だったよ。
２人は結構上手くいってるんだって。
ま、恋人としてじゃなく友達としての関係なんだけどね。
で、ここからが、相談の中身なんだけど、後輩とうとう告白する気になったんだって。
それで告白の仕方は何がいいですかねって聞かれちゃったのよ。
私は素直に自分の口から告白するのがいいと思うんだけどね。
オレもそう思う。
「そうだよね」やっぱり素直に自分自身で告白するのがいいよね。
好きって気持ちが、相手の人に伝わる１番いい方法だと思うんだ。
後輩には向いてる告白の仕方だと思うしね。
という訳で、後輩には直接告白するように言っておいたよ。
でも、告白するのはちょっと先みたい。まだ心の準備ができてないんだってさ。
まあ、気長に待つとするかな。
相手って誰ですか。それ聞かないとダメだろ。
「そういえば！」そういえば、後輩の片思いの相手って誰だろうね？ 今までずっと聞くの忘れてたよ。
まあ、そのうち話してくれるでしょう。それまで待つか。
ふむふむ。
「撮影したよ」写真コンテスト用の写真撮ったよ。でき上がりを見てみないとわからないけど、結構いい感じの写真になったと思うな。
自衛隊員の特権を活かして、バックは戦闘機だよ、ちょっとずるいよね。
後輩にモデル頼んだアレでしょ？
「そう！」そうそう、後輩にモデル頼んだヤツの事。でも平さんよく覚えてたね。
後輩ね、いつもは写真撮るの恥ずかしそうにしてるんだけど、今回はかなりノリノリだったんだよね。私がしてって言ったらもうホントどんなポーズでもとってくれるの。何かいいことあったのかな？あんまりノリが良いもんだから、キワドイショットも撮っちゃった。
ここで変なこと言うと「期待しているようなものはないよ」と言われるので我慢して。写真のデキはどうですか？
「写真のデキは」写真のデキはね。うん、やっぱ思った通りいいショットだった！
頭の中に思い描いたイメージそのままって感じでね、こういう事はめったに無いんだよ。
この写真なんだかコンテストに出すのがもったいない感じしてきたな。
出すべきでしょう！
「出すべき！」あははは、そうだね、せっかくいい写真が撮れたんだもん出すべきだよね。
いやいや、何考えてたんだろう私。
そうだよぉ。
「あのね」あのね、突然かつ今更な話なんだけど。平さんってどこらへんに住んでいるの？
ほんと今更だよね、というかどうして今まで聞かなかったんだろうね？ それだけ平さんとのメール交換が楽しかったという事かな？
関東だよ。
「いいねぇ～」関東ね、なんと言っても日本の中心だから必然的に美味しいものが全国から集まってくるんだろうなぁ。
友達から聞いたんだけど、東京の神田の駅の近くに美味しい地鶏すき焼き屋さんがあるんだって。そのお店は最後すき焼きの鍋に卵を落として作った卵焼きを、ご飯にのせていただくんだって。もうよだれが落ちてきそう・・。
あ、話が思いっきりそれたね。それで平さんは関東のどこに住んでいるの？
アルピーヌ市ですよ。知ってる？
「アルピーヌ市か」平さんはアルピーヌ市に住んでるのか、ふーん。今度詳しく調べておこうっと。
何が美味しいか、とか（笑）
なんか食べ物の事ばかりだね、いつもの『美味しいもの食べたい病』発作がまた始まったかな？
お腹すいてきたなぁ。
「と言うわけで」そうだよね、平さんも食べ物の話してたらお腹すいてくるよね。
と、言うわけでなんと今からデザート食べまくりの旅にしゅっぱ～つ！です。
急だと思う？ 本当は１週間前から計画していたんだ。寂しい事に１人旅なんだけどね・・・。後輩誘ったんだけど、今回は遠慮するんだってさ。
ほんじゃ、オレが一緒に行こうか？
「またまた」またまたそんないい加減な事言って。
じゃあ１００００数えるまで待ってるから、今すぐアルピーヌ市からココに来る？
あははは、来れるわけ無いよね。冗談冗談。
まあいいのよ１人旅も気楽だし。
ただし！ 雪でバイクには乗れないから電車の旅なんだけどね。
そうか。気を付けてなー。
「メール待った？」桜町由子でーす、メールしばらく来ないからビックリした？
ゴメンゴメン、実は今病院です。あのね、ちょっとした事故でさ・・・。
ま、そういうわけで、また落ち着いたらメールするね。
怪我？？？大丈夫なの？
「怪我？」怪我の具合？ うん、大丈夫大丈夫！と言いたいところなんだけど！！ 折れてこそないけど、足の骨かなり強烈にヒビが入ってるんだって。
まだ全部の検査が終ってないから正確にはわからないんだけど、お医者さんからは３週間は覚悟しろって言われちゃった。
うーん、身体全身痛い！
おいおい、どんな風に痛いんだ？
「痛い・・」うーん、疼くように痛い・・。
・・・。
「えっとね」そういえば平さんには事故の話しってまだしてなかったよね。
それが情けない話しでさ、雪で湿っていたエスカレータで足を滑らせて落ちちゃったの。で、打ち所が悪くてこういう結果。ねぇどう思う？
運が悪いよね・・。
