ｉモード版「北へ。」
平成12年5月から始まったｉモード対応のメールゲームで「北へ。」のキャラクターから任意のキャラクターを選択し、メールのやりとりによってドラマを楽しむ。各キャラクターが実在するような感覚を味わえるのも面白いところ。設定は本編の数カ月前となっている。キャラクター１人につき３－５ヶ月。１ヶ月３００円。
スタッフ
企画・柴田真人／企画・ゲームでザイン・横山裕一／プログラム・JAVA太JAVA朗、木村信行／キャラクターデザイン・NOCCHI／シナリオ・ぷるるん／シナリオ・嶋崎賢治、酒井祐介／シナリオプロット嶋崎賢治、川崎ヒロユキ、高山カツヒコ／スペシャルサンクス・菅野ウタロウ／協力・(株)リクルート、北海道じゃらん／ディレクター・志村昌弘、横山裕一／プロデューサー・柴田真人
物語(私の場合のみで全ての人が同じではありません)
おいら、平ぴょん！よろぴくねー。つか、青字は勝手に返事を一部ねつ造しているので、その点はよろしくぴょん！
ぴょん？ じゃあ平ぴょんでいいの・・？ いや別にいいけどさ、分ったそう呼ばさせてもらうよ。
えっと、まだ自己紹介してなかったね。私は左京葉野香、高校生。
呼び方は、うーん、そうかメールって、ペンネームとか使うんだっけ。
まぁでもペンネームって言われたってそんなのないし、私のことは別になんて呼んでくれてもいいよ。
あだ名がいいぴょん。
悪いけどさ、私あだ名ないんだ。できれば別の呼び方にしてくれないかな？
それともあだ名つける？
つけるぴょんー
え？ 本当にあだな付ける気？
さっきは冗談で言ったんだけどな。まぁ、冗談でも一度言った事だしな・・・、わかったじゃぁあだ名つけてよ。
分ってるとは思うけどさ、ヘンなのにはしないでくれよ。
よーし、君は今日から「はーやん」だっ。
はーやんか・・。まぁ別にいいよ、なんでもいいって言ったしね。
たださ、平ぴょんのセンスが分ったような気がするよ。
まぁその話はおいといて。しかし、i-MODE買ったから興味半分でメール友達紹介サービスに登録したんだけどさ、ほんとにメールが来るなんてちょっと驚きだ。メールとかってさ、今までした事ないから、正直何話していいかわからないよ。じゃあまたなんか書くこと思いついたらね。
早く思いつけ。
あれから色々考えたけど、なかなかメールに書く内容なんて思いつかないんだ。
やっぱダメだね、普段やりなれない事しようとすると、なんか肩肘張っちゃって頭真っ白。だからさ、平ぴょんからなんか聞いてくれない？ そしたらさ、私答えるから。
どこに住んでるのかモロ。
私が住んでいるのは北海道の札幌。 聞いたことはあるだろう？
一応県庁所在地だしさ。それに雪祭りとか有名なイベントもあるしね。
はーやんは誰に似てるぴょん。
誰に似てるって言われてもな・・・？
それはあれだろ、芸能人とかだよな？
私、そういうの興味ないからさ、分らないな。
髪型はどんな感じだモロ。
髪型？ 別にいいけどさ、何でそんなこと知りたいわけ？ 分んないなぁ。
髪型はストレートだよ、ちょっと長めのな。
なんかちょっと短い気もするけど、大体こんな感じでいいのかな、メールのやり取りって。
これでいいのだぴょん。
そう言えば、なんか私が質問されてばっかりだよね。なぁ、今度は私が聞いてもいいかな？ 別に嫌だったら答えてくれなくてもいいんだけどさ。
平ぴょんはどうしてメール友達コーナーに登録したんだ？
友達がいないのだぴょん。
そうか、まぁこういう所にくればメール友達ならできるだろうしさ。ま、現に私とこうしてメールのやり取りしてるしね。
私がこのサービスに登録したきっかけはね平ぴょんとはちょっと違うかな。
とにかく私ヒマでさ、何か面白い事ないかなって。
それで偶然このサービスを見つけたんだ、それで。
楽しんでるかー。
どうかな、まだ始めたばかりだし正直よく分らないな。
でもいい時間つぶしにはなってるよ。私最近あんまり学校行ってなくてさ、とにかくヒマだったんだ。 そういう意味じゃ楽しいのかな？？
よくオレもさぼったぴょんねー。
そっか、じゃあ私のことちょっとはわかってくれるよな。
まぁ、ちょっとは分かるモロ。
ふぅ・・・ヒマ、ホント今日もなーんもやる事ない。
どうしようこれから。家に帰るのもうざったいしね。あーぁ、ため息しか出てこないや。
学校にでも行けばいいだろぴょん。
私こんな時間まで何してんだろうね。
今日も学校行かずに大通公園をブラブラ。
今朝ね遅刻したんだ。でも遅刻した授業の担当がさ嫌な先生でね、もういいやってサボっちゃったわけ。
学校、明日も行きたくないな、どうしようかな・・・。
まったく、この娘は・・日向ぼっこでもするがいいモロ。
そうするか。今は暖かいしさ。
北海道の夏は短いから日向ぼっこも今のうちだからね。さすがに毎日は飽きるけどね・・。
家にいればいいぴょんねー。
家？ さすがに居られないよ。
だって学校の時間は清美さんいるからね、学校サボる言い訳なんて思いつかないしさ。
誰だっ、その清美さんというのは・・・それは四角いかね？
あっ、そうか。平ぴょんには、まだ清美さんの事言って無かったよな。
えっと清美さんっていうのは兄貴のお嫁さんなんだ。私にとっては義理の姉さんってやつだな。兄貴はホントどうしようもないヤツだけど、清美さんはなんでアイツなんかとくっついたのか分からないぐらいすごくいい人なんだ。
どういう出会いで、二人は結婚したのかぴょん？
兄貴と清美さんの出会いか？
そういえば知らないよな・・。だいぶ前兄貴に聞いたことがあるけど、教えてくれなかったし。
改めて言われるとナゾだよな。
ナゾナゾ、大いに結構！悩みがないと人間、大きくなれないからね。
家の近所でしばらく工事してるところがあって、今朝やっと外の覆いがとれたんだ。なんか綺麗でおしゃれなビルだったな。 これから内装とかやるみたいだから、まだ何の店ができるかわからないけど、けっこう楽しみだな。
葉野香の口からお洒落なんて言葉が出るなんてなぁ・・。雑貨屋なんてどうだ？
そうだな雑貨屋でもいいよな、うーん楽しみだな。
私、結構雑貨好きなんだよ。実用的なものは特にね・・。
眼帯娘のくせに生意気だモロ。というか、オレは君が眼帯していることも知らないはずだが。
今日こそは学校行こうと思って家を出たんだけどね、途中で嫌になって結局またサボっちゃった。でさ、ヒマだったから学校がどうして面白くないか、自分なりに整理してみたんだ。まずは担任が気に入らない事だろ、次は友達がいないこと、それに勉強がくだらないこと。他にも色々出てきたけどこの辺りがベスト３かな。
ベストワンの発表をするのだぴょん！
そうだな、やっぱり友達かな？
勉強も担任もウザイし嫌だけど、でも友達がいたらなんとなく楽しいもんだろ？
中学の時は仲のいい友達も結構いたけど、別の高校行ったり就職したりしてバラバラ。
今の高校でも他のクラスにはいるけどさ、ほら新しい友達見つけて結構うまくやってるの見るとなかなか入っていけないし。それに休み時間の度に他クラス行くなんてカッコ悪いだろ？
しかし、学校行きたくないベストワン考えるなんて情けないよな。
うむ、情けない奴。しかし、どうして君も友達がいないのかね？
どうして友達がいないかって？
私さ、引かれちゃってるんだよね。
兄貴がさ、元暴走族で、結構有名なまあ有名って言うか悪名高いゾクでね、しかもそこのアタマ張ってたんだ。
今はもちろん足洗ってんだけど、みんなお構いなしに、私が妹ってだけで兄貴と同じ扱いさ。キレたら手がつけられないとかアングラな仕事やってるとか確かめもしないで遠巻きに勝手な噂してる。
みんなビビッちゃっててさ、友達なんてできるわけないよね。
いや、はーやんの人間性に問題があると・・。
さっきのメールの続き。
ほんと人間って嫌だよな、自分の身内以外はほんと勝手な先入観や見た目で判断して、みんなとどこが違うっていうんだろう。 私がこうして悩んでることなんかきっと誰も想像すらしないんだろうな。
でも、これもみんなあのバカ兄貴のせいだ！ アイツが人のことも考えないでイキがってゾクなんかでアタマ張るからいけないんだ。
お兄ちゃんのこと、そんな風に言っちゃダメだぴょん。
なんだよ、何も知らないくせに。
そんな事いうならうちの兄貴と暮らしてみなって。
