ｉモード版「北へ。」～川原鮎～
平成12年5月から始まったｉモード対応のメールゲームで「北へ。」のキャラクターから任意のキャラクターを選択し、メールのやりとりによってドラマを楽しむ。各キャラクターが実在するような感覚を味わえるのも面白いところ。設定は本編の数カ月前となっている。キャラクター１人につき３－５ヶ月。１ヶ月３００円。
スタッフ
企画・柴田真人／企画・ゲームでザイン・横山裕一／プログラム・JAVA太JAVA朗、木村信行／キャラクターデザイン・NOCCHI／シナリオ・ぷるるん／シナリオ・嶋崎賢治、酒井祐介／シナリオプロット嶋崎賢治、川崎ヒロユキ、高山カツヒコ／スペシャルサンクス・菅野ウタロウ／協力・(株)リクルート、北海道じゃらん／ディレクター・志村昌弘、横山裕一／プロデューサー・柴田真人
物語(私の場合のみで全ての人が同じではありません)
灰色は鮎ちゃんからのメール青色はオレのメール・・必ずしもいい加減ではなく、実際に返信した内容もあります。
初めまして！ 私は川原 鮎、１５歳、札幌の大里高校ってとこに通う高校生だよ。自己紹介って、こんな感じでいいんだよね。メールは始めてだから、何を書けばいいのか戸惑っちゃうな。とりあえず、よろしく！
私は今年高校に入学した一年生なんだ。学校は始まったばかりだけど、まあ結構楽しいかな。部活はテニス部、好きな教科は・・・音楽！
平さんは何をしている人なの？
はじめまして、平です。よろしくね。会社員してますー。
へえ！ 平さんって会社員なんだあ。
もう、働いてお金を稼いでるんだね、すごいなぁ。
ねえ、会社員の仕事って楽しい？ 私のイメージではツラそうなイメージがあるんだけど・・・。
かっこいいよ！もう宿題ないし(^_^)金もらえるし。
あははっ、「会社員はかっこいい！」かあ。わけわかんないけど面白いね。
でも、それってなんか今の自分に自信を持ってるみたいでかっこいいなぁ。
私、そういうの好きだよ。
いいなぁ、私もそんな自信をもった生き方をしてみたい・・・。
どうでしょう。
はろー、鮎だよ。
なんか私ばっか質問してるし、平さんも聞きたいことがあったら、なんでも聞いてよ。
でも、体重とかスリーサイズだとかは教えないからね。
体重は知ってるけど、スリーサイズ・・どうでした？どこに住んでるの。
えっと、北海道の札幌市に住んでるって私、最初に話さなかったっけ？
ま、いいか。でね、私の家は寿司屋なんだ。札幌では結構評判がいいんだよ。
機会があったら是非きてね、歓迎するよ。
送信してから、やばいって気がついたよ。
お父さんは寿司職人のくせに寿司職人らしくないことばかりするの。
こないだなんか「新商品開発だ！」とか言って軍艦巻きに生クリーム入れてみたり、北海道ならではのチーズ入りマグロ巻きだとか、わけわかんないことばっかしてる。で、いつもお母さんが、そんな寿司は出せません！ ってダメ出しするの。
腕はいいんだし、普通にやればって思うんだけどなぁ。
変わってるね。
店主のお父さんはあんなだけど、私はこの店が大好きなんだ。
お父さんの握る『普通』の寿司は本当においしいと思うし、常連のお客さんだっていい人ばっかり。
ところでさ、平さんはお寿司嫌いじゃないよね？
もう大好き。寿司マニアっていうかー。
そっかあ、よかった～。だってお寿司が嫌いだったらこんな話ばかり聞きたくもないでしょ？ ましてや生クリームのお寿司だなんてね・・・。
私は、小さい頃からこの「澤登」で育ってきたから、お寿司とは切っても切れない関係かな。
お寿司は大好きだし、お父さんも基本的に嫌いじゃないから、私は今の生活が好きだよ。
平さんに是非来てもらいたいな。すすきのの「澤登」って店だからよろしくね。
前に行こうとしてさーちゃんと住所確認してなかったから・・今度は必ず！
そうだ、平さんはいつもなんて呼ばれてるの？ 何か特別な呼び名があるならそれで呼んであげるよ？ それとも苗字じゃなくて名前で呼んで欲しいとかあるかな？
このままでいいってば。
えっ、ホントに苗字のままでいいの？ じゃあ、今まで通り＊＊さんって呼ばせてもらうね。
ゴラァ！バグか。いきなり本名が出て来やがった。
＊＊さんは自分の名前嫌い？ だから苗字で呼んで欲しいのかな？
とりあえず伏せ字に・・。まぁ、苗字は好きじゃない。
え、自分の名前気に入ってないの？
そうなんだ・・・。私は＊＊って名前、結構好きだよ。もっと自分の名前に自信持とうよ！
やめて。
私は音楽を聴いたり、歌ったりするのが大好きなんだ。
小さい頃から、色んな音楽を聴くのが楽しくて、いつも歌ってた。
＊＊さんは音楽は聴いたりする？
自分でも歌いますよ。っていうか、歌の天才、らしい（他の人に言わせると）
＊＊さんも歌うのが好きなんだ！ 私も、歌を歌うのは大好き。
一人で歩いてる時はいつも歌を口ずさんでるし、カラオケにもよく行くよ。
＊＊さんもカラオケとかで歌ったりするの？
歌う。もうマイクはオレの物って感じ？
私もカラオケにはよく行くよ。友達と行くのがほとんどだけど、時々家族で行くこともあるなぁ。
カラオケは私の趣味みたいなものなんだ。好きなもの歌うのもいいし、リクエストされたのを歌うのも大好き。だって聴いてくれる人がいるとさ、歌いたくなるんだもん。
あー、そういえば最近カラオケ行ってないなぁ。こんな話してたら行きたくなっちゃった。
鮎ちゃんと行きたいなぁ、カラオケ。
歌を歌うってことはさ、自分を表現することだと思うんだよね。
カラオケでもさ、友達とおしゃべりするのと同じで、コミュニケーションする道具だと思うの。ただ、歌うことで言いたいことを伝えてるだけ。
だから、カラオケは私にとっては自己表現のひとつなんだ。
うむ、オレもかも。
＊＊さんは、買い物とかって好き？
私はね、外国のアクセサリーとか、雑貨が好きなの。
最近のお気に入りのお店は、札幌にある「アリゾナアウトロー」っていうお店なんだ。そのお店ではねネイティブアメリカンのジュエリーとかグッズが買えるんだ。
＊＊さんは、アクセサリーに興味とかある？
結構、好きではある。つけないが。
ホントに？ 私も大好きなんだ。アクセサリーって、付けてるといつもとは少し違った気分になれるよね。なんだか不思議な力がみなぎるような感じ。「アリゾナアウトロー」で売ってるネイティブアメリカンのアクセサリーはね、かっこいいのばかりでいつも目移りしちゃうんだ。
平さんが好きなアクセサリーって何かな？
リング。このやりとり、前にもあったな・・・。
へえ、リングが好きなんだ。じゃあ、いつも指にお気にいりの指輪とか付けてるのかな？
「アリゾナアウトロー」で売ってるリングはね民族的なデザインのものがあって面白いよ。貝とかターコイズとか、色々な石が埋め込まれてるんだ。
そうそうそう言えば、リング付けるとさ、自分の指が綺麗に見える感じがして自信が湧いてこない？
平さんは、指輪をはめてるとどんな気分になるのかな？
自信が湧いてくる、感じかね。
アクセサリーつけると自信が湧くことってあるよね。なんかいつもとは違うぞっていう。
たかだかアクセサリーだけどさ、やっぱり自分に自信が持てるっていいことだと思うんだ。それが、アクセサリーのおかげだとしても、そのアクセサリーが自分自身だと思えばいいことだし、アクセサリーって自分の個性だと思うんだよね。
自分が大好きなものを身につけて、自己表現する。私はすばらしいことだと思うんだ。
ミラクル・ストーンを買う予定です。
学校の授業なんだけどね、最近段々ペースが上がってきてるんだ。高校に入学したばっかりの頃はイージーイージーだとか思ってたのにな・・。やっぱ高校は厳しいなって思っちゃった。
そうそう、最近やっと自分が文系か理系かが分かってきたよ。私はねどちらかというと文系の人間かな。だって理屈とか定義とかってあまり好きじゃないんだ。平さんは文系？ それとも理系？
昔は理系でしたが、今は文系に。
文系かぁ。それなら私と一緒だね。
といっても、得意なわけじゃないよ。私の得意科目は音楽だけだし。
でも、歴史とか、地理のような知識を勉強するのは結構好きかな。わりとそういうのは楽しいからね。でもやっぱ数学とかは難しいなぁ。
平さんは、なんの教科が得意なの？
英語・・。