「でしょ？」でしょ、運が悪いよね。
まあでもクヨクヨしてても仕方ないし、いつもの『元気由子』復活！
そう言えば入院生活って私初めてなのよね。滅多に経験できないだろうし、今日から目一杯楽しむぞ！
何言ってるの。失礼だよ！
「Re:失礼だよ！」うーん、そうね病院は病気の人が沢山いるんだもんね・・・。中には・・・。
あーぁ、入院生活楽しむなんて、軽はずみな事言っちゃったね。反省。
ありがとう平さん！ 平さんに注意してもらわなきゃ私、他の人の事も考えないで、はしゃいでたかもしれない。
それじゃ、入院中もメールの相手よろしくね。
任せておいて。
「Re:任せといて」ありがとう、これで入院中何もやる事がなくなっても、退屈しないですむね。
ところ
・・？どうしたの！？
「怒られちゃった」前のメール途中で切れちゃってたでしょ？
あの時ベットの上でi-MODEやってたんだけど、看護婦さんに見つかって没収されそうになったのよ。
それで慌てちゃって、打ちかけのをそのまま送っちゃったってワケ。
でもそうだよね、病院内って携帯電話禁止でしょ。話すだけじゃなくてメールしても電波飛ぶからダメだよね。
今は看護婦さんに非常階段まで連れて行ってもらって送信してます。しばらくメール送れなくなるかも、ごめんね。
何か悪いよなぁ。
「じゃーん！朗報」さっき回診に先生が来たんだけど、思ったよりも大丈夫らしくて、これからは自由に散歩していいんだって！てなわけで早速松葉杖借りて中庭に来てま～す！
メールしばらく送れなくなると思ったけど取り越し苦労だったね。あーよかった。
よかったよかった。
「快適いいね♪」うーん、不謹慎かもしれないけれど、入院生活って結構いいね。
これだけまとめて何もしなくていい時間があるなんて、学生時代以来じゃないかな？
自衛隊員になってからは、仕事だ！訓練だ！遊びだ！ツーリングだ！なんて毎日を過ごしていたからね。
ちょっと不満はあるけれど、今まで読みたかった本を読んだりゆったりテレビ見たりしてリッチな気分に浸ってるよ。
どんな本を読んでいるのさ。
「本？」どんな本を読んでるかというと。えーとね、懲りずにバイクの本とか小説とか色々、とりとめもなく読んでるよ。
こんな事がない限り、本なんてじっくり読めないもんね。
まあでもずっとそうしてるわけじゃなくて、外に出て庭を歩き回る事も結構あるんだよ・・。
えーじっとしてなきゃダメ。だろ。
「Re:じっとしてなきゃダメ」うーん、そう言われても、じっとしてるのは私の柄じゃないのよね。逆に体悪くなっちゃうかもしれないじゃない。
だからと言って病院内では暴れられないし、寝てばっかりいると体鈍っちゃって退院後苦労するからね。
少しでもいいから体は動かしておかないと。
寝てた方がいいでしょうが。休めるときに休んでおかないといけないと・・・。
「それはダメでしょ」寝てばっかりいたらダメでしょ。
私だって自衛官としての自覚はあるから、できる限り体力の低下は避けるように勤めて、復帰した時に特別扱いされないように気をつけないとね。
そうですね。（怪我するなよ、そんなら）
「そういえば」病院って色んな人がいるね。
同室には女子高生の患者と詮索好きなおばさんがいるんだけど、とにかくこの２人は話し好きで面白いのよ。
そう言えば、さっきなんて片足ギブスでナンパしてる最低な男を見たよ。あと昨日、自称は社長なんだけど、とてもそうは見えない変な人にも会ったっけ・・・。
ナンパ男ですか！？そいつはすごい。声かけられた？
「ナンパ男」あーぁ、とうとう私もナンパ男に声かけられちゃった。
別に暇だったし、軽くあしらうつもりで少し話してみたけれど、やっぱ最低な男だった！
そいつ、私がつれないものだから必死で会話繋げようとするんだけど、右腕と左足にギブスしてる格好がもうおかしくておかしくて、つい耐えきれなくなっちゃって笑っちゃったの。そしたら彼「ボクの話そんなに面白かった？」だって！
本当に自分の事わかってない変なヤツだよねぇ。
笑えないなぁ。変なヤツではあるんだろうけど・・男なんて皆そんなもんだからなぁ。
「笑っちゃうよ？」そのナンパな彼に骨折した理由を聞いたんだけど、笑っちゃうよ？
なんとね、エスカレーターでこけたからなんだって。
それで私、更に大爆笑！ それでもそいつ「俺って面白いだろ」だって。そのセリフ聞いて、逆にかわいそうになってきたよ・・・。
彼、自分がイケてると信じて、きっと懲りないまま歳を重ねていくんだろうな。
あ、なんか突然だけど創作意欲が沸いてきた・・・！
どんなイメージなのさ。
「えーっとね」私、病院とか入院患者とかって陰気なイメージしか持っていなかったの。
でもね、周りにいる人達を見たら、確かに怪我とか病気とか、それぞれが重さの違う荷物を背負ってはいるけど、ただそこが違うだけで後は普通の人と何も変わりないのよね。
そう考えたら、創作意欲というか急にあのナンパ男の写真を撮りたくなったんだ。