そしたら私の言ってることもわかるって。
まぁ・・そうかも。（弱気
な、そうだろ。 私の身になったらあの兄貴のバカさ加減がよくわかるだろ？
ほんと一人っ子だったらよかったのに、余計な気もつかわないし、きっと自由に生きてたろうし。
可哀想な、はーやん。でも、可愛い女の子二人組にゲームセンターでインネンつけるぐらいの君だから同情できないな。（笑
最低！
昨日お風呂に入っていたら、排水管が詰まっちゃったらしくて水浸し！
気付いたら洗面所まで水が溢れちゃって、いい加減にしてくれよって感じ。
全員総出で、何とか洗面所の水は拭いたんだけどお風呂はまだ詰まったままなんだ。
今日お風呂使えるのかなぁ。
虫がつまったんだモロ。でっかくて長い、こーんな奴が。
何で虫が詰まるんだよ。
気持ち悪いなぁ、変な事言わないでよ。髪の毛とかが詰まるんなら分かるけどさ。
さっき探したら物置に、長い針金の先にタワシみたいなのがついたヤツ見つけたんだ。これでちょっと排水管を掃除してみるよ。
馬鹿なこと、やめるぴょん。
ヤバイ！ ヤバすぎる！
タワシみたいなヤツで排水管を掃除してたら、そのタワシを落っことしちゃった。どうしよう、ほんとヤバイよ。明日専門の業者に頼まなきゃなぁ・・・。
あーぁ、素直に最初から頼んどきゃ良かったよ。
そう何度も言ったぴょん！（怒
水廻りの業者にお風呂の修理頼んだんだけどさ。今忙しいから３日後になるとか言われた。
しばらく銭湯通い決定だな。銭湯、そんなに遠くは無いんだけどね、いちいち出るの面倒だよね。
自分が悪いんだから仕方ないモロ。それよりも家族の方の方が可哀想だぴょんね。
うーん、銭湯もなかなかいいよね。なんてったって湯船がデカイから、ゆったり足を伸ばして入れる。天井も高いし気持ちもなんか大きくなったみたいだ。それにさ、サウナとかジェットバス、それにラドン風呂まであるんだ！
何を呑気な。で、フルーツ牛乳だろ？
フルーツ牛乳もあったけどさ、私はコーヒー牛乳を飲んだな。お風呂上りに清美さんのおごりでね。
牛乳頼んだら、番台のおばさんがわざわざツマヨウジみたいなので開けてくれてね、親切だったな。
つまようじ、中に入ってなかったか。
そうそう、番台のおばさんとちょっとした知り合いになったよ。見ない顔だねって言われてさ、最初はうっとうしいなって思ってたけど、話し上手なおばさんでね、気が付いたら話し込んじゃってた。
銭湯っていいよな。
人間不信の君が珍しいモロ。
昨日ボケ－ッとテレビ見てたら、板野たかしの番組始まったんだけどさ、とにかくつまらない。いや、あれは、怒りすら感じたぞ。
内容はさ、超能力者とか霊能者とかＵＦＯ信奉者を呼んで、否定派の人達と討論させるんだけど、論点はめちゃめちゃだしお笑いなのか真剣なのか分らない。ほんとむかついた。
誰だよ、板野たかしって・・誰か知ってたらメールくれ。幽霊って信じるぴょん？
幽霊？ 信じないね。私幽霊見たことないし、見たって言う人とも会った事ないしね。大体、死んで幽霊になるんだったら世の中幽霊だらけだろ、おかしいと思わないかそんなの。
おかしい、おかしいぴょん！
だろ、絶対おかしいよ、理屈がわからないもの。そりゃさ世の中にはまだ分らない事たくさんあるし、死ぬのは怖いし何より死んだ後の事なんて分らないわけだから、そういう風に考えるのも仕方ないことかもしれないけどさ、カンタンになんでも霊ですって感じで済ましてしまうのはどうかなって思うよ。
そんなこと言ってると悪寒を感じるようになるモロ。
おかしいな、今日は体の調子が悪いんだ。
そういえば昨日の晩から悪寒してたしな・・・。銭湯帰りにコンビニ寄ってさ、少し近所をぶらぶらしてたから湯冷めしちゃったのかな。クシャミが止まらないよ。
言わないことじゃないぴょん。熱はあるのか？
熱は計ってないや。多分ないとは思うんだけどさ、今は布団から出るのもしんどいから後で計るつもり。
ちょっとつらいな・・・・・。
で、熱は。
今、熱計った、３７．２℃。微熱だ。たいした事ないな。今日一日寝てたら直るかな。
しっかりするモロ。はーやん、死んじゃダメだぴょーん！
熱下がったよ、食欲も出てきたし。まぁ用心して今日はもう寝るけどさ。しかし、湯冷めして風邪引くなんて情けないよな。体弱ってるのかな？ふぅ、まだちょっと頭痛するな。ホント早く寝ろって事だな、おやすみ。
おやすみ、ぴょん。
やっと業者が来てくれてお風呂直ったよ。排水管、尋常じゃないほど詰まってたって。これで今日から自宅のお風呂に入れる、ふぅ。
でがばめの殿方、がっかりぴょんねー。
うーん、銭湯もいいけどさ、やっぱ家のお風呂の方が良いよな。
めんどくさくないしさ、湯冷めもしないからね。
まぁ、そんなこともあるモロ。これからは気を付けるぴょん！はーやん。
レンタルビデオを返しに行こうと思ったんだけど、借りたビデオが見当たらないんだ。
めちゃくちゃアセってる、今日が返却予定日なんだよなぁ・・・。
トラブルの多い娘モロ。ちゃんと探すぴょん！
ダメ、清美さんに聞いてみたけど知らないって。
兄貴はどっか行ってて家にいないしさ。
ビデオデッキの中に入れっぱなしかもー。
ビデオデッキの中？ 見たって、大体そんなところに入ってたら私バカだろ。
バカだろーが。
レンタルビデオ屋の袋を発見！ でもビデオテープは見つからない、ホントどうしよう・・・。
諦めて、罰金を払ってくるモロ。
ダメだ、レンタルビデオ結局見つからなかったよ。ビデオ屋行って聞いてきたんだけど、私盗難保険に入ってなかったからさ、ビデオを無くしたらビデオの購入金額分を弁償しなきゃいけないんだって。そうなったらちょっとショックだよな・・。何とかして見つけ出さないとな。
もう一度、よく探してみるぴょん！葉野香ちゃん、ファイトー！
そうだよな、あの時は慌ててたからさ、見落としてるところもあるかもしれないしもう一度探してみる。じゃあまたメールするね。
復習が大事ですぴょん。
ビデオテープ発見！ なんと家にあった。ちゃんと探したと思ってたんだけどな、ちょっと反省するよ。
あのさ、私ここ最近イライラしてただろ？ 送ったメールの履歴見てたらさ、ホントに悪かったなって思ってる、ゴメンね。
アンネかモロ。イライラするのは生理と決まってるモロ。謝って済むことぴょん。か。
私ってダメだよな、感情が自分では抑えきれないんだ。カッとなったらさ、ついその時の感情で喋ったりしちゃう。後になって悪い事したなって思うんだけどさ、顔つき合わすとまた意固地になって謝れない。その点メールはいいのかもしれない、ちょっぴり自分に素直になれる気がするんだ。
カラか・・・・ぴょん。
カラ？ 自分の殻って事？ 私カラをかぶってるのかな・・。ちょっとそれはわからないな。
だけど、もしそうだとしてもいつか抜け出して、もっと自分に素直になれるって信じたいな。
いや、カリメロの話を・・カリメロ知ってるかぴょん？札幌でもやってたから知ってるかも。
今日はちょっと遠出をした。みんな仕事が休みだからさ清美さんと兄貴と３人でドライブだ。クソ兄貴久しぶりにハンドル握れるとか言ってかなりはしゃいでいたけどさ、相変わらず運転めちゃめちゃで、結局清美さんにハンドル取られちゃったよ。
それから兄貴機嫌が悪くなっちゃってさ、せっかくの遠出だったのに後半全然面白くなかった・・。
元暴走族に、ろくな奴がいないぴょん。あーやだやだ。
兄貴の車はスバルのアルシオーネっていうスポーツタイプの４ＷＤ車なんだ。かなり独特なフォルムの車でね、もう製造してないらしいし兄貴すごく大切にしているよ。
聞いたことだけはある・・けど、わからんモロ。お兄さんの仕事は何？
兄貴の仕事？
いい加減な仕事さ。まあそんな事はどうでもよくてさ、そうそう平ぴょんは車好き？ 兄貴はすごく好きでさ、時間ができたら車洗ってるよ。
車は別に・・って、おい！仕事は何かって聞いてんだ！クソ葉野香～！
うーんと、兄貴は消火器の訪問販売員。あんまり儲からない仕事らしいよ。クソ兄貴は真面目に働いてないしさ。
はぁ？・・そ、そうなんだ。そうか・・設定が違うんだね。ハハハ・・。