ふーん、平さんは英語が得意なのかぁ。私はそれなりって感じかな。でも、英語は絶対将来役に立つと思うんだ。だって、世界中の人と話せるんだよ！ こんなすばらしいことないと思う。
でもね一番好きなのはやっぱ、音楽なんだ。たださぁ、今の音楽の授業って専門知識の勉強がほとんどなんだけど、やっぱり実技がいいと思わない？
実技ありきですよ。別に譜面なんか読めなくてもいいのに。読めるけど。
そうだね。やっぱ音楽の授業だから、実技って言うのかな、もっと体を使いたいよ。独唱でも、合唱でもいいから、歌を歌うのってすばらしいことだと思うから、歌の時間を増やして欲しいなぁ。
でも、歌ばかりじゃ他のことが上達しないけどね・・・。
やっぱり感受性を磨かないとね。
今日はね、平さんに私の一番の友達を紹介するね。「春野琴梨」っていう子なんだけど、とっても料理が上手な子なんだ。
時々クッキー焼いてくれたりするんだけど、これがまたおいしいんだ。
やっぱ、料理のできる女の子っていいよね！
そうですね(*^_^*)！
やっぱりそうだよね。料理ができた方が女の子らしいっていうか、かわいいよね。
私の中で、唯一親友と呼べるのは琴梨なんだ。純真無垢っていうか、心にすんなり入ってくる感じの女の子。
平さんが琴梨を見たら、たぶん惚れちゃうんじゃないかな？
いや、鮎ちゃんの方が素敵です（マジで）。
えーっ、何言っちゃってんのよ！
まぁ、でも、かたちだけでもそう言ってくれるのはうれしいよ・・・。
あっ、そうだところで平さんは親友とかっていないの？
います。
親友っていいよね。私は琴梨と出会うまで親友と呼べるような友達はいなかったんだ。それまでは形だけの友達ばっか、いつもどこかですれ違ってる気がしてた。でも、琴梨と出会った時ね、瞬間に「私この子とは分かり合える」ってそう思ったんだ。なんだかわからないけど心の中で共感できるものがあるの。琴梨とは欠点でも何でも言い合うことができる。初めてだけどこういう風に付き合えるのが親友なんだなって思ったんだ。
オレは瞬間、特に感じなかったけど・・外見が自分と似てたな。
琴梨は料理に詳しいんだけど、おいしいお店の情報にもすごく詳しいんだ。
こないだなんか、「インドカレー ミルチ」っていうお店につれてってもらったんだけどさ、これがまたおいしいんだ。
えっと、あの時は何食べたんだっけな？ そうそう確か、チキンカレー！ メチャクチャおいしかった！ あれはお勧め！
うーん、聞いたことあるな。どこだっけか。オレもカレー大好き♪
カレーが大好きなら「インドカレー ミルチ」のカレーは食べるべし、絶対にお勧め！
そうそう、琴梨ってご飯食べる時いつも考え込むように食べるんだよ。これはこうとか、あれが入ってるとか納得しながら食べてるの。食べるときぐらい、普通にしてればいいのにね。ま、琴梨がそういうことやっても全然イヤミっぽくないからいいんだけどね。
平さんのまわりにもそういうグルメな人っている？
オレもグルメッチよ。
ホントに？ 度が越したグルメは嫌だけどさ、適度にグルメな友達がいるとなにかと勉強になるよね。この食品は栄養がどうとか詳しく教えてくれたりするしさ。それにしても琴梨はホントに料理が好きなんだなぁ。あそこまで、自分の得意なことに自信が持てるって、そんな簡単なことじゃないよ。チョッピリうらやましいな・・・。
鮎ちゃんにも、得意なことあるでしょ。
それは私の事かいかぶってるよ。私、琴梨に勝ってるところなんて一つも無いよ。
やりたいことやりたくても、いつもびくびくして怖じ気づいちゃうんだ。
でも、変わろうとは思ってるんだよ。少しづつでいいから、琴梨みたいに正直になろうってね。
なるほどねぇ。オレは、鮎ちゃんの方が正直だと思うがな。
うちのお父さんはロックが大好きなんだけど、仕事までロックを持ち出すのはやめて欲しいなぁ。
昨日もね、寿司の名前に、モンスターズ・オブ・ザ・大トロとか、ウッドストックコース５人前とかつけるって言い出したんだよ。お客さん絶対引くって、ねぇ。あぁ恥ずかしいなまったく・・・
ロッカーですか。
お父さんロックが好きって言うかね、昔はロックミュージシャンを目指してたみたいなんだ。ちょっと面白いでしょこの話。
だってさ、ロックと寿司ってなかなか結びつかないもんね。
漫画と音楽、結びつかないように寿司とロックも結びつかないね。
そうでしょ。ロックにも寿司にもそれぞれの伝統ってものがあるのにさ、それを完全に無視してるよね。
でもね、お父さんはそれをフロンティア精神とか言ってるんだけど、ベクトルがおかしいと思うんだ。食べ物と音楽を融合するってそもそも何？って感じするしさ。
どちらも客商売ってことかも。
はぁ～、なるほど～。うん、それは一理ある。
お寿司もお客さんを満足させるものだし、音楽も人に何かを伝えるものだからね。ひょっとして、うちのお父さんはすごいことやろうとしてる？
・・・いや、それはないや。きっとそこまで考えてやってるんじゃないよ。
・・・なんだ（滅
前の休みにお父さんと一緒に出かけたんだけど、連れてってもらえるのはやっぱりレコードショップとか楽器屋なんだよね。
まあ、私も嫌いじゃないから連れてってもらえたのは嬉しかったよ。
甘えた？なんか買ってもらった？
えへへ、まあね。ちょっと甘えた振りして、ねだってみれば、買ってくれるもんだよ。そういうところ父親って結構単純なんだよね。
そうそう、でねお父さんにはその日「わさびや」っていうお店に連れて行ってもらったんだ。そのお店すごくおいしかったよ。
手打ちうどんはコシがあるし、うどんの他にもメニューがあって目移りしちゃった。「わさびや」は超お勧め！
またまた来ました、「北へ。」名物のおいしいもの巡り！他には何があるの？
ええとね、うどんの他にはね、ぞうすいなんかもあったよ。
お父さんは辛口納豆ぞうすいっていうの食べてたんだけど、「このニュアンスを寿司で表現できないものか」なんて、またこりずに支離滅裂なこと言ってたよ。なんでも寿司になるとおもったら大間違いだと思わない
チャレンジ精神旺盛だねぇ（汗
いやいやチャレンジ精神というよりも、うちのお父さんの場合は「無謀」って言葉が一番しっくり来るんじゃないかな？
でもまあお父さんのそういうところ、結構好きなんだけどね。
さらっと、そういうことが言えるのが素直っていうんだよ・・・。
昔お母さんからもらった腕時計があるんだけどね、最近動かなくなっちゃったんだ。
かなり年季が入ってたからなぁ。
壊れてたらどうしよう・・・。
いや、ちゃんと修理に出そうよ。
そうだね、ちゃんと修理に出して見てもらわなきゃ。
この時計はね、１５の誕生日に貰ったものなんだけど、お母さんもね１５の誕生日におばあちゃんに貰った大切な時計なんだって。
だから私も自分の娘が１５になったら渡そうって決めてるんだ。なんかちょっぴりいい話でしょ？
でもさ、腕時計ってどこで直してもらうのかな？ 時計屋さんかな？
時計屋さんでしょ。
「じゃらん北海道発」で調べてみたんだけど、時計屋が見つかったよ。ふう、ちょっと安心、困った時の「じゃらん」だね。
でも、お父さんにみせたら、中にホコリが入ってるだけじゃないかって言うんだよね。
それぐらいの修理だったら、私にもできるかな？
こういうものは、素人が扱うと大変なんだよ・・。
時計屋に持ってったら、ものの数分で直してくれたよ。「中が汚れていただけです」だって。
でもね、お金は結構取られちゃった。まあ、大切な時計だったから良しとするか。
オレは悪くないっ・・！でしょ？（滅
そうそう昨日ね、ライブ行ってきたんだ。まあライブって言っても、ライブハウスでやるインディーズのミニライブなんだけどね。平さんはライブとかって行ったことある？
私はライブが好きでね、何回か行ったことがあるんだけど、楽しいよ！
音もそうだし、バンドのパフォーマンスとか、あとその場の空気とか、やっぱライブは伝わるものが全然違うんだ。
ある。友達がバンドやってて、よく見に行ったよ。
あ、ホントに？ ライブって楽しいよね！
アーティストの人と一つになれるっていうかさ、会場にいる人達みんなが楽しめるんだもん。
あれだけ大勢の人間の心を、一瞬で掴むことができるのはやっぱりライブだけじゃないかな。
楽しいよねっっ。
うん！ 楽しいとしか言いようがないね。