彼、勘違いするんじゃないの？
「きっと撮れるよ」まあ彼間違いなく勘違いするだろうけどね。でもさ、それでもいいの。彼に対して私が感じた事、例えば『軽そうで懲りないヤツ！』とか『痛々しい事で余計に滑稽だ！』みたいな素の部分をフィルムに切り取れたらきっと面白い写真になると思うんだ。
楽しみにしてるよー。
「没収！！」あれから写真撮ってたら、看護婦さんが飛んできて、大目玉食らった挙句にカメラは没収！
私が何をしたというの！ 別にいいじゃない写真を撮ったって、ね！
あー腹が立った！ 今日は売店でやけ食いだ！
太るぞ！
「もう退院したい」あーぁ、もう退院したい！
カメラも没収されたし、本もテレビも飽きたし、寝るのももう十分。自由に外を歩けるけれどそれは病院の施設内だけだし・・・。
大体そんなに私は重症じゃないんだから、そろそろギブス取って欲しいなぁ。
そう言えば一昨日の朝にした検査の結果、まだ出ないのかな？ その検査の結果で退院の予定日が決まるって言ってたのに。
何を焦ってるの。
「別に」私、別に焦ってないよ。
ただ、これ以上時間持て余すのもなんだかね・・・。
平さん、何かいい暇つぶしないかな？
音楽鑑賞・・とか（ここは何を書いて送っても以下のような冷たい反応しか返ってこない）
「ふーん・・・」ふーん、平さんの暇つぶしって音楽鑑賞なのか。
うーんなんか平さんの趣味と言うか性格がわかったような気がする。
じゃあ聞くけど、音楽鑑賞ってよくするわけ？
毎日欠かさないよ。
「Re:毎日欠かさない」ふーん、平さんは毎日欠かさず音楽鑑賞か・・・。
そこまで言われたら、しないわけにはいかないでしょう！ なんてね♪
でもさ、毎日してるって事は平さん毎日暇なんだね。
こ、こいつ・・・。
「見舞いに来ない」聞いてよ、ここしばらく誰も見舞いに来てくれないんだよ。
事故した翌日は仕事場のみんな来てくれてたのに・・・。そう言えば後輩って一回も来てないぞ！！
あーぁ、ただでさえ退屈なのに、誰も見舞いに来ないと寂しいな。
みんな忙しいんだよ。
「そうかも」多分忙しいからだと思うけど、休みがないわけじゃないし来てくれてもいいと思わない？
それとも私の事心配じゃないのかな・・・。
騙そうとしてる？
「バレた？」あはは、バレた？ ああやって寂しそうな感じのメール出したらどんな反応するのかなぁーって思ってね。
でもさすがに平さんは騙せなかったか・・・。
あ、本当に私、寂しくないからね。
それはそれで。
「後輩が来るって」さっき後輩からメールが来てね、明日仕事が終ったらお見舞いに来てくれるんだって！
これでちょっとは寂しさがまぎれるね、由子超うれしぃ～ってかんじぃ～。明日が楽しみ楽しみ♪
何故にコギャル・・
「あはは」どうしてコギャルかって？ 別に理由はないけど・・・。
まぁいいでしょ？ 超うれしい事は超うれしいんだから！
恥ずかしくない？（ここらへんは何を選んでも「似合わないからやめて」とか、うまくいかないようだ）
「分かったってば」はいはい、分かった分かった、後輩が来るって聞いて確かに私浮かれてました。今時流行らないコギャル用語使って恥かしいです。
これで気が済んだ？
ごめん、言い過ぎたよ。
「気付いてくれた？」私、平さんのメール見て結構怒ってたんだよ。なんか、なし崩しに私を否定するような事いうからホント！
でも、言い過ぎたと平さんが思ってくれたらそれでいいとしましょう。
私もさっきのメールはちょっとイヤミに書きすぎてたと思うし、これでアイコと言う事にしましょう！
ですね。
「なんでだろ」あーもう！ 楽しみにしてたのに。
後輩今日は来れないんだって、これだけ期待させときながらホントになんでよ！
ああ、今日はもう寝よ！ 寝る！
何か用事があったんだよ。仕事だよ。
「そうみたい」昨日の夜、後輩から病院に電話があってね、「行けなくてごめんなさい」って。
平さんの予想通り、仕事でちょっとトラブったらしくて、それで出れなくなったらしいの。
もちろん、気持ちよく許してあげました。
今日は絶対来るって言ってくれたしね。もちろん大量の差し入れを持って来てくれるって（笑）
幸せだねぇ。
「後輩」今、後輩からメールが入ったよ。
もうこっちに向かってるんだって。今日は午後半休取ってくれたみたい。
さぁて、後輩来たらどういじめてやろうかな。
い、いじめ・・・・。
「ああ疲れた・・」今、後輩帰ったところ。
もう積もる話が山盛りで、面会時間ギリギリまでずっと喋りっぱなし。
お陰で、『他の患者に迷惑です』って看護婦さんに怒られちゃった。
ちょっと頭きたけど、その後２人で看護婦さんの悪口を言いまくったから、スッキリ爽快ストレス解消！
こんなに楽しかったの久しぶりだな。
色々平さんに報告しないといけないことあるけど、今日は少し疲れたし早いけどもう寝ます。
じゃあ明日！
おやすみ～♪
「おはよう！」おはよう、平さん！