昨日ツレから電話がかかってきた。そいつ中学の時からのツレでさ、高校は別の所に行ったから最近はあんまり会ってなかったんだけど。でさ、電話口で泣いてたからあんまり詳しい事聞けなかったんだけど、どうやらそのツレ、停学になったらしいんだ。まあなにか悪い事したんだろうけどな。明日会う約束したしその時に話し聞いてみるけどさ、ちょっと心配だよ。
ツレって何？彼氏ぴょん？
さっきのメール、ほらツレが停学になったってヤツだけど、読み返してみたらさ平ぴょんに送る内容じゃなかったなって思った。気になったんなら忘れてくれ。
忘れたいところモロが、ムリモロ。勝手に続けるモロ。
さっきツレから電話があった、会って欲しいんだってさ。気が重いけど、今から行って来るよ。
またあとでメールする。
行ってくるモロ。車に気を付けるモロ。
ツレが来ない。待ち合わせの時間もう大分過ぎてるのにさ。アイツが呼び出しておいてさ、結構腹が立つな。何してるんだ！ ハラ立つな。
って書いてる時に来たよ。タイミング悪いな。ホント適当に切り上げようかな！
リアルっぽい描写はやめるぴょんねー。
ツレと会ってきて停学の理由聞いてきたんだけどね、ホントあきれた。競馬してたの見つかって補導されたんだってさ。「どうしよう」って言うからさ、「そりゃどうしようもないね」って言って別れてきたよ。バカだよな、競馬なんてするからいけないんだよ。大体なんで競馬なんてあるんだろうな？
アハハハ！バカだ。本物のバカだ！アハハハハ！競馬なんてやる奴はみんなバカだっぴょーん♪
その通りさ、世の中バカばっかりだからあんな競馬みたいなギャンブルが公認されてるんだよ！
大体馬がかわいそうだよ、ああやって人間の勝手でギャンブルの道具にされてさ。
まぁ、馬だからな・・。
競走馬って走れなくなったら安楽死させられるんだ。他の動物に食べられて血肉になるんじゃなくて、人間の勝手の為に殺されるんだよ。生き残るのは血統を残す事を決められた馬だけ。残酷だよ。
残酷っていえば残酷ぴょんね。いや、モロね。
本当にごめんなさい、さっきはひどいメール送った事、許してくれる？
言い訳にもならないけれど、あのメール送る前に家がひどい騒ぎになって。原因は兄貴なんだけど。清美さんに内緒で結構大きな借金してたのがバレて、ギャク切れしちゃったんだ。しかも情けないことにギャンブルで作った借金でね。そんな時に競馬の話で熱をあげてたから、ついあんな事をメールに書いてしまったんだ、ごめんなさい・・・。
はーやんがしおらしいと気持ち悪いぴょん。しかし、オイラは心が広いから許してやるぴょん。
ありがとう。ウソでもそう言ってくれるとうれしいよ。平ぴょんにはいい加減な事しちゃって、ホントどうしようかって思ってたからさ。本当にありがとう。
兄貴はなんとか落ち着いたよ。清美さんが今度こんな事あったら離婚するってすごい剣幕で言ったもんだから兄貴も冷静になってさ、もうギャンブルはしないし、借金返すために今まで以上に働くって約束してくれた。その時ちょっと泣いちゃったんだ私。
いや、ムリだと思う。ギャンブルってさー麻薬ぴょん？って、泣くな。
なぁなぁそう言えばさ、私平ぴょんがどんな人かそれほど聞いて無かったよな。今までメールをやり取りしたイメージだと、そうだな・・、おたくって感じなんだけどな。
どう、合ってる？
あははははははは！（注・実際の回答の中に「あはははは！」はあった。どういう意図か知らないが、それを選択した）
そうか、イメージぴったりだったんだな。
でもさ、平ぴょんのメール見てたらおたくだってすぐわかったよ。
余計なお世話だモロ！こんな仮想美少女とメールするやつがオタクじゃないと思ってるのかぴょん！大体、選択肢はみんな用意されたものだろうが！ちくしょう！なめやがって！もう、メールフレンドを変更してやるっ！ぷるるんを出せっ。最近どうしてるんですか？どこらへんがオタクなんじゃゴルァ！と問い質したい。小一時間問い質したい。
今度友達に言っておくよ、今おたくな感じの人とメール友達してるってね。
そうだ！ そういえば平ぴょんの職業、まだ聞いて無かったよな。ねえ平ぴょんって何してる人なんだ？
悪気無く言われると萎えるぴょん。まぁ、いいぴょん。しょせんはヤクザ不良娘とは分かり合えるとは思ってないぴょん。社会人。
そっか、社会人なんだ。あーぁ、あたしもいつかは仕事につくことになるんだろうな。でも私、どんな仕事についてどんな大人になって、みたいな自分の将来が全然見えないんだな。
はーやんマジメに働くつもりあったのか・・。
私、しばらく店を手伝わないといけなくなるかもしれないんだ。
清美さんの妹さんに子供が生まれるらしくてさ、１週間ぐらいその伯母さんの家に手伝いに行くんだって。いつも店は兄貴と清美さんでやってるから、清美さんが居なくなるんじゃ手伝わなきゃいけないのは仕方ないよな。
それに何より清美さんに頼まれちゃったしさ。
妹さん、いくつ？はぁはぁ。
清美さんの妹の歳が幾つかって？ 知るわけないだろ！
大体、なんでそんなこと平ぴょんに言わなきゃいけないんだよ。
い、いいじゃんかモロ。
そうそう忘れてた、で、さっきの話の続きしようとおもったんだけどさ。私平ぴょんにウチのお店の事話してたっけ？
お店も何もお兄さんは消火器売ってるモロ？
あっ、そうか。平ぴょんには店をやってるって話、してなかったっけ？
実は私の家は親父の代からのラーメン屋でね、店の名前は北海軒って言うんだ。
北海道でラーメン屋なんて言ったら凄そうに聞こえるかもしれないけれど。チェーンでもなんでもない小さな場末のラーメン屋でさ、全然流行ってないんだ。
親父が生きてた頃は結構繁盛してたんだけどね。
ごめんごめんって・・はーやんの嘘つき！ラーメン屋やってたのかぴょん～？食わせろ。
メールのせいで、なんか久しぶりに親父の事思い出しちゃったよ。
５年前にガンで死んだんだけどさ、頑固で無口で、女の私でも平気で殴る怖い親父だったな。
そういえば、ほとんど親父に遊んでもらった記憶は無くってさ。まあ店が忙しくてそんなヒマなかっただろうけどね。
だから、目をつぶって自然とまぶたに映るのは、大きな寸胴相手に向かってる姿なんだ。そうだ、平ぴょんの親父さんってどんな人？
オレの親父か・・息子の教育を大失敗しちまったことに未だに気が付かないおめでたい野郎さ。金さえあれば教育もどうでもなると勘違いしてやがる。
変な事聞いちゃったかな？ ごめんよ。しかし、親父って理不尽だよな。殴るし、怒る時の理由だって訳のわからない事多いし、こうやっていて欲しい時にはもういないし。
だから憎んだな、親父の事。本当にさ。
わかるモロ。
親父の事理解できるようになったのは、小学３～４年ぐらいからかな？
そのころから私、仕事手伝うようになってさ。お客さんと話したり、ラーメンを近所に出前したりするうちに親父が情熱を掛けているモノが何かわかったんだ。そしたら自然と親父自身も理解できるようになってた。
でも、その頃にはガンがかなり進行しててさ。
もしも時間を戻す事ができるんだったら、生きてる親父に「恨んでてごめん」ってそう言いたいな。
何だ、もう恨んでないのかぴょん？ちっ。
親父の事色々思い出してたらさ。この店が親父の意思だって事、改めて思い出したんだ。
ま、兄貴のせいもあるけどさ、店を手伝いたくないなんて言った私が恥ずかしいなってそう感じちゃった。
明日から清美さんいなくなるし、張り切って兄貴を手伝うよ！この店は親父の残してくれた大切な宝物だからね。
人間ができてるモロ。なんか嫌味なシナリオモロ。・・・が、がんばれ。
応援ありがとう、素直に受け取っとくよ。
さてと、本格的に店手伝うのは久しぶりだしさ、清美さんに店の事色々聞かないとね。
学校どうするんだろ・・ぴょん。
清美さんに色々聞いた、つり銭も計算したし準備はＯＫだ。
明日からが楽しみだよ。
仕事が楽しみだなんて、困りものぴょん。
ホント兄貴ダメかもしれない。
朝仕込みしてる時さ、なんかおとなしいなと思ったら、アイツうとうとしてるんだ。何やってんだよって注意したら、やっぱバカでさ「寝てない、俺が寝るわけがない」ってギャク切れしやがった。
まったく、仕事中に寝るなんて最低だと思わないか？
今頃、何を気付いているぴょん？最低・・って仕事中に寝るくらいいいモロ！今日、寝てたモロ。そしたら・・（泣
兄貴、やる気はあると思うんだけどさ、ああやって居眠りしたりするの見ると、疑いたくもなるよな。