でも、ライブのできるアーティストの人ってホントすごいと思う。
ステージに上がってスポットライトを浴びる時の気分ってどんなだろう？
すっごい気持ちいいんじゃない？
そうだろうね。大きいとこだったら、何万人ていう人の視線を浴びるわけなんだもん。そしてその大勢の人たちを引っ張っていく。
う～ん、かっこいいなぁ・・・。
鮎ちゃん、憧れだけではダメですよ。
大変！ もうすぐテストが始まる！
どうしよう、ほとんど準備できてないんだよなぁ。
これはちょっと深刻・・・。
してないの？全然？
勉強なんか全然してないよ～。
試験範囲確認したらもうびっくり！ すごく広いんだよ！
こんなに授業やったっけ？ みたいな感じ。
あぁ、どこから手を付けていいのやら・・・。
得意な教科から終わらせればいいっしょや。
そうだね、得意なものから終わらせて、苦手なものに時間をかけなきゃ。
あ、そうだ、平さん。勉強のコツみたいなの教えて欲しいんだけど、何かあるかな？
ひたすら書くっていうのは、どうかな？
私、ひたすら書くっていう勉強方法、苦手なんだよね。
でも、それが一番身に付くって学校の先生も言ってたなぁ・・・。うん、わかった。がんばってみるよ！
がんばれよー。
突然だけどさ、平さんは夢ってある？ ・・・将来の夢。
将来これをやりたいとか、あれになりたいとか・・・。
ある・・のかな、オレにも。
そっか、平さんは夢があるんだ。
夢があるっていいことだと思う。それを堂々と言える平さんはかっこいいなぁ・・・。私には真似できないよ・・・。
鮎ちゃんにもあるんでしょ？
私の夢はね、あまり言いたくないんだ・・・。
あのね、私、昔いじめられてたことがあったんだ。理由は私が昔太ってたとか、寿司屋の娘だとかホントにくだらないことだったと思う。
そんな時に将来の夢は？って聞かれて答えたことがあったんだけど、それは見事に否定された・・・。当然その事がいじめのネタになるのも早かった・・・。
だから、今でも怖いんだよね、否定されるのが・・・。
オレもいじめられっ子さ（会社で
そうなんだ平さんも昔いじめられてたんだ・・・。
じゃぁ私が言いたくても言えないって気持ちわかってくれるんじゃないかな・・・。
でも、その時のこと思い出させちゃ悪いから相談するのはやめとくよ。
理屈じゃないんだよね・・・、孤独って・・・。
優しいですね、鮎坊は。
前のメール出してから考えたんだけど。いくら、外面は変わったって心が変わらなきゃ本当に強くなったとは言えないよね。
だから、平さんに私の夢を教えてあげる。
私の夢は歌手になること。
どう捉えてもらってもかまわない。これはもう決めたことだから！
な、なんと！？歌手！？すばらしいぃ（泣
そんな、すばらしいなんて言ってもらうほどのことじゃないよ。歌手になんてなれるかどうかわからないんだし。
でも、そう言ってくれて嬉しい。やっぱり私、ただ臆病なだけだったのかな。素直な気持ち平さんに言ってすっきりしたな。不安な気持ちは変わらないけどね。
なれるよ、絶対。
うん！ そうだよね、いちいち弱気になんかなってられないよね！
ありがとう、平さんのおかげで少しは希望が見えてきたよ。私、これから色々と行動してみる！ どうしたら歌手になれるのか、どうすれば伝えられるのか、全部自分で答えを見つけるよ！
がんばれよ。夢は信じれば必ず叶うんだ。
平さんありがとう。励ましてくれて本当に嬉しかった・・・。
これからも、いいメール友達でいてね。じゃあまたね。
またね！
おーっす、鮎だよ。
そろそろメール交換初めて１ヶ月過ぎるよね？
長いようで短かったけど、平さんのおかげでなんかこの１ヶ月はスゴク充実してて、早く過ぎちゃったように感じたなぁ。
これからもよろしくね。
そうそう、テストの結果が返って来たよ。平さんには色々とアドバイス受けたから、結果を報告しなきゃと思ったんだけど、ホント言うとあまり言いたくないなぁ。
よかったんでしょ？
うーん、テストの結果はいいってほどではなかったなぁ。
やっぱり、自分ではあまり納得がいかなくてさ、ちょっと悔しい。
もっとがんばれたっていうか、私、甘えてたかも。
悔しいなぁ！
何を悔しがってるのかな？
今思えば。今回のテストって自分でもなめてたっていうか、私には必要ないって感じで受けちゃったんだよね。
でも、テストが終わってから気づいたの。私テストから逃げる口実を作ってただけなんだなって。
ダメなヤツだと思わない？
こんな自分がむしょーに腹立ってさ、だから今は悔しい気持ちでいっぱい！
次からは真正面から立ち向かうよ！
がんばれー（何回言ってるんだオレは
ありがと！ 平さんに応援されると不思議とやる気が出てくる！
どんな事でも全てアーティストになるためのステップだと思って、私がんばるよ！
じゃ、またメールするね！
まぁ、人生は勉強ですよ。やっておいて損はないでしょ。
そうそう、テストも終わったし、昨日は羽を伸ばしに買い物に行ったんだ。
といっても、見るだけで大きな買い物はしなかったんだけどね。
うーん、欲しいものはたくさんあるけど、今はどうしても、お金をためなきゃならないんだよね・・・。
最初に行ったお店は「グリーンアップル」ていう鞄屋さん。オリジナルデザインのバッグがかっこいいんだ。
小さめのショルダーが可愛かったなぁ・・・。
鞄ですか・・ブランド物はどうよ。
うーん、ブランド物は嫌いっていうか、あまり興味がないなぁ・・。
クラスの友達では結構ブランド品もってる子とかいるけど、なんでそんなお金持ってるのって思っちゃうよ。
だってブランド品ってむやみに高いじゃない？
私だったら、高いブランド品を一つ買うよりも、色んな物をたくさん持ってたほうがいいと思うな。
・・・私ってケチっぽいかな？
そんなことないっしょ？色々あった方がいいっしょや。
そうだよね！
最近はブランド志向ってあまり強くなくて、安くていいものの方が人気出てきてるもんね。
それに、そういう無印の方が自分の個性出せるっていうか、自己流のコーディネイトができるもん。
やっぱこれからの時代は自己表現がキーワードだよ！
鮎ちゃんらしいね♪
そ、そうかな？ 自己表現がしたいっていう事は、前から思ってたことだからさ、らしいって言われると嬉しいけれど、なんか照れちゃうな・・。
あのさ、私にとって自分を表現するっていう事は、生きてるって実感をわかす為に必要な事なんだ。
な、なるほど。買い物１つでも語りますね。というか深いよ。
買い物話の続きだけど、あの後行ったお店は、「エディフィス札幌」ていうとこ。メンズのセレクトショップなんだけど、私でも欲しくなるものがいっぱいなんだ。男の子向けの商品って、面白いものがいっぱいあるからね
鮎坊って、もしかしてボーイッシュ？
うーん、それってよく言われる。自分ではそういうつもりはないんだけど、周りの人にはそういう風に見えるみたい。まあ、嫌っていうわけじゃないから別にいいんだけどね。
平さんは私みたいな、その・・ボーイッシュな女の子ってどう思うのかな？
もう大好き！うひひひひ、たまんねぇよ！（あ、でも由子さんの方が凛々しくて好きだが
へぇ、そうなんだ・・。なんかちょっと安心しちゃった。あ、別に深い意味はないからね。ただ、今の自分を否定されなかったから安心ってこと。
そんなことより、どうして平さんはボーイッシュな女の子が好きなの？
こほん、いやね・・そう、元気な子が好きなんだよ。ほ、本当さ。
元気な子が好きなんだね。でもさ、ボーイッシュだから絶対元気っていう方程式は成り立たないよね。私が思うに、ボーイッシュな子って他の女の子と同じことができないんだと思う。そういことに絶対コンプレックスってあるだろうし、だからそういう子ってホントは繊細な心を持ってるんじゃないかな。あ、言っておくけど、自分のことを言ってるわけじゃないからね。
そうなんだ。ボーイッシュ＝繊細と考えてよろしいのでしょうか？
札幌買い物ツアー（？）最後のお店は「Angelica(アンジェリカ)」ていうとこ。ニューヨークっぽい内装で、服や雑貨、おもちゃなんかも売ってる楽しいお店だよ。プレゼント選びなんかにもいいかもね。
プレゼントしてあげようか？
え～、別にいいよ。だっていつも平さんにはメールでお世話になってるし、プレゼントしなきゃいけないのは私のほうだよ。でも、そんな機会ってなかなかないもんね・・・。