昨日は報告しないでごめんね。後輩の話聞きたくてうずうずしてたでしょ？ 私もそこのところ気になってて、顔見た瞬間に聞いちゃった。
そしたらあの子・・・、さーてなんと言ったでしょう？
ひょっとして告白？
「アタリ！」アタリ！ そうなの、後輩とうとう告白してね、片思いの彼にＯＫ貰ったんだって。
先輩としてホッと一安心、本当に良かった。でもちょっと羨ましいかな・・。
え？そんな事勿体ぶるなって？ まぁ、たまにはこういうのもいいでしょクイズみたいで。
あっ、i-MODEで『メールでクイズ!』みたいなゲームがあったら面白いかもね。毎日メールでクイズが送られてきて、それに答えるの。もちろん正解したらポイントが加算されて、商品がもらえるわけ。
クイズまるごと北海道！・・羨ましいって？何故でしょう。
「羨ましい訳」うーんと、羨ましい訳はね。私も片思いしてるから、なんか後輩には先を越されたなって思ってね。
でも、あの子強いよね。私なんて、告白する勇気もないんだから・・・。
あ、この話に対するこれ以上のツッコミは不許可だからね！ 質問しても何も答えないから！
まあそのうち平さんには話すと思うよ。
気長に待ってるよ。
「やっと退院できる！」やっと検査結果が出ました。
医者曰く「驚異的な回復力」だって。特に問題がなければ明日ギブスを取った後様子を見て退院らしいよ。
よかったね。
「よかったよ」本当によかった。
入院生活も、もう飽き飽きしていたし。それに何より食事がね・・・。
このまま入院し続けてたら、多分かえって悪くなったんじゃないかな。ってこれは冗談。
ちょっと不謹慎だったかな。
退院したら何食べるの？
「Re:退院したら何食べるの？」退院したら食べるもの？ そんなのメールに書ききれるわけないじゃない。
ラーメンも食べたいし、お寿司もジンギスカンも、ケーキも・・・。
でもその前にバイク買う！急に何言い出すのって感じ？
あはは。実はね、最近ベッドの中でバイクの本ばっかり読んでるんだ、そしたらほら物欲スロットルが全開になっちゃってしょうがないんだよね。
おっと、看護婦さんに呼ばれた。じゃあまた後で！
検査？
「Re:検査？」違うって、もう検査はイヤだって。そうじゃなくてギブス外すから呼ばれただけ。
恐かったよギブス取るの。だってさ、電動ノコギリの小型みたいな刃が回転するヤツでバリバリ切るんだもん。ちょっとあれにはビックリ。
あっ、退院が決定したよ。イキナリだけど明日だって。
退院するのだって準備があるんだから、せめて３日前には教えて欲しいよね。
さてと、誰に迎えに来て貰おうかなー。
後輩でいいんじゃない。
「残念ながら」後輩に迎えに来てって頼んだんだけど、今日はちょっと気分がすぐれないとかって断わられちゃった。
仕方ないし、同僚の佐伯に頼んだよ。さてと、彼女が来るまでに先生とか看護婦さんに挨拶しとかないとね。
カメラ忘れるなよ！
「カメラ回収」お世話になった先生とか看護婦さんとか、あと入院中にできた友達とかに挨拶してきた。
あれだけ早く退院したいって思ってたのに、なんだかいざお別れとなると、後ろ髪引っ張られて複雑な気持ちだよ。
あ、意地悪な看護婦さんに没収されたカメラも回収してこないとね。危ない危ない、忘れるところだった。
ケンカにならない？
「全然だった」きっと最後にすごいイヤミ言われるのかな、なんて覚悟してたけど全然そんな事なかった。
逆に話してみると、彼女真面目でかなりいい人だって事がわかってさ、友達になっちゃった。
ちょっと誤解してたな。反省。
いきなり友達かよ～！
「ふぅやっと」ふぅ、やっと我が家に戻ってまいりました。やっぱり家が一番落ち着くね！
ただ、しばらく家を空けていたせいで、手紙とホコリがたまり放題。
ベッドもなんか湿っぽいし、今日このまま寝るのは嫌だなぁ。かといってどうしようもないんだけどね。
まずは掃除だね。
「Re:掃除だね」今日朝早く起きて掃除したけれど、そんな短い時間じゃダメね。とてもじゃないけど水まわりまで手が回らなかったよ。
これは本腰入れて掃除しないと。しばらくアフター５は掃除三昧になりそう。
いや、大丈夫？
「大丈夫だけど」平さんただいま。今帰ってきました。
いやぁ疲れた・・。もう足は何ともないんだけど、やっぱり体がなまっていたみたい。
これだけの期間トレーニングサボっちゃうとやっぱり厳しいね。
そう言えば今日、後輩来てなかったんだ。私のお見舞いに来てくれた次の日から気分悪くしてたんだってさ。
もしかしてあの子に、無理させてしまったかな・・・。
お見舞いに行った方がいいよ。
「そうする」後輩、今日も来てないんだ。
風邪だとは言っても、これだけ休むとちょっと心配だな。
平さんの言う通り、今晩でもちょっと家に寄ってみるね。
そうした方がいい。
「購入計画発動」バイク購入計画発動しました。
うーん、やっぱ物欲が抑えきれませんでした。とうとう新バイク購入計画発動!!