大体、朝起きたかったらさ、早く寝たらいいだけだしさ。
言えばいいモロ！
言うの？ 兄貴に？ 朝早く起きろって？
アイツ子供じゃないんだしさ嫌だよ。
それに、又ギャクギレされたりしたら話ややこしくなるしね。
どっちでもいいモロ・・。
さっき兄貴の部屋に、貸してたＣＤ取りにいったんだけどさ、ビックリしたね。
もうジャングルなんだよ！ 服は脱いだら脱ぎっぱなしだし、皿とかスナックの袋とかもそこら中に投げっぱなしだしさ、あんな短期間にどうしてここまで散らかるのか理解できないよ。
大体あんな部屋で寝起きしてさ、気分悪くならないのかな？
オイラの部屋は綺麗ぴょん！（夢
そうか、平ぴょんの部屋は綺麗なんだ。でも普通はそうだよね、部屋が綺麗じゃないと落ち着かないしさ。
ホント平ぴょんの爪のアカ、あのクソ兄貴に煎じて飲ませてやりたいよ。
送ろうか？
今ものすごくハラ立ってる！
さっき来た客がさ、ホントにむかつくんだ！
背の高いショートカットの女の人でね、年は２０位だったかな？
まぁそんな事はどうでも良くてさ、ソイツ女のクセにラーメン大盛り２杯うまそうに平らげといて、金払う時に大声でなんて言ったと思う？
ああクソッ、思い出しただけでムカツイテ来た！
アイツのお陰でその場にいた客が全員帰っちまったんだ。
おおっ♪マイ・スイートハートの由子さんの登場か！どけ、はーやん。よく見えないぞ。まぁ、「どんぶりにヒビでも入ってる」とかだろ？
そうなんだよ、ソイツムカツク事に大声でさ「どんぶり底にヒビが入ってて不潔で気持ち悪かった」って言いやがったんだ。
ったくさ、他の客もいるんだしさいくらなんでも不潔なんて大声で言う事は無いよな！
いや、はーやんが悪い。一方的に悪い。何が何でも悪い。由子さんは悪くないだろう。はーやんには悪いが、由子ファンだから。
さっき洗い物してたら指切っちゃった。
シンクに溜めてた食器を引き上げようとしたら、どんぶりのフチが欠けててさ、そこに引っ掛けちゃったんだよね、結構深くまでえぐれててさ、まだ血が止まんない。
それに指切った時、持ってた食器を全部落としちゃって全滅だよ。今日はホント最悪！
まぁ、可哀想といえば可哀想。最悪ですか・・・そんな日もあるぴょん。
結局なかなか血が止まらないから平ぴょんの言う通り病院行ってきたよ。あれからほったらかしでさ、今から割れた食器片付けなきゃいけないんだ。そうそう、しばらく毎日消毒しに、医者通わなきゃいけないんだってさ。また余計なお金かかるかと思うと行きたくないけど、傷跡残ったらイヤだしな・・・。
血がとまらない病気って、あったぴょんねー。つか、はーやんの家は保険に入ってるのか？
さっき割れたどんぶりとか片付けながら色々考えてたんだ。
指切ったの今回は私だったけど、あのまま欠けたどんぶり出し続けてたら、いつかお客さんがケガしてたかもしれない、とかさ。
そう思ってよく見たら、ウチの食器ってけっこう欠けたりヒビ入ってるの多いんだよな。あんな器出されたら、誰でもきっとイヤだよな。
前、ムカツク女の客が来たって話、しただろ？ あの人に私、謝らないといけないな・・。
そうだ！今すぐ謝れ！由子さんに謝れ！今すぐ千歳自衛隊の女子寮に行って謝るぴょんっっ！せっかく注意してくれたのに！
そうだと思う。それなのに私、バカだよな。
でも、良かったよ。お客さんがケガする前に気付いたんだからさ。
この際だしどんぶり全部替える事にするよ。
それがいいモロ。お前、はーやん、なかなか分かってきたモロ。
兄貴にどんぶりの事相談したらさ、「そんな金ねぇよ」のひとことで済まされちまったよ。やっぱりアイツは最低のクソ兄貴！
借金で金ないのはわかるけどさ、どうしてもどんぶり替えたいんだよね。しょうがないからなけなしの貯金下ろすことにしたよ。
この金には手をつけたくなかったんだけどな、しょうがないよ。
オレが出すモロ。オレは金持ちぴょんねー。一千万でいい？足りない？
平ぴょんと私はメール友達、まだ一度もあったことないんだぞ、そんな人に金借りられると思うか？それにこれはウチの店の問題だ、ウチで何とかするよ。
そうそう、今からいいどんぶり見つけに買い物行って来るよ、じゃあな。
遠慮しなくてもいいのに・・金は吐いて捨てるほどあるのに・・。
色々店回ってみたけどあんまりいいモノ見つけられないや。
まず種類がないから選べないんだ。普通に食器屋に行けばあるって思ってたけどそういうわけではないんだな。
それに、さっきまあまあイイ感じのヤツ見つけたんだけどさ、数がないって言われて諦めた。やっぱりウチは店だし器がチグハグじゃヘンだもんな。
本とかで調べたらどうかなぴょん。
ナイスアドバイスだったよ。あれから家に帰ってさ、昔の「じゃらん」引っ張り出してさがしたら、イイ店を見つけたよ。
そこ、『丸惣河関』って業務用の専門店なんだけどさ、行ってみてびっくりだった！ラーメンどんぶりだけでも３０種類近くあるんだよ。
どんぶりだけのはずだったけど、つい調味料もかっちゃった。
でもさ、平ぴょんのお陰でイイのかえたよ。本当にありがとう
・・えへへ。お前、はーやんはなかなか、良い奴じゃないかぴょん。はじめは嫌な不良眼帯と思っていたがぴょん。
ウチの店、最近ちょっとあかるくなったみたいなんだ。
実は兄貴、店が終わったら毎日これでもかってぐらい窓ガラス拭いてるんだけど、もしかしたらそのせいかもしれないな。
昨日も夜、外から１時間位キュキュって音聞こえてきたしさ。
そこまでやる事ないだろって感じだけどさ、アイツこだわり出したらキリないからな・・。
ちょっとさ、兄貴の事見直したよ。
気合入ってるぴょんね。
気合？ まぁ兄貴元暴走族だしさそういうのだけは得意だからな。いつもヘンな方に突っ走るのが困りモンだけどさ。
もしかして毎晩帰ってくるのが遅いのも、なんか店のこと考えてるのかもしれないな。
何て名前の暴走族ですか。ひょっとしたら知ってるかもー（笑
兄貴の居た暴走族の名前？ 確か石狩スクランブルとか言う名前だったと思うよ。
スクランブルは全部漢字の当て字で「巣苦乱舞留」さ、頭悪いよね。
でもさ、どうして連中はああいうのスキなんだろうね、「夜呂死苦」とかさ「仏津血義理」とかさ。
センス悪いよね。つか頭悪いよね。
だろ？ なんであれがカッコイイとか思えるんだろうな？感覚が麻痺しているとしか思えないよ。
暴走族の考えることだモロ。
さっきいいお客さんが来てくれたんだ。
結構時間無い感じのビジネスマン風の人でさ、慌ててラーメンすすってたんだけどね、途中から急に食べるペースが遅くなったんだ。
兄貴も私もヘンなモノ入ってたかなって心配して見てたんだけどさ、その人黙々とラーメン食べ続けてね、帰り際に「懐かしい味を有難う」って言って帰ったんだ。
「懐かしい味」の意味はわからないけど、今日ほど店に出てて良かったと感じた日はないよ。
そうか・・・昔の常連さんだったかもしれないぴょん。
うん、昔の常連さんだったのかもしれないな。親父の代は常連さんいっぱいいたからな。
あのさ、本当にいい気持ちになれた一日だったよ。
うむうむ、感謝の気持ちを忘れずにモロ。
平ぴょん、今まで私、兄貴の事散々にメールで書いてきたと思うんだけどさ、全部忘れてくれないかな・・？
本当言うと、今までのメール残ってるんだったら、メールボックスから全部消して欲しいぐらいなんだ。調子のいい事言ってるのは分るけどさ・・・。
何を急に言い出すぴょん！？
兄貴のラーメン食べたんだ。３年ぐらい前からずっと食べてなかった。今まで食べたいとも食べたくないとも思わなかった、私にはそういう存在だったんだ。
あのお客さんが言った「懐かしい味」をさ私も食べてみたくなって、昨日仕事が終わってから兄貴に作ってもらったんだ。
美味しかった、そしてホントに懐かしい味がした、親父の味はまだまだ超えてないけど、確実に近づいてた。そしたら私、恥ずかしくなったんだ。
そうなんだ・・。
兄貴のラーメン、これから私頑張って支えていく。今まで兄貴のこと知ろうとせずに、表面だけで判断してた自分が恥ずかしい。
本当は私、兄貴の事愚痴る為に平ぴょんにメールを送って、そして自分は勝手に被害者を演じて楽しんでいたのかもしれない・・・。
これからは愚痴だけじゃなくて、もっと前向きなメールもしたい。だから今までの私とのやり取り、忘れて欲しいんだ。