平さんは私からプレゼントもらうとしたら、どんなものがいい？
愛・・・かな。
うわ、なんかそれ、超はずかしい・・。言う方も言われる方もだよ・・。うれし・はずかしって感じ。
でもさ、こういう誰かのためにプレゼント考えるのって楽しいよね。「Angelica(アンジェリカ)」でも、商品見てるだけで楽しかったもの。でも、ごめんね・・。今はどうしても欲しいものがあるから、平さんにプレゼントできないや・・。気持ちだけで許してね！
気持ちだけかい！（笑
それは今度教えてあげる。私の夢の第一歩に関わることなんだ。だから楽しみにしててね。
ケチ！
今夜はライブに行くんだ。前から私が注目してたインディーズバンドのライブなんだけど、「マキビシ」っていう３ピースのバンド。知ってる？
なんだかパンクっぽい名前だけど、結構メロディアスでノリやすい曲を歌う、川原一押しのバンドだよ。まだ札幌でしか活動してないけどね。
「ゼップサッポロ」ていうライブホールで、オールスタンディング・ギグだから、気合を入れてかないと！
楽しみですね。
うん！ すごい楽しみ！ 平さんはロックとかあまり好きじゃなかったっけ？ 私は前からパンクバンドのライブって行きたかったんだ。噂によると、凄まじいテンションらしくてさ、もう暴れたい放題らしいよ。客席なんか人の上に人が転がってる状態だもん。私もダイブしてみようかな！
覚えててくれたんだ。うれしいなぁ。オレはロッカーっす。地味だが。パンクはそんな好きでもないが。今のポップシーンはどちらというと、パンクのリズム隊の影響を受けている曲が多いね。それと、ユーロダンスビートは健在で、昔ながらのロックンロールは流石に息を潜めているようだ。昔のロックに近い音でも、シャウトの仕方が既にパンキッシュだったりするのは、時代かと思うよ。
ライブ行ってきたよ！ もう、かなり盛り上がったね。で、平さんも言ってた通り気を付けてたんだけど、ダイブに巻き込まれました！！ 盛り上がってるうちに、いつのまにか体が宙に浮いててさ、もうそのままダイブ！ 「ポイッ」って感じで。最初はビックリしたけど、結構クセになるね。ともかく楽しいライブだったよ。
ちゃんと聴いたか？
うん！ ばっちり聴けたよ！ 途中ダイブでそれどころじゃない時もあったけど、基本的には曲を楽しんでた。でも、バンドっていいよね・・。たった３人でもあれだけの音がだせるんだもん・・。私にもできるかな？ あ～、なんか楽器が欲しくなってきたな！ ギター！ そう、ギター欲しい！
ギターっすか・・キーボードじゃなくてよかったねぇ。ギターなら安いだろう。
ギターが欲しい！ とは言ったものの、今の私のお小遣いじゃ手が出ないんだ。うちの親がただで買ってくれるとは思えないしなぁ・・。やっぱここはお店の手伝いをして、交渉するしかなさそう。お父さんはともかく、難関はお母さんをどう説得するかだ。うちの家計は全権お母さんにアリだからね。
小物とかお洒落で女の子は結構というか、かなり金使うからなぁ。お母さんは厳しい？
お母さんは、厳しいってほどではないよ。普通の家庭の普通のお母さんだと思うけど。でも、お父さんに対しては厳しいんだ。ここが我が家のポイント！覚えておこうね！
そうそう、お母さんにギターのこと話したら、条件代わりに買ってくれるってさ。・・その条件とは・・。
寿司屋の女将見習！ いつかこの時が来るとは思ってたけど、なんだか気が滅入るなぁ。
それいい、似合いそう（苦笑
や、やめてよ～。なんか恥ずかしい・・。だって私の年で女将ってすごいことになってると思わない？ 話が唐突すぎるっていうか・・どうも騙されてる気がしてきた・・。いや、やっぱりがんばらなきゃ！ 今回は弱音吐かないって決めたんだから！
夢のためにがんばるのさっ、あゆあゆ。
そう、夢のため！ って意気込んだけど、どうやら私お母さんにからかわれてたみたい。私に女将はまだ早いってさ。う～ん気合入れてた自分が恥ずかしくなる～。
でもね、ギター買ってくれるってさ。その代わり毎日の店の手伝いをしっかりやれだって。ホントのところ、女将の仕事じゃなくて安心しちゃった。えへへ。
ギターくらいはね、安いし。ギターは実家にあったけど、今はトルコのギターしかないよ。マスターしてないが（滅
というわけで、今日はギターを買いに行くよ。
『キクヤ』っていう楽器屋さんがあるんだけど、そこはＣＤも売ってるし、音楽教室やライブホールなんかもあるんだよ。音楽好きにはたまらないよね。
さあて、ここでいいギターが見つかるといいなぁ
友達がギタリストなんで楽器フェスタに行ったよ。オレもギターほしぃな。
いいね！ 買ってみない？ って私、ちょっとゴーインかな・・。
でもさぁ、平さんとギターでジョイントできたら絶対楽しいと思うな。想像しただけでもワクワクしちゃうよ。実現したらいいなぁ・・
いや、オレはキーボーティストだって！ドラムとかも叩けるよ。
ギターを買ってきたよ！ 私が買ったのは、ギブソンのＳＧタイプ。アコギも欲しかったから、かわいいミニギターも買ったんだ。普通のギターの２／３ぐらいのかわいいアコースティックギターだよ。名前でもつけちゃおっかな？
「ミニー」なんて可愛いと思わない？
うん！ いい名前だね！ じゃあこのミニギターは今日から、
「ミニー！」
ミニーは出せる音は制限されるけど、シンプルで使いやすいから、メロディ作成に向いてるかもね。
よーし、ガンガン勉強するぞぉ！
運指が大切だ、ギターは。そういえば、札幌の友達にギタリストがいたが、あいつ・・どうしてるかな。すごく上手だったが・・今年はオレが作ったＣＤ送るよ。本当にオレは今年、ＣＤ－Ｒも買ったからやるよ！（素
さあ！ ギターの練習を始めるよ！ とは言ったものの・・、私ってギターに関してはまったくの素人なんだ。音のチューニングにも何分かかってんだか・・。あ～、まずは何から始めればいいのかなぁ
ドレミでしょ。プリティーウィッチーどれみっち～♪
そうだね、楽器といえばド・レ・ミ！ 基本だね。
・・・ていうか、どこが「ド」なのかがわからない・・。
あ～、どうしよう～！
こらこら、教則本もないのかい！２番目に太い弦を端から３番目のフレットを押さえてみそ。
うん、なんかそれっぽい音がでた。ここを基準に音階を探して行けばいいんだね？ やっぱりギターって難しいなぁ・・。
楽器は全部、難しいんじゃい。諦めるなっ。
そうだよね！ 有名なミュージシャンも、ウチのお父さんだって最初はできなかったに違いないもんね。私ちょっとあせりすぎちゃったみたい。今度からは効率よく少しづつ学んでいくことにするよ。
づつ、じゃねぇだろ。ずつ、だ。まぁ、基本からゆっくり勉強していってください。
やっぱり、基本的な勉強から始めないと。少しづつでも、活動をしていけばきっとチャンスって見つかるよね。そのためにもがんばらなきゃ！
でも、やることがいっぱいあるなぁ・・。ギターの練習に、作詞もしたり、・・色々と調べ物が増えちゃった。さあて、何からやろうかな。
話きけって・・。
バンドかぁ！ いいね、それ！ あ～でも私の周りにバンドやりたい人なんているかな・・。ちょっとまだ早いかも・・。
楽しそうではないですか、バンドってば。流行だし、バンドルとかいってさぁ。
うん、楽しそう！ でも、私にはまだ早いよ。まだ自分の実力が伴ってないし、自分がどんな音楽やりたいっていう、スタイルも決まってないもん。
だから、自分のスタイルを決めてからバンド組むか組まないか考えようと思うの。問題はそのスタイルなんだけどね・・。
鮎ちゃんのスタイルねぇ・・ピュアって感じかな？
ピュア・・？
なんか恥ずかしいなぁ。
私そんなタイプじゃない気がするけど・・。
私もポップスは大好きだけど、だからといって自分のスタイルがポップだって言うつもりはないんだ。
私は、私にしかできないものを見つけたい、そしてそれが見つかったとき初めてそれが自分のスタイルだって思うの。
なんか偉そうだけど、自分のスタイル、きっと見つけるよ。
がんばりやー！
昨日、お父さんに食事に連れてかれたの。ちょっと気持ち悪かったけど、たまにはいいかなと思って、行ったんだけど、ギターの話で盛りあがっちゃった。なるべくギターの話はしないようにしてたんだけど、つい、ね。やっぱりお互いで同じ趣味があると、普段の会話も楽しくなるね。