もちろんもう少し感傷に浸りたい気持ちもあるんだけど、次のシーズンは新車でスタートしたいんのよね。それに、あのバイクは欲しいって人がいるし、大切にしてくれるならそれもいいかもって思うんだ。
今どれを買おうか最終的なツメに入っているところ。この時間が楽しいのよね！
うわ、金持ち。寮暮らしはいいなぁ・・。
「そうそう！」そうそう、よく知ってるね、私がアメリカンタイプが好きなのを。それとも前にその話したっけ？ まあいいや。今回は前回の２倍以上予算を取ってるから色々選択肢があるんだ。公務員だからローンも比較的簡単に組めるし・・、なるべくならローンに頼らないで買いたいけどね。
ハーレーなんかどうよ。
「ハーレー！」いいねハーレー！ アメリカンバイクの代名詞だもんね。映画なんかでアメリカンタイプが出てきたら殆んどハーレーだもんね。『ハーレーダビッドソン＆マルボロマン』ってタイトルの映画もあるよね、見た事ないけど・・・。
でも、ハーレーはお値段が・・・。
それにさ、私５０歳の誕生日に妥協無しのハーレーを買うって決めてるのよ。だからそれまではおあずけなんだ。
ほんなら、スズキかな。
「スズキか」いいねスズキ！ スズキだったら、マローダーとかデスペラードとかイントルーダーシリーズがあるよね。
スペックもラインナップもナカナカだし、値段もアメリカンにしては手ごろなのが多いしさ。
マローダーあたりで我慢しろよ。
「マローダーか」マローダーは１２５ccと２５０ccしかないし、却下かな。
前が４００だったし、やっぱそれ以上じゃないとね。だけど予算は４０万がギリギリという事で、スズキのデスペラードワインダーに決定！（ムリかな・・）
「バイク屋に」バイク屋にデスペラードワインダーを注文しようとして電話かけたんだけど。そこのお店、店長が熱い人でね、バイクの話でかなり盛り上がってね「展示品を安くしてあげるから、この際だしナナハンにしたら」だって。
そこまで言われて断わったら男が廃るよね。もうその場で注文しちゃった。
由子、男だったの？男が廃るって・・・
「何言ってるの？」何言ってるの？ 私が男のワケないでしょ？ 「男が廃る」って言葉のアヤだってば。怒るよ。
そうそう、前のメールに書き忘れたけど、私が注文したバイクはホンダのシャドー７５０だよ。
色はね『パールグレートシルバー×パールアイボリークリーム』あー長ったらしい。
さぁ早く来い、早く来い・・・。
うげ、750かよ。本当に女なんでしょうか・・・。
「コンテスト」近所のカメラ屋さんから手紙が来たんだけど、コンテストで私の写真が入選したんだってさ。
賞品があるらしいから取りに行こうっと。
それよりも、バイク早く来ないかなぁ・・・。
なんだ、あまり嬉しそうじゃないね。
「そう？」そう、あんまり嬉しくなさそうに感じた？
うーん、モデルが良かったしさ、撮影も自衛隊の基地内でやったからね。なんと言うか条件が良かったんだよね。
だから、コンテストに入選したのは本当に自分の実力かどうかなって考えてたんだ。
見透かされてたかな？
実力で賞を取ったんだから、いいじゃないのさ。
「だったらいいけど」自分の実力だったらいいんだけど・・。ごめんせっかく平さんが元気付けてくれてるのにね。あはは。本当に最近私おかしいよね、ナイーブというかさ・・。もっと前向きに考えないと由子らしくないぞ！そうだ、もう一度どこでもいいから写真のコンテストに応募してみよう。そうすれば実力か運かってわかるもの、ね。
まぁ、そういう考え方もあるかな。
「緊急報告」緊急報告、バイクが到着！ やった！ ついに来ました。この日をどんなに待ちわびた事か♪ 光まくってます！ 鈍い低音たててます、まさにアメリカンバイク。今までのバイクとケタ違いの低音！ もう最高！
しかも嬉しい事に、頼んでないオプションパーツが付いててビックリ。しかもクロームメッキのメインステップにラジエターカバーだよ、なんでついてたのかな？
返さなきゃ・・・。
「と思って」返さなきゃと思ってお店に電話したら。ナント展示品だから付けてたんだって。
つまり、サービス品だったって事。
なーんだ、ちょっぴり罪悪感感じて損しちゃったな・・。
正義感が強いんだね。
「正義感？」正義感？ そうかな、普通だと思うよ。
だって気持ちの悪い思いを抱えて日々を過ごすなんて、ゾッとするでしょ？
それに、悪い事したらいつかその人に戻ってくるのと同じように、良い事もそうだと思うの。証明しろって言われても困るけどね・・・。
さてと、そろそろバイクの慣らし運転、始めようかな。
ガンガン飛ばせー！（笑
「ダメダメ！」最近のバイクはあんまり慣らしが要らないとか言うけど、やっぱりどんな機械でも買ったばかりはまだ部品とかなじんでないし、無理して使うと寿命が縮んでしまうでしょ。だから慣らし運転は絶対に必要！ もちろんパワーを試したい気持ちはあるけれど、今はじっと我慢の子なのよ・・・。
ちぇ・・。
「仕事終ったら」おはよう平さん、元気かな？ 私はとっても元気！もちろんバイクも元気だよ♪
今日仕事が終ったら、後輩が慣らし運転に付き合ってくれるんだって。
せっかくだし、長沼辺りまで出て夕焼けの写真撮ってくるつもりなんだ。
後輩もライダーか。やっぱり自衛隊員ギャルは違うな・・。
「返事なかったけど」返事なかったけど、忙しかったの？
まあいいや。でさ、さっきの話の続き。長沼にはね、『馬追丘陵』っていう絶好のビューポイントがあるんだ。ここで見る夕焼けはもう素晴らしいのひと言！