返事はいらない、信じてるから。
そういう言葉に弱いぴょん。オレとはーやんとの仲だ。忘れてあげるモロ。
今日は兄貴、私より早起きして仕込みしてた。
嬉しかったな・・
今日はなんだか良い１日になりそうだ、そんな気がするよ！
いい１日にしなくちゃね！
今店に誰が来てると思う！
もうドキドキだ、ほら、１週間ぐらい前に私がムカツクって言ってた、店の事指摘してくれた、あの女の人だよ！
しかも友達を連れて来てくれたんだ。ああ、ほんとドキドキしてきた。
後でまたメールする！
って、また由子さんの出番かっっ！？待ってましたー♪
そうそう、どんぶりが汚いって言ってくれたあの人だよ。
もう帰っちゃったけど、あの女の人がさっきまで店に居たんだよ。
でねその人、ラーメン食べながらさ、友達と「どう、ここのラーメンうまいだろ」なんて喋ってるんだ。それに帰り際「どんぶりセンスいい物にかわりましたね、また来ます」って言ってくれた。感動だよ私！
苦労して選んだかいがあったよ、ホント良かった！
可愛いなぁ、はーやんは。いや、由子さんはもっと可愛いですっ、敬礼っ！
兄貴、何も言わなかったけどさ、きっと喜んでると思うよ。
でもね、これで喜んで気が緩んじゃったらなんにもならないから、兄貴も私も、更に気を引締めて頑張るよ。
清美さんが帰ってきたらこの話しなきゃね。
いや、オレもラーメンが無性に食べたくなってきた・・これが「北へ。」効果ってやつか。（本当に食べにいきました）
やっと清美さんが帰ってきた！ 予定より長かったから、兄貴に愛想つかしたんじゃないかなんて思ってたけどさ、余計な心配だったね。
しかし、ここしばらくは毎日が充実していたな。
とにかくどうしようかって悩みながらも、何かに打ち込む事がこれだけ楽しいなんて発見だったよ。最初はめんどくさいって感じてたんだけどね、私っていい加減だな。
そうだ、平ぴょんは何か打ち込んでる事ってある？
あるモロ。
そうか、平ぴょんも打ち込んでる事あるんだ。
そうだよね、平ぴょんから来るメール読んでると、私にはない芯の強さみたいなの感じるからな。なんか読み返してみたら、ちょっと恥ずかしいメールになってるな。ねえ、平ぴょんが打ち込んでる事、教えてくれよ。
漫画だぴょん。ヘタピーだが（涙
平ぴょんは今漫画に夢中なんだ。
なぁ、漫画は平ぴょんにとってツライ事？ それとも楽しい事？
ごめんなヘンな質問ばっかしてさ。
ツライ・・どうして上手くならないぴょん！？こんなに努力したのにーって、素が入ってるよ＞平ぴょん
いくら好きだといってもさ、楽しい事ばかりじゃないもんな。
だけど、ツライ事があるからこそより充実感が増すんだよな。なんか月並みな言葉だけど・・・。
そうとも言うなー。
久しぶりに外食してきたよ。しかもさ、清美さんと兄貴と３人でだよ。
ほら清美さんの代わりに店出たお礼とか言ってさ、近所の店だけど「まるき」でおごってもらっちゃったんだ。
あんな雰囲気で３人一緒にご飯食べられたのもしかして初めてかもしれない、皆でそろって食べるご飯がおいしいってこういうことなのかも、なんて考えちゃったよ。
そうか、よかったねーはーやん。まるき・・？札幌に長く住んでたオレも知らない名前ぴょんね。
「まるき」は近所の、そばと一品料理の店なんだ。
兄貴が言ってたけど、この店創業明治２２年なんだってさ、すごいよな。
とにかく盛り付けが綺麗でさ、そば頼んだんだけど、出てきた時なんか違う料理かと思ったぐらいだったよ。
こういう所、行ってみたかったよ・・うちは外食なんて滅多にしなかったから・・（滅
うーん、さっき兄貴にウチのラーメン食べさせて貰ったんだけど今日のラーメンはそれほどおいしくないんだな。
なんか、ウチのラーメンの欠点が見えたような気がする。そう、味が不安定なんだよね。
別に兄貴手を抜いてるとかじゃないと思うんだけどな、私にもわかるぐらい味に差があると、そりゃ常連なんてできっこないよな。
ん・・厳しいね、ソレ。
そうだよな、ちょっと厳しいよな。
清美さんに聞いたんだけど、兄貴疲れると味付け濃くなったりするみたいだしさ。
ま、兄貴だけに任せずに、毎日誰かが味見して色々意見とか言い合ったりしたらいい感じになると思うんだけどな。
確かに・・・って、最近はーやん、学校行ってる雰囲気ないぴょん？
学校？ 行ってないよ。
だって、店手伝ってる時ずっとサボってんだもの、実は昨日それで清美さんに怒られちゃったんだけどね。
けどさ、全然行く気にならないんだよね・・。
そんなんでいいのかモロ。
悩んでるんだよ。そりゃ分ってるよ、ホントは行かなきゃいけないなんて事はさ。
でも私、考えれば考えるほど学校に行く理由が見つからないんだ。
理由ねぇ・・。オレ自身が学校の存在否定派ではあるがね。
今までのメール読み返してさ、ちょっと考えちゃった。
私って何をやりたいのか・何をするべきなのかって、もちろん答えは出なかった。
でもね、清美さんの代わりに店を手伝った時、やり甲斐と面白さを感じてたんだなって再認識したんだ。
ただ今は、店の方は兄貴と清美さんで十分回ってるから私が出る場面じゃないんだよね。
だから、それ以外で私にできる事を考えてやって行こうって、そう思ったんだ。
はーやんに出来ること・・？
私、しばらく、札幌の有名ラーメン屋を回ろうかなって思ってる。
もちろん、学校には行かなきゃいけないのは分ってるんだけど、ラーメンの奥深さがやっと分りかけてきた今だったら、他のラーメンを冷静に味わえるだろうし、どうして人気なのかも探っていけるんじゃないかって。それが店の為に私ができる事だと思うしさ。
レポートよろピク！
レポートね、わかったよ。 まぁ頼まれなくても付き合ってもらおうとは思ってたけどさ。
そか。
今日は『平成軒』って店に行くんだ。
このお店はちょっと遠い場所にあるんだけど、友達がココの味噌ラーメンはウマイって話してたからさ、まぁ行ってみようかなって思ってたんだ。
他の店の味噌ラーメンとは、一体何が違うんだろうな、かなり楽しみにしてるよ。
道内のラーメン屋？
そりゃそうだろ？ 北海道以外にあったらそんな気軽に行けるわけないだろ？
でね、食べてきたよ。うん、やっぱり他の店の味噌ラーメンとは違ってた。
まずね味噌の甘味と塩加減が絶妙でね、最後までスープを飲んでもまったく飽きが来ないんだ。聞けば、味噌は３年間も寝かしたモノを使ってるんだってさ。あの味噌の味は結構新感覚だったよな。
具は、どうなのよ？そんな怒らなくても・・（弱。
これって、やっぱり取材して書かれてるんですよねーお疲れさまです！
「平成軒」の具は、チャーシューにたっぷりネギそしてメンマ、特にチャーシューが最高、あのチャーシューだけで充分満足できるぞ。
メニューにはチャーシュー飯ってのがあったからさ、また今度行ったときに食べてみようと思う、きっとウマイだろうな・・・。
想像するだけで、よだれがジュルルル♪って感じぴょん・・・。
ダシが凄い！一口飲めばその凄さが分るよ、ベースはトンコツだけど、まず口の中に広がるのはカツオなんだ、それに野菜の甘味とゲンコツの力強さが後からくるんだ。とにかくしょっぱさがまったく感じられなかったのが印象に残ってるな。病みつきになるの間違いなしだね。
わかんねーよ。
今日は『五丈原』に行く予定。
この店はすすきのの近くでさ、開店が夕方からなんだ。開店したらいきなり行列ができるって有名でね、３０分待ちなんてざらだし、それに女の人も多く並んでるから、かなり気になってる店なんだよね。
そんな店があったなんて・・って、うちは外食なんてなかったからなぁ。っていうか家族の団らんとも無縁だったかも・・・（滅
今「五丈原」の帰り、やっぱり今日もかなりの行列ができてたよ。
ラーメンはコッテリ系の旭川ラーメンがベースだった、でもね平ぴょんの予想通り意外とあっさりでギトギト感はまったくなかったよ。女の人にもファンが多いっていうのもナットクだな。
そ、そんなこと予想したっけか。忘れちゃったぴょん。まぁ、ギトギトしてたらダメだよね。
チャーシューは、トロトロで分厚かった。
このスープの為に作ったのかって思うぐらい相性はぴったりだったよ。