もしかして・・・ベテランだったりするわけ？
そう、実はうちの父さん、ベテランギタリストなんだ。上手い下手は別にしてね。まあ、プログレ系ギタリストだからテクニックは結構あると思うよ。
そんなお父さんも私がギター始めたの嬉しいみたいなんだ。「血は争えんな」とか言って、一人で納得してんの。まったく、勘違いしないで欲しいよ。
でも、お父さんも私のこと少しは理解してくれてるのかなぁ・・。
プログレ最高～！そういや、ロジャー・ウォーターズが来日しましたね、行かなかったけど・・ピンク・フロイドって言ったら泣く子も黙る名バンドだしねー。ロジャーは脱退してしまったけど、ピンク・フロイドは未だ健在だし。シド・パレットのレコードも持ってるよ。ロックはいいなぁ・・。それはそうと、お父さんにギター教えてもらいなよ。
う～ん、それもいいかもしれないね。最初はお父さん、私のことバカにしてたからイヤだったけど、喫茶店で話をしてたら意気投合しちゃったしね。
でも、どうだろう・・。ここであっさり「教えて下さい」っていうのもシャクだなぁ。
さりげなく、教えてもらったらどう？教えてもらった方が上達は早いよ！
う～ん、さりげなくかぁ。そうだね、今更素直になるのもなんだか照れくさいしね。ここは甘える振りでもして、ギターのテクニックを盗む作戦に入るよ。お父さんには、こっそり感謝すればいいしね。
そうそう、お父さんも分かってくれるよ。可愛い娘のためにギター教えられるなんて、お父さんも幸せものだなぁ。
やばい！ 最近ギターのことで頭がいっぱいで、テニスがいいかげんになってきた！ もうすぐ試合があるんだよねぇ・・。今回の試合は１年からも選手が選抜されるの。せっかくなんだから、試合は出たいなぁ。
なんだ、テニスなんかやってたの？色々とやってるんですね。ひよっとして、さぼってる？
最近はちょっとさぼりがちかも・・。テニスも楽しいんだけど、ギターの練習も楽しいからさ・・。でも、試合は出たいからこれから必死に練習するよ。
そうそう、琴梨とも約束したんだ。一緒にダブルスのペアになろうって。琴梨も練習がんばってるみたいだし、遅れを取ってられないや！
琴梨ちゃんとだったら、いいペアになりそうだね。親友と一緒なら楽しくプレイできそうでしょ。
えへへ、そう思う？ 私も琴梨とだったら、いいプレイができると思うんだ。他の人と組むよりも気が楽だし、何よりあの子と一緒にテニスするのって楽しいからね。
そうだ！ 私と琴梨が無事にペアを組めた時に備えて、ペアの名前でも考えておこっかな。ユニットみたいな感じの名前、平さんなんかいいアイディアある？
美少女二人組だから、「プリティ・ガール」っていうのは、いかがですか。かわいいでしょお？
よーし！ 私と琴梨のユニット名は、プリティガールに決定！ なかなかいいネーミングだね。このままテニスの試合だけじゃなく、プリティガールで歌手デビューとかできたらおもしろいのになぁ・・。って琴梨の意見も聞かずに話進めてもしょうがないけどね。とにかく、琴梨とペアを組めるように練習がんばるね！
歌手デビューですか？なんでテニスから、そう飛躍するかな。それよりも、ちゃんと練習するんだぞ。
しまったぁ～。テニスの試合なんだけど、１年から選抜されるのは先輩とのダブルスのペアだけ、つまり１人だけだったの！
プリティガールもいきなり解散の危機だよ～。
だから今日、レギュラーの選抜大会があるんだ。プリティガールでの出場ができないとなると、あんまり気乗りしないなぁ・・。
あらら・・なんだよ、もう、やる気なくしちゃったのかよ？
平さんごめんね。せっかく応援してくれたのに、私負けちゃった。決勝までは行ったんだけど、決勝で琴梨と当たっちゃってさ・・。いつもの調子が出せなかった・・。でも、琴梨ホントに強くなったなぁ・・。練習もがんばってたし。今回の結果はがんばった人間と怠けてた人間の差だね。
親友対決ですか・・・ふむふむ、手塚治虫がよく使う手法ですな。まぁ、勝負は時の運といいますから、気にしないことです。楽しもうとしなかったのかな？結局の所。
平さん、どうしよう・・。あれから琴梨と気まずくなっちゃった・・。話かけても口利いてくれないんだ。悪いのは私。平さんも言った通り、楽しもうとしてなかったし、私選抜試合いいかげんな気持ちでやってたから・・。だから琴梨怒ってるんだと思う。今すごく後悔してる。琴梨傷ついてるだろうなぁ・・。
選抜試合、いい加減にやってて決勝までいったというのは、ある意味ですごいよ。それはそれとして、何で本気出さなかったのさ。
それは・・。私、琴梨とペアが組めないって聞いたら、途端にやる気なくなっちゃったんだ。たった１人しかレギュラーになれないんだったら、琴梨に譲ろうって・・。だからわざと本気出さなかった。琴梨は真剣だったのに、ホント私なにやってんだろ・・。
うーん、なにやってんだ。そもそも、どうしてテニスなんかやってるわけ？鮎ちゃんには音楽があるじゃないの？
私がテニスをやる理由なんだけど、それはただ単に仲間と楽しく部活をやりたかったから。仲間と一緒に試合に出られないんだったらレギュラーなんかいらない。そう思ってた・・。これは私の自分勝手な言い分。琴梨の気持ちを全然考えてないよね。だから、謝らないと・・・自分のできることで・・・。
もしかして、それって歌？歌で謝るつもり？
そう！ 歌で謝るなんて笑われるかもしれないけどね、今の私にできることといえば素直に自分の気持ちを伝えること。
でも、私は自分の気持ちを伝えることが苦手なんだ。肝心な時に勇気がでないから・・。
だから、今の自分の気持ちを歌にしようと思うの！
琴梨に伝わるかどうかは分からないけれど、これが私にできる唯一の方法だから・・。
そうか、いいかもね。オレも作詞・作曲してきたから、なんか・・・こう切ない。いいたいことは、わかるんだけどね。音楽というよりも歌っていうのは、また別格だからね・・メッセージを伝えるものとしてさ。歌は出来るのかな？
歌はまだできてないけど、実は前から暖めていたメロディがあるんだ。
変な話だけど、そのメロディラインって妙に今の私の気持ちと同調してるの。
前から表現したかった私が本当に言いたいこと、そして私の気持ちそのもの・・。
だから、この歌を完成させて、琴梨の前で歌おうと思う。
そうだ、平さんに歌のタイトルを決めて欲しいな。
これは私自身の歌。イメージでいいから、私に対する気持ちを教えて。
「聞いて・・」っていうタイトルはどうか？オレも作るんなら、こういうタイトルにするよ。ああ、なんか久しぶりに曲を書きたくなってきたな。気持ち込めて作れよ。
聞いて・・かぁ・・。うん！ いい曲名だね！ ストレートな気持ちの表現ができてていいと思う。
後は、編曲と練習を繰り返すだけだ・・。
琴梨・・私の歌聴いてくれるかな・・？
大丈夫だよ、友達ならきっとわかってくれる・・・信じることだ。自信を持って！オレが言っても説得力ないが。
う～ん・・眠いよ～。昨夜は例の曲をしっかり歌えるように練習してたんだけど、気に入らないとこがいっぱい見つかっちゃって、編曲繰り返してたら、朝になってた・・。
今日この歌を琴梨に聴いてもらうんだ。上手く歌えるかわからないけど、できるだけのことはやった！ あとは魂を込めて歌うだけだね！
つか、君はギター弾けるのか？なんで、スタジオ録音って夕方に始まって朝に終わるのかね・・昼間には作業できないんですか？
しまった～！ 私まだ歌詞を暗記してなかった！ まだ時間はあるから、急がないと！
なんで時間に追われているんでしょうか・・。しかし、友情はもろいものだからケンカしてから時間が経ちすぎるとアウトだな。とっとと行こう。歌詞はオレも覚えられないよ・・日本語、英語を問わず。
聞こえない
君の声が
私の声は
聞こえますか？
伝わるまで
歌うよ
君が
いなくなっても
これなんだかわかる？ 昨日琴梨の前で歌った曲の詞の一部なんだ。
バカみたいな詞でしょ？ でも、これが今の私の気持ちだよ。自分の本当にやりたいことを歌ってるつもり。平さんこの詞どう思う？
いい！素敵な詞だね・・ぷるるんさんですか？これ書いたの、悪くないよ。あ、いや、鮎ちゃん・・きっと琴梨ちゃんにも伝わるよ。普通は、こんな謝り方しないだろうが、こういうのもありだよね。イラストで謝るとか、気持ちを伝えるって大切なのかも。