近くに寄ったら是非来てみてね。
忙しいんです。すぐに返事なんか出来ないっすよ。
「ただいま」長沼から帰ってきました。
今日はいい写真かなり撮れたんじゃないかな？ なんか調子良くて、殆んど思い通りのフレームが切れたからね。
あ、話し変わるけど、平さんに私のバイクの名前考えてもらおうかなって考えてるんだ。なんかいい名前ある？
「北へ。」だよな。
「北へ。か」北へ。か、平さんらしいね。
あ、別に嫌ってわけじゃないからね。
じゃあ今日から私のバイクの名前は北へ。！ ありがとう考えてくれて。
き、嫌ってない？
「話全然変わるけど」急に思い出したんだけど、この前札幌に行った時になかなかいいラーメン屋を見つけたんだ。
そのお店、外観は古いんだけど、やたらガラスがピカピカに磨かれててね、それに店員は無愛想で結構若い男の人と、髪の長い高校生位の女の子のこれまた無愛想な二人だけなんだ。変わってるでしょ？
味はナカナカ美味しかったんだけど客の入りは全然でさ、うーん惜しいんだよね・・・。
あの店潰れないかな・・、ちょっと気になるよ。
どんぶりにヒビが入ってた？（いよいよ葉野香が登場ですなぁ。無愛想な上に眼帯している店員か・・）
「そうなの」そうなの！ どんぶりの底にヒビが入ってたんだよ、しかもいつ割れても不思議じゃない位の結構大きなヒビだったんだから。それにフチも欠けてたし・・・。
気になったから会計の時、店員の女の子に言っておいたけれどね。
怪我しなかった？（葉野香も看板娘になるくらいの努力をしてほしいものだ。）
「大丈夫だよ」大丈夫、ヒビに気付いてからは気を付けて持つようにしたからね。
店員は若い人だけだったから、営業するのが精一杯でそこまで気が回らないんだろうな。
ラーメンが美味しいだけに残念。次行く時までに改善してくれてるといいんだけど・・・。
そんなに美味しかったの？店の名前は？（店員が怖くて客が入らないんじゃないか、本当は）
「美味しかったよ」うん、あの店のラーメンは美味しかったよ。えーっと、店の名前は北海軒だったっけな？
まだ洗練された味とは言えないけど、店員も若い人ばっかりだったし、続けていけばもっともっと美味しくなるんじゃないかな？
今度行く時は、誰か連れて行くことにしようっと。
・・・後輩か佐伯か・・。
「北へ。」北へ。もうホントに最高。
扱いやすいし、安定度抜群だし、街なかを走っていても全然疲れないし、何よりカッコいい！
乗るたびにその良さがわかるというか、コーナー切るたびにカイカン♪
あ～ん、早く北へ。をひろーい道で思いっきり走らせたいな。
ツーリングですか？
「あはは」あはははは、ばれた？
そうなのよ、そろそろツーリングにでも行って、本格的に北へ。を転がしたいなと思ってるの。今度こそは後輩と二人でね！たださ、ほら色々あるでしょ・・・。
後輩に頼めば？一緒に行ってくれるんじゃないか。
「そうじゃなくて」後輩は頼めば多分一緒に行ってくれると思うよ。なんといっても私の復帰第一弾のツーリングだしね。
それよりも、仕事の方が心配。有休はまだ残ってるけど、事故したりで同僚には迷惑掛けっぱなしだもの。
みんなが気持ちよく行かせてくれたらいいんだけどな。
相談してみたら？（確かに、こいつ休みすぎだとは思うが・・）
「そうだね・・」うーんとそうだね。悩んでいても仕方ないし、とにかく相談相談♪
今日にでもみんなに話してみようっと。
あ、そうそう話は変わるけど、昨日の夜同僚の佐伯から電話があってさ「明日の夜は空けといてくれ」だって。
今日の夜ってことでしょ、何か約束してたかなぁ？
いや、今、約束したんじゃないの？
「今日は本当に」今日は本当に何の日だったっけ・・・？
誰かの誕生日でもないし、飲み会の約束もしてないし・・・。
まあいいや、後でわかる事だしね。
何のことか分からないで、何で約束してるんですか？
「なんと！」さっき「今夜は何があるの？」って佐伯に聞いたんだけど、もうビックリ！ なんと私の全快祝いを企画してくれているんだってさ。
退院する前から考えてくれてたらしいよ。ホント小ニクイ事してくれるよね。
いやぁ、すごく嬉しいな♪
いい仲間ですねぇ。これも由子の人徳というやつですか？楽しんできてね。
「RE:楽しんできてね」昨日は楽しかったよ。『札幌ファクトリー』の地ビールレストランで飲んで、その後カラオケ→ラーメン→カラオケ→焼き鳥とフランス人もビックリのフルコース！ お陰で今朝、少し寝坊しちゃった・・・。
ほんで、肝心のツーリングの話はしたわけ？
「ツーリングの」ツーリングの話は昨日したよ。お酒が入って、みんなでき始めた頃にすかさずね。
もう全然反対されなくて、それどころか『無事に帰ってきたら今度は生還祝いで飲むぞー！』なんてわけのわからない事言い出すしさ、ホントなんだかね。
でもあんな時に言うのはちょっと卑怯だったかな。
あ、そうそう私聞きたかった事があったんだ。ごめんね、話急にかえて。えっと、平さんが持ってるi-MODEってどんなヤツ？
いや、本当に急だな。502シリーズですよ・・・未だに。
「502ね」ふーん、平さんのi-MODEは５０２シリーズなんだ。
５０２ってあれよね、i-MODEの２番目のシリーズでしょ？ 確か、カラーの機種とかあるんだよね。
で、どの５０２を使ってるの？
Ｆ５０２ｉです。カラーのやつ。
「おっと」おっと、平さんはＦ５０２ｉを使ってるのか。
いいなぁカラー液晶、ちなみに私はＮ５０１ｉです、つまり白黒。