ラーメンってのはさ、やっぱり総合芸術でさ、麺とスープと具の相性が大切だと思うんだよね。だってさ、いくらスープがおいしくても、チャーシューがカスカスだったら、やっぱり興ざめしちゃうと思うんだよね。
ウチの店も実際そうで、スープにくらべてちょっとチャーシューが負けてる感じするんだよな。
とにかくラーメンが食いたくなメールだぴょん。食ってきたぴょん。おいしかったモロ。
そうそう、「五丈原」には「チャーシューおにぎり」って隠しメニューがあるんだ。
これがさ、デカイおにぎりに、刻んだチャーシューがたっぷり入ってて、スゴイ絶品！
こういう魅力のあるサイドメニュー、ウチの店にはないんだよね。
おいしそうだなぁ・・・。
今日は『らーめん てつや』に行くんだ。
この店はそれほど古くない店なんだけど、老舗に負けない味って有名でさ、一度行ってみたいと思ってたんだよね。
話ではインパクトがあるラーメンだって聞いたんだけどな、どんなラーメンだろう。楽しみだよ。
そういや、札幌に居た時の友達に同じ名前のギタリストがいたっけ。元気かなぁ・・・。
「らーめん てつや」に行ってきたよ。
色は白く濁ったこれぞ「コテコテ」って感じで、全体にたっぷり背脂が浮いてるんだ。これはかなりインパクトがあるぞ。ただ、見た目と全然違ってさ、口当たりはすごくまろやかだったな。
いや、すごくうまかったよ。
へぇ・・それはインパクトあるぴょんね。それでいて、まろやかか・・・。
平ぴょん、メールで悪いけどさ、メリークリスマス。
人にこんな事言おうって気持ちになったのはホント久しぶり。
だってさクリスマスは家族がそろっていない私には関係なくて、くだらないものだってそう思ってたからさ・・・。
メリークリスマス平ぴょん。やっぱ照れるよなこういうこと言うのってさ。
メリークリスマス！はーやん、確か仏教だから関係ないって言ってなかったか？本編で。まぁ、いいか。
そうだな、チャーシューにメンマ・青物、それからのりだね。
のりってところが渋いだろ。
東京のラーメンには、のりは必需品だモロ。
「らーめん てつや」の店長は若い頃、色々な店で修行してこの味を作り上げたんだって。
ただ、修行した店の真似をしてるんじゃなくて、やっぱりあそこにあったのはオリジナリティーなんだよな、だからあの店でしかできない感動があるんだよね。そう考えるとウチの店がまだまだだって事痛いほど感じるよ、だって今兄貴は親父の背中を追ってるだけにしかすぎないんだからさ。
うむうむ。物事っていうのは、極めていくと最終的には自分のオリジナリティーを求めるようになるんだぴょん。まぁ、最初のうちは真似することも大切だモロ。
今日は『純連』（すみれって読むんだ）に行くつもり。
この店には何回か行った事あるんだけど、とにかくうまい！ それに湯気が出ないのにやけどしそうなほど熱い、不思議なラーメンなんだ。
今日はその秘密を探ってやろうと思ってるんだけどな。
煮だってるわけ？
煮立ってるわけなんかないじゃないか。だいたいそんなラーメン食べられるわけないだろ？
あ、そうそう行ってきたよ「純連」、味噌ラーメンを食べてきたけどさ、やっぱりおいしかったな。
あ、焦ってるから選択肢を間違ってしまったぴょん。あんまり、ゆっくりメールチェックできないから・・・。
今回行って初めてわかったんだけど、「純連」のラーメンが熱い理由は、スープの上にある脂の層なんだ。
脂の層が熱をずっと閉じ込めておくから、湯気も出ないし最後まで熱いんだね。しかもその脂が麺に絡むから、のど越しが良くなるんだ。
それに気付いた時絶句しちゃった。
なるほど、地球人の割には考えたモロ。スープはどうだ？
スープはとんこつベースだと思うけど、独特の香辛料が入った奥の深い味でさ、とにかく何回飲んでも新鮮な感じがするんだな。
水には特に気を使ってるみたいでね、横津岳の「夢水氣」っていう天然水を使ってるんだってさ。
「純連」はそういうこだわりが、食べてると自然に伝わってくるんだよね。ウチの店、そういうこだわりあるのかないのかわからないからさ、その辺り考えないとな・・。
とんこつベースか・・とんこつは奥が深い上に色々なバリエーションが可能な分野だから。
昨日の夜中に久しぶりに友達から電話があったよ。
なんか話したい事あるから会おうだってさ。多分学校の話だと思うんだけどね。
まあそこそこ仲良くしてた友達だから断るのもなんだし、夕方会って話し聞いてくるよ。
そうだ、ついでにウチのラーメン食べてもらって意見でも聞こうかな。
何でも、はーやんはラーメンだぴょんね。友達いないんでなかったか？
友達と会って話をしてきた・・。
なんか、私が学校を辞めるってウワサが流れているらしくってさ、それで心配して電話かけてくれてたんだって。
友達に「学校どうするの？」って聞かれたんだけど、結局自分でもどうしたいのかわからなくてね、なんにも答えられなかったよ。
担任もいい加減、近いうちに家庭訪問するって言ってるらしいし、本当に私、どうしたいんだろうな・・・。
逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ、モロ。
分ってるよ、逃げちゃダメだって事ぐらいはさ。
でもいつの間にかそうなっちゃったんだよ。
私が学校に行かない理由だって、最初は「行きたくない」だったけど、情けないことに今は「行きづらい」に変ってるんだ・・・。
ラーメンのこと、がんばってじゃないのぴょん。
そうさ、ちょっと前まではウチの店を盛り上げる事、それがやりたい事だって、私信じてた。
だけど、冷静に考えると学校行くの辛いから、もっともらしい理由付けて、無理やり楽しくなれそうな事見つけてきて・・。結局逃げてただけなんだよ。だからいつも罪悪感みたいなモノ感じつづけてた。私はダメ人間さ。
オレもダメ人間だから気が合うぴょんね。
色々思うところはあるんだけど、結局今の私では自分のこれからの姿なんて全然想像できないんだ。
それなのに学校をどうするかなんて、決められるわけないよな。
本当はこんな悠長な事言ってる場合じゃないけど、もう少しじっくり考えてみるよ。
力になるぴょん。
気持ちだけ受け取っておくよ。
これは私の人生に関わる大切な事だから、なんとか自分自身で決めたいと思ってる。
まぁ、人の意見に左右されたら、辛くなった時その人を恨んでしまいそうで怖いっていうのもあるしね。
あーそういうことって、よくあるぴょん。
平ぴょん、無理するなよ。本当は私の事、弱い人間だって思ってるんだろ？
人間誰しも弱いところあるモロ。はーやんだけではないぴょん。
なぁところでさ、今までのメールからだと平ぴょんって結構しっかりした人だと思うんだけどさ、自分で自分の事強いと思う？なんか女子高生との会話とは思えないようなメールばっかりでごめんな。
弱かったら、もう死んでるモロ。ってことは、強いんだろうね。
そうか、平ぴょんは自分の事強いって思えるんだ。
羨ましいな・・。
あっ、ごめんな。変な事聞いてさ。
いつものことだモロ。
はぁ・・、さっき店に担任が来たんだって。いい歳してさ、家庭訪問されちゃったよ。
友達から聞いてたけど、こんなに早く来るとは思わなかったな。
私はたまたま外に出てたから担任とは会わなかったけど、兄貴と清美さんすっごく怒られたんだって。
清美さんから今晩話があるからって言われちゃったよ・・・。
しかたねーなー。
わざわざって、別に来なくてもいいのに、カッコつけたかったんじゃないか？
ソイツさ、教師になってまだ２～３年の結構若いヤツで、去年は私のクラスの副担任だったんだ。
でさ、モロ熱血ってキャラクター作ってて、どんな事があっても『俺とみんなで解決しよう』って恥ずかしくもなく言うんだ。
生徒からは結構人気があるみたいだけど、なんかみんなに媚びてるような感じがするし、私は好きになれないんだよな。
本当、いやな奴だよね。
昨日は予想通り、夜遅くまで清美さんに怒られたよ。
血も繋がってないのにさ、こうやって真剣に怒ってくれるのはありがたいんだけど、今はそっとしておいて欲しいってのが本音だよ。
清美さんには何も言えずじまいだったけどな・・・。
確かに、放っておいてほしいぴょんねぇ。
そうだろ？ 頭の中を整理している時は、黙っていて欲しいって誰でも思うよな。
大体さ、考え事している時に、横からガミガミ怒られたら頭がパニックになってしまうって。