ホント？ そう言ってくれるとうれしいな。
私、平さんの「自信を持って」っていう返事がなかったら、最後まで歌い切れなかったと思う。不思議と自分の詞に自信が持てたんだ。
琴梨とは初めてのケンカだったけど、無事に仲直りできたよ。やっぱり驚かれちゃった。変な謝り方だったけど、思いは伝わったみたい・・。これが歌を歌うことなんだね・・。
理解し合うってことですか？大切なことだからね。
うん・・理解し合うっていうのもあるけど、もっと違うものを感じたの。
なんて言うのかな、自分が歌を歌ってる瞬間、幸せな気分になれた・・。それは確かにお互いの理解の上でなんだけど、同時に大切なものを見つけた感じがするの。歌を歌うことの意義みたいなものを・・。
誰かのために歌うってこと・・かな。歌で想いを伝えるんだ？
誰かのためか・・。そうだね、とにかく琴梨に本当のことを言いたかった。でも、歌を作ってるうちに、自分の弁解よりも、純粋に私の歌で感動して欲しいなって思ったの。どんなに悲しくても、怒っていようとも、無条件で感動できるもの・・。それが歌なんだと思う。
無条件で感動できるもの・・・そうなのか？そういう解釈もあるのか。難しいもんだな。１５歳の割に難しいことを考えますねー。それはそれとして、勉強になったんじゃない？
うん、今回は本当に勉強になった。
きっかけはケンカだけど、得るものは大きかった。私にとっての歌の存在、そして何より、琴梨っていう親友の存在。
私の歌だって、琴梨が優しい子だから聴いてくれたんだもん。
そ・れ・と、やっぱり平さんのおかげだよ。良い曲が書けなくて辛かった時、あなたからのメールが励みになったもの。だから・・、本当にありがとう。
これからもよろしくね！
こちらこそ、よろしく！照れるなぁ（こらこら）音楽のことならオレに何でも聞いてくださいよ！
やっほー！ 鮎だよ！ 前にレギュラーの選抜があったじゃない？ レギュラーは琴梨だったけど、顧問の先生が私もレギュラーにしてくれるってさ！もちろん、琴梨とダブルスのペアで！ どうやら、琴梨が推薦してくれたらしいの。やっぱ、持つべきものは友だね。
とにかく、ユニット・プリティガールの再結成なんだから、名付親の平さんも応援してね。じゃあ、またね！
プリティ・ガール・・本当は複数形にしたかったけど、どうにも字数が足りなくてさ・・がんばれ、鮎っち！お父さんも応援しているぞっ！
おはよっ！ 鮎だよ！
平さんとメールを始めて、もう２ヶ月ぐらいだね。ホント時間が過ぎるのって早いなぁ・・。ついこの間も「もう１ヶ月だね」とか言ってたし（笑）。平さんは日々の生活は充実してるかな？ 私はもう大充実！ っていうか忙しすぎる～。最近はお店も忙しいから、自分の時間を見つけるのが大変・・。一日２４時間じゃ足りないよ～。
え！？もう、そんなに経ってしまったの？それじゃ、鮎っちとのメールもそろそろ終盤に差し掛かる頃だね。寂しいもんです・・・充実してますよ、うん。生きてる証ってやつですよ、忙しいってのは。
うん、そうだね！ 忙しいっていうことは、自分にしかできないことがたくさんあるってことだもん。それって生きてる証拠だよね！
でも・・最近はお店の手伝いに、時間を取られ過ぎのような気がする・・。そろそろ北海道は観光シーズンだからさ、寿司屋『澤登』も大盛況ってわけ。この間ギターを買ってもらった身としては、お店の手伝いは外せられないライフワークなんだよね・・。
うむ、お手伝いも大いに結構！働かないとお金の有り難みが分からないからね。あ、そうか。もう観光シーズンか・・・。寿司、食べたいなぁ・・！これが「北へ。」効果か。って、何さ。つまらないの？手伝い。
お店の手伝いはつまらなくないよ。私はただ、楽しいことってすぐ終わっちゃうんだなぁって思っただけ。最近は特に時間の流れが早く感じるから・・このままでいいのかなって・・。
そうそう、昨日お店の手伝いをしてる時に、常連さんのリクエストで歌を歌ったんだ。久しぶりにお店で歌ったから緊張したけど、常連さんに「上手くなったね」って誉められちゃった。自分では上手くなったっていう気がしないんだけどなぁ。
お店で歌うのか？本当に？行くぞ・・・今度、本当に「澤登」に。歌ってくれよ。で、何を歌ったのさ。
私が常連さんにリクエストされて歌った曲は「美空ひばり」の名曲『川の流れのように』だよ。私、あの歌全然うまく歌えないんだけど、常連さんはそれでも喜んでくれるんだ。大好きなんだろうなぁ・・美空ひばり。私ももっと上手く歌えるようにがんばらなきゃね。
あ・あ～河の流れのように～♪・・って、あれですね。名曲中の名曲だよな。美空ひばりは、天才だしな。
最近曲を書いてて思ったんだけどさ、やっぱりバンドが組みたいなぁ・・。
だってさ、バンドだったら意見を出し合えるじゃない？ 自分の考えたフレーズに意見を言ってもらって、そのフレーズがもっといいものになったら最高だと思うんだ。
うーん、バンド組むの考えてみようかな・・。
バンドか・・・オレもジャムったことはあるけど、バンドを組んだことはないな。残念だけど・・。どうせ組むなら、全員女の子ってのはどうだい？
全員女の子ってことはガールズバンドかぁ。いいね！ 楽しそう！
仲間が女の子だったら言いたいことも言えるし、まとまりやすそうだもんね？
でも、今のとこバンドやりたそうな友達はいないからなぁ・・。こういうのはやっぱり、自分から探しに行かなきゃだめなのかな？
そうだ、ライブハウスとかの掲示板にバンドメンバーの募集してあるっけさ。あれなんかで探してみたら？玉光堂とかメッセとかに結構あるはずだ。
うーん、ライブハウスの掲示板って、即戦力の募集がホトンドだよ？ 私、そんなバンド入っても何もできない・・。私はバンド組むんだったら、何もかも１から始めたいんだ。メンバーみんな素人でも構わない！ そこから努力して這い上がれば、バンドとして絶対に成功すると思うんだ。だから、こんな私に付き合ってくれる人に出会えるまでは、バンド組まない方がいいのかもしれない・・。私自身まだまだ未熟なんだし・・。
あ、忘れてた・・・鮎ちゃんは未だ経験不足というか素人なんだっけ。いきなりバンドっていうのも難しいな。１人で表現できることでもいいんじゃないの？
・・うん！ 一人で表現できること・・つまり私だけでしかできないことを見極めたい！それが見つかるかどうかわからない・・。もしかしたら、私にそんなものはないかもしれない・・。でも、自分を信じるよ。歌が好きな気持ちは誰にも負けないから！
そう、はっきり言い切れるところが気持ちいいなぁ。オレも歌は好きだけどね・・。
ちょっと聞いてよ、平さん！
とあるルートから仕入れたんだけどさ、琴梨がオーディションを受けるらしいの！
本人から聞いたわけじゃないんだけど、明日開かれるオーディションで、結構な人数が集まるらしいよ。極秘だから詳しいことはわからないんだけど・・。
オーディション？美少女コンテストか何かじゃないの？聞けば、あんた、琴梨ちゃんは大層な美人だというじゃないですか？ノッチ先生が丹精込めて作り上げたという・・しかし、極秘情報ってなんだよ。誰から教えてもらったの？
あーごめん！ これだけは秘密。情報を教えてくれた人に口止めされてるんだ。バレるとやっかいなことになるらしくて・・。とにかく！ 私も準備しなきゃ！ 琴梨もライバルなんだから気合入れてかないとね！
誰だろう・・陽子おばさんか？それよりも、鮎ちゃんも受けるの・・？なんで。
もちろん受けるよ！ オーディションと聞いて黙ってるわけにはいかないもん。
今日はそのオーディション当日だよ。絶対受かってみせるから、応援よろしくね！
ちょっと、待て！琴梨ちゃんのシナリオからすると、それは料理コンテストだったはずだぞ！
あ～あ、私ってバカ！ 今日のオーディション、歌手のオーディションじゃなくて料理大会のオーディションだった。
私も何かおかしいと思ってたんだよねぇ・・。
オーディションが始まると、審査員が「では何か料理して下さい」ってなんじゃそりゃ？ 私は卵焼きしか作れないってのに・・。今回は騙されたなァ・・。
なんだよ、情けないなぁ！寿司でも握ってやればいいだろうが！それでも将来の女将か！