ねえねえ、カラーのi-MODEって使ってみてどう？ やっぱり便利？
べ、便利ですよ・・。（この質問も時代を感じさせるな。今はカメラ付きケータイが主流だというのに）
「そっか」そっか、やっぱ欲しいなカラーi-MODE。
というのもね、こないだほら飲みに行ったでしょ？ あの時i-MODEの見せ合いをしたんだけど、みんな殆んどカラーなのよね。もう思いっきり自慢されちゃってさ。
私もそろそろ買い換えようと思ってたから、平さんの意見を聞いて決めようと思ってたんだ。
参考になった？（何か、過去の人間と話しているみたいだな～）
「迷ったあげく」迷ったあげく、結局カラーi-MODEは諦めたよ。
よくよく考えたら、今使ってるのに不便は感じてないし、それに別に壊れた訳でもないんだし、平さんの言う通りやっぱ勿体無いよね。
バイクのローンだってあるもんね。ここは我慢我慢。
良いアドバイスありがとう平さん。
どういたしまして。
「ちょっといいかな」近所の写真屋から店頭に飾る写真を撮ってくれないかって、頼まれたんだ。
引き受けようかそれとも断わろうか、すごく悩んでてさ・・・。
そりゃ頼まれて凄く嬉しいよ、それにとても光栄な事だと思ってるし。
でも、なんというかさ・・・。
撮るべき！絶対、撮るべきだよ！
「そうかもしれない」平さん、励ましてくれてありがとう。
でも私、自信が無いんだ。
大体自信って何だろうね？ 今まで自信って言葉使ってきたけれど、それは軽い気持ちでだけで、その意味を深く考えた事は無いし、自信が無いという事がこれだけ私を不安にさせるなんて思いもしなかった。
今、とても不安なんだ、本当に私って写真が好きなんだろうか、なんて考えてしまう程にね・・・。
好きじゃないの？写真は・・・
「好きだよ」写真撮るのは好きだよ。
でもなんか色々考え出したら、どうして私は写真を撮ってるのだろうって理由、わからない事に気付いたし、撮った写真を一体どうしたいかも漠然としていて、足場が無いような、そんな感じを受けてやっぱり不安。
おかしいよね、写真コンテストには入選したんだから、自然と自信が付いたっていいのにさ。
まぁいいです、明日からツーリング行ってくるし、バイクに乗りながらゆっくりとその辺りを考えてみるよ。
まぁ、ゆっくり考えなよ。ところで「北へ。」号の調子はどう？
「調子はバッチリ」北へ。の調子はバッチリだよ。いま整備が終ったところ。
あ、そうそう、それよりショッキングな大ニュースがあるの。後輩は彼氏との約束があるし行けないんだって・・・。だから、今回も一人寂しく行ってきますよ。
では函館に向けて出発！
が、頑張れ！
「３６号線南下中」現在国道３６号線を南下中。
途中ウトナイ湖で写真を撮ったよ。今はそろそろ昼でも食べようと思って店を探しているところ。
そういえばウトナイには野鳥がいっぱい居たなぁ・・・。そうだ、昼は焼き鳥にしようっと。
それで焼き鳥・・。昼から焼き鳥か？ウトナイ湖って、どんなところだっけ。
「ウトナイ湖」ウトナイ湖は苫小牧の近くにある国際的に有名な野鳥のメッカなんだよ。
なんでも日本にいる野鳥種の半分以上を見ることができるんだって。
かなり大きな湖なんだけど、うーん、湖というよりは沼って言った方がイメージ合うかもね。
広さは？
「広さは」ウトナイ湖はね、面積約２３０ヘクタール水深は最深部でも１メートルなんだ。
詳しいでしょ？ 実は私、湖マニアなのよ・・・。ってウソウソ、さっき本屋さんで調べたんだよ。
そうそう、昼は焼き鳥丼食べたんだけど、タレが辛すぎてイマイチだったかな。
今日の夜は美味しいもの食べよーっと。
湖マニア？一瞬本気にしちゃったよ。
「みたら室蘭についた」うーん、やっぱ北へ。は最高だね、ずーっと乗ってても全然疲れないもの！ 良かった、シャドーにして。
今、道の駅『みたら室蘭』に着いたところだよ。予定よりもちょっとゆっくり気味かな。
今日はしばらく白鳥大橋の夜景を撮って、それから宿を見つけよーっと。
「よーっと」って口癖？
「おっはよー」おっはよー！ 昨日はライトアップされた白鳥大橋を中心に、面白い写真がたくさん撮れたよ。
さてと、前置きはこれぐらいにして、平さんの質問に答えましょう。えっと、『道の駅』っていうのは、平たく言えば、高速道路にあるサービスエリアみたいなものだよ。
駐車場に休憩所にトイレ、それと各土地の名所や名物なんかを紹介するコーナーなんかが整備されているんだ。
あれ。そんな質問したっけ。
「えっとね」『みたら室蘭』には普通の道の駅としての設備以外に、白鳥大橋と室蘭港の事が詳しくわかる白鳥大橋記念館が併設されているんだ。
館内にはプリクラの白鳥大橋バージョンみたいなのがあって、一人寂しくだけど、記念だし撮って来ちゃった（笑）
や、やるね。一人でプリクラとは・・・
「一休みっと・・」今、森町の道の駅「ＹＯＵ・遊・もり」に着いたところ。
ここはかなり大きな道の駅なんだ。前に一度来た事があるんだけど、屋上には羊蹄山や駒ケ岳が一望できる展望ラウンジがあるんだ。
そうだ、ちょっと時間あるし、ここで隊へのお土産を買っておこうっと。
「・・っと」って口癖か？やっぱり。
「いい湯だなぁ～」露天風呂からこんばんわ～、由子でーす。
今「ななえ天然温泉ゆうひの館」ってところ。たまたま見つけちゃって、お風呂頂いてます。
こういう偶然の出会いがツーリングの醍醐味！ やめられません。
あ、そうそう、「ＹＯＵ・遊・もり」ではプルーンワインを買ったよ、なんでも森町の特産品なんだって。プルーンのワインってどんな味がするんだろうな。