平ぴょんとは本当に気が合うね。
相性ばっちりだし。
私と平ぴょんの相性がピッタリって、本当にそうなの？
またなんか調子のいい事言ってるんじゃないだろうな？
平ぴょんって、すぐ調子に乗るからさ。ま、それで元気付けられる事もあるんだけど。
でしょ、でしょ？
なぁなぁ、唐突だけど聞いていいかな？
平ぴょんにとって学校は必要？ それとも不必要？
必要ないっ！あんなのはね・・・（素
ふーん、普通はみんな必要だって言うけど、平ぴょんは不必要だって思うのか、やっぱり普通の人とは違うんだな。
じゃあさ、聞かせてくれよ。平ぴょんはどうして不必要だと思うんだ？
勉強に集中しないだろ？学校って。
なるほどね、勉強に集中しないか。うん、その気持ちわかるよ、私も似たような事考えるしさ。
あーぁ、ホント考えれば考えるほど学校には行く気になれないや。最近頭痛もひどいし、もしかして病気だったりしてね。
意外とひ弱だな、はーやん。
昨日あれから試しに体温計ったら本当に熱があったよ。まぁ微熱だったし、頭痛も含めてきっと精神的なとこから来てるんだろうな。
はぁやだやだ！ このままだと気が滅入ってしょうがない。
うん！ウジウジするのはこれで終わりにして、とにかく今日は学校行こうっと。
まだ準備してないけど、ちょっとぐらい遅れたっていいよな？
そうか・・勇気あるモロ。
私に勇気なんて無いさ、今どこにいると思う？ 旭山記念公園さ。
地下鉄に乗ったのはいいけど、いつもの駅で降りられずにたどり着いたのがここ。
寒くて仕方ないくせにさ、観光地なんてきて、何もせずにただベンチに座ってただぼっとしてる。
バカだよなまったく。
そんなこともあるぴょん。
今は変な気休め言って欲しくなかったな・・・。
平ぴょん、もっと他に言う事あるだろ？
あるけど・・・うーん。
じゃあさ、言ってくれよ。
まぁ、逃げているんだろうな。
逃げている、それが私に対する平ぴょんの気持ちか・・・。なるほどな。
・・なぁ、平ぴょん、悪いけどしばらくそっとしておいてくれないか？
色々と考えたい事があるからさ。
ん。
しばらく考えて決めた。やっぱり学校には行かない事にする。
とにかく行くだけで辛いし、元々周りからは疎まれてるんだから私がいない方が学校だって喜ぶんじゃないかな？
ったく、いい加減にしれや。行っとけ！
・・・そうか、平ぴょんがそこまで言うならわかったよ。私、やはり学校には行くことにする。
行くべき理由は相変わらず見つけられないけれど、そのうち分るかなってさ。それよりも後で気付いた時に後悔する方が辛いだろうしね。
まあ愚痴りたくなったらメールに書くし、また付き合ってくれよ、な。
しかたねーなー（笑
急に話し変わるけどごめんな。いや、兄貴の事なんだけどさ、なんか最近態度がおかしいんだ。
と言うのも、実はここ１週間ぐらい家に帰ってきてないんだ。店にはちゃんと出てくるよ。だけど目を腫らして、クラーイ感じでさ・・・。
またなんかトラブってんのかなぁ・・・。
どこか他の所で働いてる・・ぴょん？
兄貴に限ってさ、店が終わってから他の所で働くなんてそんな優等生みたいな事するわけ無いよ。
あーぁ、なんか嫌な予感がするんだよなぁ・・・。と言うのもさ、恥ずかしい話今朝兄貴と清美さんがお金の事で喧嘩してたんだ・・・。
浮気じゃないすか？
どうだろう？ 喧嘩の中身は詳しく聞いてないからわからないけど、やっぱ借金かな・・・。
でも兄貴もう借金はしないって言ったし・・・、信じたい気持ちもあるんだよな。
って、いつも騙されてるぴょん。
どうしたんだろう、おかしい。朝から兄貴も清美さんもいないんだ、店も放ったらかしだし、朝ご飯の準備すらしてない。
兄貴だけならまだしもさ・・・。ホントどこ行っちゃったんだ？
家出か？
家出？ 私を置いて二人でか？ よしてくれよ縁起でもない。
あーぁ、でも何やってんだよ、もう店を開ける時間だってのにさ。
どうしようホント。
やばいんちゃう？
まだ兄貴達帰ってこない。
あれから家と店、両方調べたけれど書置きなんて無かった。
車は無いし、兄貴達の部屋は散らかってるし、ワケがわからないよ。
このページ、長いよな。ごめんね。
結局昨日は兄貴も清美さんも帰ってこなかった。
ケンカしてるのか何してるのか知らないけどさ、電話すら無いなんて許せないよ！
はーやん、怒ってばかりだ。少しは落ち着けって。
さっき兄貴が帰ってきた。
むすっとした面で家に入ってきたからさ、「何してたんだ」って怒鳴ったんだけど、アイツ聞いてないフリしてそのまま自分の部屋に閉じこもってるんだよ。おかしいよな、どれだけ私が心配したと思ってんだ？ まったくさ。
兄思いの妹か・・・。
兄貴は帰ってきたけどさ、清美さんは帰ってこないんだよ。逆だったらまだしもさ、別にいいことなんて無いよ。
はぁ・・・、あれから兄貴一言も口利こうとしない。せっかく見直してやってたのにさ、失望したよ。やっぱりアイツはクソ兄貴だったんだな。
やっぱり、浮気だって。
浮気？ 清美さんはそんな事絶対にしない。
兄貴だってそれは無いって。一応硬派で通してたわけだしさ。
暴走族の硬派なんて信じられるかよ。
清美さんから私の携帯に電話があった。思った通り今は旭川の実家にいるんだって。
声が聞けて、無事が分ってひとまず安心したよ。
でもさ、状況は私の考えた以上に悪いみたいだ。そう、平ぴょんの言ってた事が的中さ。
原因は兄貴の浮気。
もうあの２人は元に戻れないかもしれない・・・。
仕方ないぴょんねー・・
さっき店の引出しから借金の証文を見つけた。しかも驚くほど利率の高い証文だったんだ。
あのクソ兄貴、私達に隠していた借金がまだ残ってたんだな・・・。
くそっ、本当にアイツは許せない！ 絶対に！
今夜は徹底して追い詰めてやる。
うわ、やばいねぇ。マジで。修羅場ですねー。
おはよう、平ぴょん。昨日の晩は兄貴と夜通しずっと話しをした。
どうせ黙ったままで時間の無駄だろうと思ってたんだけど、兄貴のヤツえらく素直に高利貸しの借金の事、そして浮気の事、全部私に喋ってくれた。
いつも出てくるいい訳も今回ばかりは一言もなかった。
最後に兄貴こう言ったよ、「過ちは消せないしこれからどうなるかも分らない、だけどとにかくできる事をやっていく」って・・・。
もう諦めなよ・・・信じられるか。
平ぴょんも知ってると思うけど、兄貴は前にも似たような事を私達に約束したよな。だけど結局は破ってしまった。
だからもうアイツの事は信じないっていうのは理にかなってるし、簡単な事だよ。
でもさ、こんな事があってもまだ、私は兄貴の事を信じたいと思ってる。
だってもうこれ以上家族を失いたくないんだよ・・・。
まぁ、そこまで言うならオレも何も言わないモロ。
じっくり考えて結論を出したよ。バカだと思うかもしれないけれどさ、やっぱり兄貴の事を信じてみる。
私には親父もいないし他の兄弟もいない、それに今まではぐらかしてきたけど、母さんだっていない。残されたたった一人の家族はあのクソ兄貴だけなんだ。もちろん清美さんにも私にも今までの事は償ってもらうし、これからもっともっと努力してマトモな人間になってもらう。
少なくともアイツはそれができる人間だと思ってる。
できるのか？本当。あ、お母さんも居なかったんだね。そんな大変な思いをしてたんだ。
あんなどうしようもないクソ兄貴でも親父と清美さんの『やさしさ』で、少しずつ前に向かって歩いてるんだ。ここで見捨てるなんてできないよ。
私だってそうさ、平ぴょんのやさしさで前よりずっとマシに生きている。
恥ずかしいセリフだけどさ、人間ってお互いにやさしさを交換して生きてるんじゃないかな？
だから今度は私が兄貴にやさしさをあげる番なんだと思ったんだ。
わかったぴょん、応援するよ。
平ぴょんが理解してくれると、不思議だけど心強いよ。
兄貴もあれから内に閉じこもるのはやめて、必死で仕事を頑張っている。私も少しだけど店手伝ってるよ。
兄貴、浮気の事はキチンと清算したんだって。ほら、兄貴殆んど家に帰ってこない時があっただろ。実はあの頃、毎晩別れ話をしてたらしい。
辛いけどもう現実から目をそらさない、頑張るね！
頑張れ～
恐れていた事が、ついに現実になった。
借金取りが店にまで来たんだ・・・。もちろん返せる金なんて無いからさ、とにかく「もうちょっと待ってくれ」って兄貴平謝りだよ。