あのオーディションが終わった後、琴梨に会ったんだ。
「あれ？ 何してるのぉ？」って言ってた・・。私は全て正直に話したさ。琴梨はホント優しい子・・わざわざ『フレッシュネスバーガー』にまで連れてってくれて、話を聞いてくれたよ・・。
ところで、平さんは『フレッシュネスバーガー』って知ってる？
はい？ああ、フレッシュレスね。
違う違う！ フレッシュ『レス』じゃなくてフレッシュ『ネス』！
『レス』じゃ意味が全然違うし、お店の人に言ったら怒られるかもよ？
ということは、『フレッシュネスバーガー』知らないんだね？
ああ、知らない！知りませんよ！オレはジャンクフードなんか食べないんだっっ！どうせ・・
そっか『フレッシュネスバーガー』知らないんだ。それはちょっと損をしてると思うよ。今すぐ近所の『フレッシュネスバーガー』にＧＯしかないよ！
あそこは手作りのハンバーガーができたてホヤホヤで食べれるんだ。お客さんに対してのサービスも最高だよ。ああいうお店が増えてくれるといいんだけどなぁ。だってその方が気分がいいもの。ま、お父さんの受け売りなんだけど。
いや、必要ないだろ。
えー？ そうかなぁ？ みんなそう思ってると思ってたんだけどなぁ。ま、いっか。
そうそう、料理大会の話だけど、琴梨はがんばるってさ。やっぱ琴梨はすごいなぁ・・。自分の好きなことは率先してやってるんだもん。私も見習って何かしないと・・。
そう、何かを・・。
歌があるでしょうが！鮎ちゃんにだってさ。そう、歌をもっと極めればいいんだよ・・・。
最近さ、歌を書いててもみんな同じような内容になっちゃうの。
自分の好きなように、やりたい放題曲を書いてるからかなぁ？ そろそろ『ラブソング』という苦手なジャンルもやるべきかも・・。
でも・・私ラブソングって苦手なんだよなぁ。
あーオレもそんなこともあったな・・適当に書いてるとそうなるんだよね。ラブソングねぇ・・オレに書いてよ（笑）最近、恋をしてないのかな？
え？ 最近って・・私が？
そ、そんなこと聞かれてもな・・。ていうか、平さんの方はどうなの？ 先に聞くなんてズルイよ！
鮎ちゃんに夢中っす。
え？ 私に夢中？ ・・あ、そっか！ 私とメールばっかしてるから、恋をするヒマがないんだね？ 私も平さんに夢中・・かな？えへへ、私ったら何言ってるんだろ。
でも・・私も恋をすればラブソングが書けるのかもしれないな・・。
そうだね、きっと素敵な恋をすれば・・・ラブソングもすいすいって感じでしょう。どしどし恋しちゃってください。
そっか・・恋をすれば書けるようになるのかぁ。
それなら私にもできるかもしれない・・。だって・・ね？
うふふ、ごめんなさい。私も早く、堂々とラブソングが歌えるようになりたいな・・。
なんだそれ。だって・・って何？
昨日、お店の手伝いサボっちゃった・・。なんだかその気になれなくて。
あのさ、実は私、曲が書けなくなっちゃったんだ・・。ラブソングがどうこうじゃなくて、書きたいもの・・歌いたいものが浮かばないの。どうしてだろう・・何を書いたらいいのかわからないよ・・。
うーん、俗にいうスランプってやつだね。まぁ、オレも人のことは言えないし・・オレのスランプは長い。もう一生がスランプになってる感じ・・こういうのは何て言うんだろ。とにかく、気分転換でもしなよ。
うん・・そうだね。気分転換した方がいいかも。
でも、気分転換したからって曲が書けるようになるのかな・・。だめだ・・全然、前向きに考えられない・・。
焦ってもダメだぞー。
昨日はお母さんに相談に乗ってもらっちゃった。私、お母さんになら、素直に悩みを話せちゃうんだよね・・。
お母さんは「一緒に出かけよう」って誘ってくれたの。お母さんと２人で出かけたのはホント久しぶり。色んな話を聞かせてもらっちゃった。
いいお母さんですね。お義母さんと呼ばせてください！それは違うか。で、どんな話をしたのさ。
お母さんは色んなこと話してくれたよ。お父さんとお母さんの昔のこととか、色んなこと・・。お母さんはね、私とお父さんが似てるって言ってた。悩むととことん悩んじゃうとことか、変に臆病なとことか・・。悔しいけど、全くその通りなんだよなぁ。お母さんは家族のことをよく見てる・・。
でも、お母さんと話してて、何かわかった気がする。私が何をするべきなのか・・。
何をすべきか・・母の愛は偉大だな。
突然だけど、私は今どうしようもないくらい、歌いたい！
大勢の人・・私のことを知らない人たちの前で歌を歌うの！ お互いのこと何も知らない人に、歌で気持ちを伝えたい・・。止まってちゃいけない・・走り続けないと・・！
だから、私はライブをやる！
な、なんですと！？ライブ・・ですと！？思い切ったことを・・また。でも、羨ましいね。若いっていいなぁ。がんばれよ、鮎坊。で、ライブハウスかい。
ううん。ライブハウスはまだ無理。バンドじゃないし、オーディエンスを満員にするほど私には知り合いがいない・・。
確かにライブハウスで歌うのも目標の一つ。でも、試したいことが一つあるの・・。
笑わないで聞いてくれる？
もちろんです。なんでも話してくれ。
うん・・ありがと。
安心して言える・・。実は私ね・・
ストリートライブをやろうと思うの！
一人でもできて、無条件で人に聴いてもらえるライブ・・それが何かと言ったらストリートライブしかない！ 別にうまく行かなくてもいい。何かができればいいから・・。それに、やってみなきゃわからないもの！
はい！？ストリートライブ！？ま・・まぁ学生さんは金もないし、必然的にそうなるのかな。いい度胸しているなー。オレもサクラで参加してやるよ！
ちょっとちょっと！ サクラなんてだめだよ！
私は正々堂々とライブをやりたいの！ ズルはしたくないんだから・・。
でも、その気持ちはうれしいな・・。その気持ち、サクラじゃなくて他のものにならないかなぁ・・って、ちょっとわがままかな？ ごめん、ホント気持ちだけでうれしいよ。ありがと！
そんな・・サクラっていっても・・ちゃんと応援するつもりだったのに！他のものにならないか・・って・・何？
さあ、曲をいっぱい書くよ！ ライブをやるんだったら、やっぱりオリジナルの楽曲を増やしたいよね？
メロディは・・なんとか思い浮かんだんだ。あとは歌詞・・。メロディを死なせない素晴らしい歌詞があれば・・。
平さん、何かアドバイスくれないかな。何でもいい！ 何かキッカケになるものさえあれば・・。
うわ、やる気満々。いいねぇ。オレもそんな時期があったよ・・オレも老け込むにはまだ早いハズだから、今年こそはオリジナルＣＤを出すぞ（素）。ということで、きっかけというと「大通公園」でしょ？ねぇ。
なるほど・・『大通公園』かぁ・・。うん！ いいね、おもしろい。
なんだか、いい詞が浮かびそうになってきた。
でも、『大通公園』には、平さんのどんな思いが込められてるのかな・・？ ちょっと気になっちゃう・・。
どんなって、そりゃ大通公園には色んな思い出が詰まっているよ・・懐かしい札幌。いや、鮎さんが気にするほどのことでもないんですが。
うふふ、ありがと。ホントうれしいよ。おかげで素晴らしい詞が書けちゃった。
さ、最後はお約束の曲名を決めてもらう時間だよ。もちろん決めてくれるよね？ だって、この役目はもう、平さんしかいないんだから・・。
もちろん「お昼の大通公園」！！
うん、私と、平さんの合作２作目は、『お昼の大通公園』に決まり！
この曲の作詞のクレジットには、平さんの名前を使ってあげるからね！ うふふ、そんな大袈裟なものじゃないんだけど。
でも、いつも曲名決めてもらっちゃって悪いね・・。私、この曲一生大切にするから・・。
池毅先生・・ありがとうございます～！
さ、歌ができれば、後は練習あるのみ！ とことん練習するぞ！
練習、大変でないかい？
え？ そうなの？ でもね、ストリートライブをやろうって決めてから、練習が楽しくてしかたがないんだ。ライブのことを想像しながら・・その場所にいるような気持ちで練習をするの・・。そう考えるといてもたってもいられなくて、わくわくしちゃうんだ！
・・あのさ、話は変わるんだけど、平さんは今自分が夢中になってるものってある？
一応あるつもり。ある・・よね・・あるだろ！？
ホント？ 平さんも夢中になってることがあるんだ？