優雅だな、由子は。お酒も好きだし・・・。
「函館です」旅の目的地、函館に到着しました！
千歳から函館までは１日かからずにいける距離なんだけど、今回は随分時間をかけたからゆったりのんびりできたなあ・・。
さてと、朝から何にも食べてないから、もうおなかがペコペコ。早速ご飯にしますか♪
あんた、一体いつ仕事してるんだ！？
「美味しかったぁ」函館といえば、函館朝市！ という事で朝市をぶらぶらしていて見つけた『家庭料理の店 ふじ田』で、食べてきましたイカ刺し定食！
ボリューム満点だったし、イカは透き通っていて歯ごたえも最高！
やっぱ函館といえば海の幸だよね。
「北へ。」に出てきた店はつぶれるというジンクスが・・大丈夫？＞ふじ田
「今、函館山」今、函館山。
時間が余ったからロープウェイに乗って来ちゃった。函館には３回来た事があるけど、ここまで登ったのは初めてなんだ。
噂通り、ここから見る夜景はすごく素敵。写真で見るのとはまた違うね。
ふぅ、でもちょっと失敗したかな。周りはカップルだらけだもの、正直言って虚しいよ。
函館って本当に素敵、涙が出ちゃうほどね。
今度、一緒に行こうよ。（由子、好きだ！という選択肢もあったが・・）
「ただいま」さっき、家に帰ってきました。
今日は午前中函館で買い物をして、それからはどこにも寄らずに一直線に帰ってきたよ。
あ、そうそう平さんにお土産買ってきたよ。『函館ヒストリープラザ』でシンプルなボールペンを見つけたんだ。いつか会えたらその時渡すよ。
いつか、か・・。
「返事しなくてごめんね」昨日はそっけない返事出しちゃってごめん。
函館山で「今度一緒に行こう」って誘ってくれたでしょ？
あの時はきっと私を慰めようとそう言ってくれたんだよね。なのに私ったら、別の事で頭がいっぱいで、だから返事出せなかったんだ。なんだか私らしくなかったよ。
でね、一日考えて決めた事があるんだ、これは平さんに是非聞いて欲しい。
私、決心しました。片思いの人に告白します。
・・・・・・。（頑張ってね、応援するよ。という選択肢もあったが・・・）
「・・・・・・」平さんは応援してくれると思ってたんだけど残念だな。
彼とは今日の夜７時に近くの喫茶店で会う約束をしたよ。
今まで心の中に閉じ込めていた思い、全て話してきます。
・・・・・・。
「告白したよ」片思いの人、ずっと好きだった香月曹長に、今までの気持ち全部告白したよ。
でも、ダメだった・・・。彼、今付き合っている人がいるんだって。
しかも、ショッキングな事に、彼が身に付けていたバックル、後輩が「ホーリースピリッツ」で買ったあのバックルに間違いないよ。私が一緒に選んだあのバックルだよ・・・。
そうか・・じゃ、後輩さんが彼女だったんだ。
「言いにくいんだけど」後輩に誰と付き合ってるのって聞いたよ。そしたらやっぱり香月曹長とだって。
彼女には私の気持ち正直に話したよ。戸惑ってはいたけれど、私の気持ちも理解してくれたと思う。「これからライバルですね」だって彼女なりの精一杯の言葉じゃないかな？
それでね、しばらくこれからの事ゆっくり考えたいんだ。だから平さんとのメール交換はしばらくお休みにしたい。勝手なお願いだけど、わかって欲しい。
************************************ 完 ************************************
というわけで、由子さんのメール交換も何とか記録できました。返事の方を少し忘れてしまったけど、どちらにしても返事の方は適当に補って書かせてもらったからいいや。これでも十分に話の流れは分かるはず。原作のゲームでは、由子さんは香月曹長に思いを伝えられなかったと嘆いているが、こちらでは思い切って告白している。何故こういう形になったのかは不明だが、このメールゲームからでも由子さんの元気はつらつとしたキャラクターが感じられる。期間限定のメールゲームなのでメールが終わるのは仕方ないが、由子さんの場合は特に「突然」終了する。これから、後輩は・・佐伯は・・未来は決して書かれないけれども、それを想像するだけでも面白い。この後、由子さんは東京から来た高校生と出会って、どうなるのかは運命次第。素敵な思い出を胸に秘めて・・・もう一度、訪れよう。あの北の大地に！
「ｉ北へ。」はゲームソフトとして発売されたものではないので、メールゲームのサービスが中止になれば跡形もなく消えてしまうだろう。この記録が、あとからファンになった人達やｉ-ｍｏｄｅを持っていない人達のために役立ててもらえれば嬉しく思う。最初のうちは、こんなにきっちりと記録を取るつもりはなくて、後で思い出せるようにと、あらすじだけを書くつもりだったのだが、だんだんと細かいところも気にするようになって、ついにはメールを全て書き出すことにした。ゲームには登場しないキャラクターが大勢出てきて、ヒロインの存在に更に深みを与えている。登場するお店やデパートは既に存在しないものも多いが、それがまた「過去」とやりとりしているようで興味深い。「北へ。white illumination」は北海道のある一時期における「記録」としての価値がある。そして、その町を歩くというのはタイムスリップのようなものかもしれない。町もヒロインも「過去」となっていく、その切なさが思い出となって、北海道の白い雪に埋まっていく。
真っ白な雪の上に、また新しい出会いが、思い出が生まれる・・・。