今回はそれで帰ってくれたけどさ、このままで終わる連中じゃないのはわかってる。とにかく売上を増やして、少しでも返す金作らないとな・・・。
あー喉がいてぇ（謎）。貸そうか？オレってば、金持ちだから。
平ぴょんに金借りるなんてできない。
だけど、そう言ってくれたのは嬉しいよ、気持ちだけ受け取らせてもらうな。
断るなよ、はーやん。（泣
聞いてくれよ。昨日の晩、私がたまたま店の外に出ている時に食い逃げがあったんだ。
兄貴の話によると、食い終った後トイレに行くと見せかけて猛ダッシュをかけたらしい。
兄貴慌てて追いかけたんだけど、ソイツ表に置いてあったチャリで逃げたもんだから、残念ながら逃がしちゃったんだって。
ヒドイのはここからでさ。店に帰ってみたら、残ってたもう一人の客もいなくて、更にレジの金も盗まれてたんだって。
これってどう思う？
グルだな、そいつら。
だろ？ 絶対食い逃げしたヤツとレジの金盗んだヤツはグルだよな。
自転車をあらかじめ用意してたって言うのも怪しいしさ。
とにかく腹が立つよ！
警察に届けるぴょんー！！
察にはもう届けてるよ。
だけど書類書いたらハイ終わり、だもんな。きっと犯人なんて見つかりやしないよ。
それもそうか（苦笑
店で皿洗ってたら、壁に掛けてある時計が急に落ちて壊れちゃった。
なにもこんな時にこわれなくたっていいのにさ。不幸って続くもんだよな・・・。
清美さんは、どないしたねん。
清美さんにはまだ連絡とれてない・・。
今清美さんがいてくれたら、どれだけ心強いだろう。
本当に勝手だけど早く戻ってきて欲しいよ・・・。清美さんも家族だからな。
借金取りは・・どうしたぴょん？はーやん、沈められないように気を付けて！
借金取りか・・・、アイツ等なら相変わらず店まで来るよ。電話もひっきりなしだしさ。
兄貴の事だから、すぐキレるんじゃないかと思ってたけど、耐えて必死で対応しているよ。
私も大丈夫、何とか耐えれると思っている。
だけど続くとやっぱ辛いよな。
がんばれー
聞いてくれよ！ 今見たら店のシャッターにヒドイ落書きされてるんだ。
誰の仕業かなんてわかってる、アイツ等しかいない。
金を約束通りに返せないウチもそりゃ悪いよ。でも、だからといってこんな事が許されるわけ無い！
もしかするとこれから毎日こんな嫌がらせ続くのか・・・？
多分・・・
兄貴と二人で何回も何回も拭いたけど、落書き完全には落ちなかった。だけど、時間だし店を開けたよ。後は今日の夜だな・・・。
拭いてる時横を見たら兄貴、下唇かみ締めて堪えてた。それ見ると、なぜか自然に涙が出てきた・・・。
悔しい、本当に悔しい・・・。
ちょっと、このシーンは目に浮かぶようでせつないぴょん。はーやんも被害者なのに・・えらいよ、アンタ。
さっきまた取り立て屋がきた、今度はヤツラ本気だ。10人以上も来て、中にはヤクザみたいなのも混じっていた。
いつもは売り喧嘩・買い喧嘩やってる兄貴もさすがに今日はびびったらしくて、２日以内に500万用意できなかったら、店を取り上げるって証文にサインさせられちまった・・・。
２日でそんな大金、絶対に無理だ・・・。
とにかく、借金がいくらあるかですよ。
借金が全部で幾らあるかなんてわからない・・。
今はそれどころじゃない、とにかく金策に回るしかない。
借金が多いのはわかっていたけれど、こんなに切羽詰ってるなんて思いもしなかった・・・、情けない、本当に情けない。
その原因がギャンブルじゃ泣くに泣けないな・・。
やっぱりダメだ・・・。
500万どころか集まった金は30万。これに親父の定期預金を足したとしても300万にも満たない。
兄貴も恥をしのんで清美さんの実家に何度も電話掛けてるけど、出てすらくれない。
今度こそもう、私達ダメなのかもな。
あきらめちゃダメだ・・・きっと、何か方法が。あるかも。ぴょん。
あきらめちゃダメだって、思ってるよ・・・。
だけど、自分の力だけじゃどうにもならない事もあるんだよな。
このままこの店で兄貴と頑張っても、いつまでたっても借金どころか利子だけすらも返せそうに無いよな。
元々こうなるのが運命だったのかもしれないな・・・。
いっそ、夜逃げでもした方がなんぼかマシかもしれないし・・。
とうとう、ヤツラが来た・・。
もしかしたらこれが最後のメールになるかもしれない・・・。だから言っておきたい事がある。
あのさ、私にとって平ぴょんはとてもかけがえの無い人だったよ。平ぴょんの言葉はいつも信じる事ができて、とても温かくて、頼もしかった・・・。ふぅ、これで思い残す事は無いよ。
今ままでありがとう、さようなら・・。
諦めるなっ、はーやん！きっと、オイラが何とかするからー。
信じられない、マンガみたいな事が・・。
私達助かったみたい。何がなんだかわからない。
平ぴょんはもっとワケわからないだろうな・・。いや、その何と言うか。ラーメンを食べさせたら助かってさ。
うーん、もうちょっと整理してからまたメールするよ。
マンガじゃねぇ！ゲームだ。メールゲームだっっ。
さっきはワケのわからないメールごめんな。
実はな、借金取りが来た時兄貴が方々から掻き集めてきた100万円をヤツラに出して、「今はこれだけしか金は無い。覚悟はできてる、店をたたんでマグロ漁船にでもなんでも乗る、だがその前に俺の作るラーメンを食ってくれ」って言ったんだ。
そしたらさ、ヤツラって変なところ人情あるだろ？ なんと黙って食ってくれたんだよな。
あっ、文字数足りない。ホント悪い、また後でメールするね。
変なところがリアルぴょん。
悪い、さっきの続きだ。
それで借金取りの中の１人が食い終わった後に「潰すのが惜しいぐらいにこの店のラーメンは美味い」って言ってさ、それから話がガラッと変わっゃった。結局その人が他の借金取りを説得してくれたばかりか一時的に全額を肩代わりして、しかもこれからは利率を大幅に下げてくれるって・・・。
な、信じられないだろ？ まるでマンガみたいな話だろ？
君はマンガを本当に読んだことがあるのか？・・まぁ、いい話だよな。オレも感動してメール受け取ったとき、泣いたよ。
ありがとう、確かにいい話だよな。
この申し出にすがらないと他に道は無いしな・・。
よかったモロ。お前、はーやんは運がいいモロ。
言いにくい事だけど、メールのやり取りを終わらせたいと思うんだ・・。
平ぴょんが嫌になったとか、メールが辛くなったとかそんなんじゃなくて、私携帯電話を解約する事になったんだ。
ほら、維持費結構かかるだろ。私には贅沢品すぎるからな。
今まで何とか頑張ってきたけれど、あんな事があった後じゃね・・・。だから、今度こそ本当にさようなら・・・。
ホント勝手だよな。だけど、仕方無いんだ。
そそそそ、そそ、そんな急に！勝手な！（すがり泣き
そこまで私の事思ってくれてるんだ・・。
嘘でも嬉しいよ。うん、なんかいい言葉聞けたな。
ありがとう、平ぴょん。今から携帯を解約しに行ってくる、これで本当に最後だ。
絶対に平ぴょんの事忘れない、メールアドレスだってちゃんと控えてあるからな。だから、店が立ち直って余裕ができたら、またメールするから・・、それまでお別れだね。
さようなら！
嘘ではないモロ。ちょっと、かなり寂しいモロ。行くなー！はーやん・・・。チクショー、この後すぐにＰＨＳ契約することは分かってるんだぞ！いや、それは・・さよなら、はーやん。メール待ってるぴょん、何年も何年も・・・。
それは、ともかく今回の記録は結構な余裕がありました。流石に７人目になると慣れてきました。歩きながらメール転送もできるようになったし。携帯が、おかげでボロボロですが。さて、今回の左京葉野香とのメールは意外なほど面白かったです。やさぐれた彼女の辛い日常をリアルに表現できていたと思います。あと、終わり方が、はじめて自然かつ納得できました。このメールゲームが続く限り「北へ。」が自分の中で、ずっと現在進行形であることは素敵なことです。できれば、キャラ変えて第２章なんて作って欲しくない・・新しいメールドラマが見たくなってきました。確かに何ヶ月もかかる、このタイプのゲームは制作もプレイも簡単じゃありませんが、だからこそリアルで感動も大きいと思います。私としては、本編よりも面白いのではないか、とさえ感じますね。