じゃあさ、私と一緒にがんばろうよ！ とにかく夢中になってさ、楽しいことを遊び尽くしてみない？
私、平さんと二人で何かに夢中になれれば最高だなぁって思う・・。だから、一緒にがんばろう
がんばろう！（弱気
うん！ がんばろうね！
私、実は一人でストリートライブやるのが不安だったんだ・・。でも、大丈夫！ 平さんも何かをがんばってる。それなら、私もがんばれる！
ありがとう、平さん。わがまま聞いてもらっちゃって・・。
いえ、わがままだなんて・・・。鮎坊は元気だなぁ（笑
ストリートライブの企画が決定したよ！
私が初めて行うストリートライブツアー・・それは・・！
『函館ストリートライブ！』
に決定！ うふふ、いいアイディアでしょ？ 函館ってとこがポイントなんだ。函館はちょっと遠いけど、いい街なんだよ。
何故に・・・函館。遠すぎるんでないか？
うーん、まあ遠いのはしょうがないよ。それでも私は函館でライブをやりたいから。
ほら、函館は数多くの有名ミュージシャンが巣立って行った場所じゃない？ だから、函館は私にとっての聖地でもあるんだよ。
それに・・函館でライブをやることに、もっと大事な目的があるんだ・・。
どんな目的なんですか。
私が函館でライブをする理由・・それは・・
秘密！
えへへ、ごめんね。これはちょっと教えられないの。ただ言えるのは、私のためでもあるし、平さんのためでもある・・。あとはライブが終わってから教えてあげる！
さ、そんなことより、ライブのツアー名を決めちゃわない？ 少しでも気分を盛り上げたいからね！
「炎の熱唱」ライブツアーだな、やっぱ。かっこいいだろう・・かなり考えたぞ。＞ハドソン
うん！ 函館ストリートライブのツアー名は『炎の熱唱』に決定！
ありがと。いつもいつも名前考えてもらっちゃって。私、ネーミングセンス悪いから、平さんはホント頼りになっちゃうよ。
よし、ツアー名も決まったことだし、ライブのスケジュールを立てよっかな。
それじゃ平さん、また詳しいことが決まったら連絡するね。バイバイ！
オレはプロデューサーか。そういえば昔、オレはプロデューサーの試験を受けようとしたことがあったな。あと、音楽専門学校の面接まで受けたんだけども・・行かなかった。
うーん、弱ったなぁ・・。ストリートライブのことなんだけどさ、やっぱりお父さんとお母さんに断りをいれた方がいいよね？ なにせ函館まで行くわけだから、帰りも遅くなるだろうし。でもなぁ・・お父さん、絶対ダメって言うと思う。
う～ん、どうやって説得しようかなぁ・・。
まずは、理解のあるお母様からの方がいいんじゃない？
そうだね、まずはお母さんからＯＫをもらわないと。どちらにしろ、お父さんとは話し合いになるだろうけど、私は絶対にストリートライブをやるんだから！
おはよ！ 平さん！
ＯＫもらったよ！ 昨日は夜中まで家族会議して、条件付でストリートライブの切符を手に入れたんだ。もちろん函館までの交通費もね。さ、これで何の弊害もなくストリートライブのことに集中できるぞ！
よかったね！これでオレも安心して仕事に集中できる（現在仕事中にこそこそとメール打ってました）。
条件っていうは、日帰りであるということと、変な男について行かないということだけ。全然優しい条件でしょ？ お父さんは誰と行くのかを心配してたみたい。一人で行くっていう説明だけで、２時間ぐらいかかったなぁ。
とにかく、お父さんとお母さんに心配かけないようにしなきゃね。
１人で行くっていうのも心配ではあるがな。はじめてのライブが、そんな遠いところだとは。
ストリートライブ、明日決行することに決めたよ！ だから、今日は最後の準備をしなきゃ。ギターとアンプの調子も万全！ 替え弦も買ったし、ピックもＯＫ！ あ、ミニーも一応持って行こうっと。
う～んと、持っていくものはこれでＯＫかな？
ミニーって名前、我ながらいいネーミングだったな。オレもギターほしぃよ。でも、トルコギターが家にあるから。それはともかく、歌詞カードは忘れるなよ。歌詞って案外忘れるもんだ。
歌詞カードはいりませーん。えへへ、歌詞とギターコードなら、猛練習して完璧に覚えておいたよ。後は緊張しないで歌えるかどうか。・・大丈夫、自信は・・ある！
さ、明日は早いからこれくらいで失礼するね。
・・明日が最高の一日でありますように・・。
ちっ・・人の忠告を・・。まぁ、確かに忘れたからといって演奏の途中で歌詞カード見れないからな。そこはアドリブでやるしかないか。すごい自信だね・・初ライブとは思えない。
おはよっ！ 平さん！
私は今、函館にいまーす！ これから歌う場所を探しに行くんだ。・・ていうか荷物が重い・・。あまり歩きまわらない方がいいかもね。疲れちゃってライブどころじゃなくなっちゃうよ。
じゃ、これから場所を探しに行くから、また後でね。
平さん・・。私、今から歌うよ。
人がいっぱいいるの。まだ歌ってもいないのにギャラリーだっているんだから。こんなとこで歌ったら、ホント目立っちゃうね。平さんにも届くといいな・・私の気持ち・・。
さあ、始めるよ！ 私の夢・・ここから始まる！
がんばれ～！
私は今、函館山の展望台にいるんだ。ライブを終えて急いでここに来たんだよ。
最高のライブだった。言葉では言い表せない感動・・そう、この夜景と同じ。ギターもアンプもみんな置いて来ちゃった。あるのはミニーだけ。
私が函館を選んだ本当の理由・・わかる？ あなたとこの夜景を見たかったから・・。暗闇を埋め尽くす無数の光たち・・。目を閉じて想像してみて・・。そして、私の歌を聴いて・・。
おはよう、平さん・・。
今ね、お父さんの車の中・・。札幌に向かってるんだよ。お父さん心配になって迎えに来てくれたの・・。
なんか・・ホント長い一日だった。ライブやって、函館の街を走って・・。色んな・・色んな思い出を残せた・・。
ごめん、もう疲れちゃった・・。今は・・眠らせて・・。
おやすみ・・お疲れさま！
おはよ！
昨日はあれからメール送れなくてごめんね。私、ずっと寝てた。
あの夜・・私の歌は聴こえたのかな・・。うふふ、聴こえるわけないか・・。
でも、あれが私にできる、あなたへの贈り物。「僕がついてる」って言ってくれてとても安心できた。だから、あなたに何かを言いたくて、一生懸命歌った。聴こえなくてもいい・・ただ、私の存在を感じて欲しかった。そんな思いを込めて、歌ったんだよ。
聴こえたよ！確かに・・
うふふ、ありがと。平さんはホント優しいんだね。
あの歌はね、まだ完成してない歌なの。詞も曲も決まってないイメージだけの歌・・。でも、あの時は歌えた・・。あの時、あの場所でしか歌えなかった歌・・。私はまた、あの歌を歌いたいな・・。
きっとまた歌えるよ！だから忘れないでね。
うん・・きっと歌えるよね。でも、あの歌を歌うには、私がもっと強くならなきゃいけない。もっと素直に・・言いたいことを言えるように・・。そんな『勇気』が欲しい・・。私は絶対に見つける！ 自分のため、そして平さんのため・・。
そしたら、あなたに会いに行く。
その時、歌うよ。函館の大地で歌った、私の気持ち・・。大好きな平さんのために！
さよなら、鮎ちゃ～ぁ～ん！いつまでも待ってるぞ～・・。
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とまぁ、こんな感じで終わりました。ぷるるんさんとの相性占いによると「互いに言いたいことを言い合っても崩れない関係」ということらしく、これはベストエンディングと考えてよさそうです。鮎ちゃんはミュージシャン志望で、オレと同じ夢を見ていたということで、彼女のエネルギッシュなパワーを羨ましく思いながらメールしてました。さて、これでメールドラマ「ｉ北へ。」も全キャラクター終了しました。面白かったですね・・・ただし、こうやって記録を残すのは大変でした。最初の方は携帯電話にも慣れてなくて苦労しましたよ。なんで、こうやって記録を残したかというと忘れちゃうんですよ、どんな話だったかって。それで、覚えておくために記録を取りだしたと。このサービスが終わってしまったら、こういうゲームがあったことさえ忘れてしまいそうだから・・ね。このゲームはいつまで続くんでしょうか？続く限りは、メール交換し続けたいですね～何しろ、これのためだけに携帯電話買ったんですから。